姉に勝てる弟はいない
「ルイ…」
そう、私は心を鬼にした姉のジル…
これから、「やぱり、お姉ちゃん、ルイにはまだ早いと思うの。もうちょっとここで私と魔物狩ろっか」「そうだと、お姉ちゃん安心して、養成所に送り出せるわ」と、優しく、ルイが夢を諦めない程度に諭すのだ…
ゲームでは、ルイは15歳で養成所に入る。そう、今年を乗り切れば、ヒロインに一目惚れして、主人公に絡むことはなくなるはず!この一年を、このまま村で過ごせばいいの!
「あのね、ルイ、」
でも、言葉が続かない…そうさ、弟に、かわいい弟に、本心でもないこと、言いたくない…
だって、ばっちり実力あるもん!!ゴブリンもダイアウルフも、バイコーンも倒せちゃうもん!青銅等級を倒せるんだもの、全くもって、安心して送り出せますよ!当て馬の件がなければ!
言い出しては口を閉ざす私を見て、ルイは心配そうに見てくる。
「姉さん、やっぱまだだめ?」
首を傾げ、こちらを、見てくる。
…かわいい…が、コバルトブルーの瞳に陰りが見える。
私が、曖昧な態度をとって、ルイの自信がなくなっているのでは…?
そう思ったとたん、私の気持ちが定まった。