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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
そして彼は、今までの失敗を学ぶ……
73/80

バンド……

 結局何もしないまま文化祭一日目が終わろうとしていた……。

 店も勝手に組まれていたシフト通りの時間に働いていただけだし、そのほかの暇な時間はずっと図書室で漫画を読んでいた。

 俺ほどこの文化祭を楽しんでいない者などいないんじゃないかと、我ながら|悲しい優越感に(ひた)っていた。

 そして、今から始まろうとしている軽音楽部のバンドが終わると同時に、文化祭一日目の幕も閉じることになる。

 このバンドはそれぞれ違う楽器の担当同士が集まって仲間を作るらしい。

 まあ中にはギターが二人だとかのグループもあるが、多分人気の楽器を担当する部員は余ってしまうのだろう……。

 そして今は、三組目のグループが演奏をしている最中だ。

 どのグループも今はやりのジェイポップをカバーしている。

 音楽にあまり興味のない俺でさえ聞いたことのある曲ばかりなので、よっぽどの人気のある曲なのだろう……。

 体育館中に声援(せいえん)が飛び()い、ライブ会場並みの盛り上がりをしていた。

 そしてその締めを飾るのが、橋川たちのグループだ。

 だがそれは明日らしく、今日は三年生の先輩が最後らしい。

 何でも人数の都合上で、二日に分けてやらないと時間が足りないとかどうとか……。

 橋川たちがどんな演奏を見してくれるのか、俺は内心少し楽しみでもあった。

 そしてバンドは三組目四組目と順々に終わっていき、残る五組目のグループも終わり、体育館はすごい熱狂に包まれていた。

 最後のバンドのグループが終わったところでちょうど校内放送が流れた。


「皆さん、今日の文化祭は大変良く盛り上がりました。今この時間を持ちまして、文化祭一日目は終わりとなります。明日の文化祭も、ぜひ協力して盛り上げていきましょう」


 校内放送が流れると、体育館にいたほとんどの生徒が出ていった。

 俺もすぐに出ていってもよかったのだが、橋川と作戦について話し合いをしたかったので体育館に残っていた。

 俺は体育館にから出ていく人込みを見渡しながら、橋川を探す。

 すると人込みの中に紛れていた橋川と目が合った。

 彼女もこちらに気が付いたらしく、早歩きで近づいてきた。


「やっほー優太、私たちのバンドどうだった?」


「あぁ、すごかったよ」


「なんかもっと感想ないの?」


 そんなこと言われても俺の語彙力じゃこれが限界だ。

 それにすごかったんだからすごかったとしか言いようがない……。

 橋川とそんなくだらない話を少しした後に、俺は本題に入った。

 

「それで? 結局作戦はどうすんだ? いい加減教えてくれよ……」


 俺がそう聞くと、橋川は何とも言えない表情になった。


「あーでも昨日とか今日も言ったように、私たちは何もしないよ。やるのは矢木澤自身だから……」

 

 またも同じことを言うが、俺はその言葉の真意を理解できずにいた。

 花が自分でやるってどういうことだ?

 橋川の考えていることが、俺にはまだ分からない……。

 そして橋川は俯いたまま。


「だから優太……あとは頑張ってね」


 そういって橋川はまた、具体的なことは何も言わずに人込みの中に行ってしまった……。


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