前世のこと…よりルイのこと!!
さて、私の前世の話を超ざっくりいうと、オタク。以上。
死因なんて知らない。まぁ、働いてはいたよ。以上。
私が、ルイのことをこれからも応援したくも、出来ない理由がある。
それは、前世でやっていた戦略型RPGゲームの当て馬がルイだからだ。
このゲームの題名は忘れた。
そんなことよりもルイのことだ!このゲームはギルドの養成所が舞台で、身分を隠した第二王子が主人公だ。名前は忘れた。ギルドの養成所は座学だけでなく、実技の実習もある。座学や訓練でスキルやステータス数値を上げ、魔物との戦闘を行い、冒険者になるというゲームだ。そしてヒロインで、精霊と契約した治癒魔術が使える少女が出てくる。名前は忘れたどうでもいい。重要なのは当て馬がいることだ。それが我が弟、ルイだ。ルイはギルドの養成所でその子に一目ぼれし、その子もルイに一目ぼれする。前衛と後方支援型だから、互いに惹かれあっていく…そして、主人公も戦いの中で、ヒロインに惹かれていき、ヒロインを巡り、二人が争っていくのだ…
最終的にどちらが多くの魔物を討伐できるのかという話になり、無論ルイが勝利する。そりゃ、完璧で、イケメンなルイに決まっている。主人公は余裕綽々に魔物を屠るルイをみて、焦り、不覚を取り、魔物の一撃を負う。その傷ついた姿をみて、駆け寄るヒロイン。…ヒロインは主人公にも心惹かれており、傷つきながらも一匹でも多くの魔物を倒そうとする主人公に落ちる。
…そう、どちらが多くの魔物を討伐できるのかでヒロインに告白できるはずが、思いっきり掠め取られるのである!!!!
はぁああぁぁぁぁああ゛?おい!!!!ふざけんな!!!!焦って怪我する奴に惚れんなよっ!!そりゃ回復魔術だし、怪我がなきゃ出番ないだろうけどさ、それあり????そんな奴と一緒に討伐したら最悪死ぬぞ????ばかなの?バカなの??
この記憶を思い出したのは、ルイが私に切り出した話、「俺、冒険者になりたい」を聞いたからだ。
このゲーム、ストーリ攻略後にメインキャラクターのルート別の後日談なるものがクリア特典で見れる。このゲームのハッピーエンド…つまり主人公がヒロインとゴールインするルートのルイの後日談の回想シーンで、顔は出なかったけれども、姉なる存在に冒険者になることを宣言するルイのことを知れるのだ。…そう、この回想シーン、これ、今のことだよね?
あばばばっばばばっばばっばばっば、やややばい…
もし、主人公がハッピーエンドを迎えたら、ルイ、どっか行っちゃう…
ルイにとって、この恋は初恋なのだ。そして、勝利したのにもかかわらず、ヒロインは主人公とよろしくなっているのを見て、ショックを受ける。あんなに俺のこと好きだって言っていたのに、「そんな弱い奴の方がいいのか…」と呟き、失恋し、そのまま養成所を卒業する。そして、あてもなく、ただ魔物を討伐する日々を過ごす…とエンドロールに書かれている。
え?それだけ?
無論後日談も読んだ。そして追い打ちをかけられる。
ルイは魔物を討伐する日々に明け暮れる。そうすることで、気がまぎれるから。そうすることで、いつかこの想いもいい思い出になるだろうから。そんなことを考えつつ、ソロで討伐し、酒屋で一杯呷っていると、急に眠気が襲ってくる。そして気がつけば、牢の中、壁につながれており、四肢が動かない。どうなっているのか慌てていると、男たちが入ってくる。暗転。あの時には自分の人生が決まっていたのだ…だなんて回想が入り、終了。
……救いが、ない!!!
おい!!なんでこうも救いがないんだよ!!おい、製作者、ルイに恨みでもあんのか?ん?てか、この後日談のオチ、なんの意味あんの??全く意味わからんし。はぁ??まじ、ふざけんなよぉ……
かわいい、ルイが、こんな目に遭う可能性があるのなら、この村から出さないぞ…
そう、意気込み、ルイを見た。
お姉ちゃん、ルイのために心を鬼にするよ…!