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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
そして彼は、今までの失敗を学ぶ……
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もどかしい自分……

 そして迎えた文化祭一日目。

 一日目は外部からは人が来ないで、校内の生徒だけで文化祭を開く。

 なので一日目は明日に備えた予行という感じだ……。

 しかしこの文化祭……一日目なのにすごい盛り上がっている。

 いつもうるさいクラスも、今日は一段とうるさくなっている。


「よーしお前ら! 今日と明日で大いに盛り上げていくぞー!」


 その中でも、一際(ひときわ)大きな声でテンションが上がっている担任がいた。

 何で生徒よりも楽しそうなんだよ……。

 子供のようにはしゃいでいる担任に、俺は少し呆れていた。

 そして俺は、いつも通り冷めていた。

 それは隣に立っている幼馴染も同じようで。

 

「本当に何でこんなくだらない行事をしないといけないのかしら……」


 っと、一人愚痴をこぼしていた。

 まあクラスの連中と仲良くもないし、文化祭なんて興味ないのにこんな行事を楽しむことなんてできない。

 俺もこいつも、今日は一段とテンションが低い。

 というか俺は、こんな文化祭なんて行事をやっている暇はない……。

 昨日橋川が何か思いついたようだが、結局その内容を俺は聞かされていない。

 ただ楽譜を渡されただけだ……。

 橋川が何を考えて何をしようとしているのか分からない。

 だが今この状況では、橋川に任せるしかない。

 俺は自分の机の横にかけてある(かばん)を開けて、橋川から渡された楽譜を取り出す。

 そしてそれを花に渡そうと思ったが……。

 なんて言って渡せばいいんだ……?

 いきなりこんな楽譜渡されたら、普通の人間は戸惑うだろう……。

 でも花だし、何とかなるだろう。

 考えても始まらないので、俺は一人で(たたず)んでいる花のところに行く。


「なぁ花、これ弾けるか?」


 何の用途で使うか分からない楽譜を、とりあえず花に渡す。

 花は少し戸惑っていたが、何も言わずに楽譜をペラペラとめくっていた。


「……まあこのレベルならすぐに弾けるけど……。いきなりどういうつもり?」


「えーと……。じ、実は俺、この曲好きなんだよ! だから花に弾いてほしいなって思って」


 とっさにそういうが、花は怪訝そうな表情をしていた。

 さすがに怪しすぎるか?

 このまま楽譜を突っ返されたらどうしようと、俺は焦っていたのだが、花は楽譜をたたむと『分かった』と言った。

 分かった? つまり弾いてくれるということなのだろうか?

 何とか花に楽譜を渡すことに成功したが、渡すだけでいいのだろうか……?

 俺は周りをキョロキョロ見渡して、橋川を探す。

 橋川は教室の真ん中で、陽キャたちと一緒に暑苦しく騒いでいた。

 あの中に声をかけに行くのは気が引けるが、そんなことを気にしている場合ではない。

 俺は騒いでいる橋川の肩をちょんちょんと突いた。

 そして橋川がこちらを振り向いたので、こっちにこいと手招きをする。

 

「よ、優太。随分(ずいぶん)冷めてんね」


「そりゃそうだ。一緒に盛り上がる友達もいないし、そもそも俺は行事が嫌いだしな」

 

 俺の自虐を聞いた橋川は、あははと困った顔をしていた。

 その何とも言えない表情が何気に一番傷つくからやめてほしい……。

 

「まあそんなことより、急に呼び出してどうしたの?」


 そう聞いてくる橋川だが、俺が今から何を聞こうとしてるのかコイツなら分かっているはずだ……。


「言われた通り楽譜渡したけど、この後何すればいい?」

 

「あー渡してくれた。それで矢木澤は何て言ってた?」


「えーと、このレベルならすぐ弾けるみたいなこと言ってたけど……」


「まじかー。私はあの曲弾くのに結構時間かかったんだけどなー」


 そう言って悔しがっている橋川だが、結局何がしたいんだ?

 

「おい橋川。そろそろお前が何をしようとしているのか教えてくれよ」


 そう聞くが、橋川は苦い笑みを浮かべていた。


「昨日も言った通り、優太の仕事は終わり。この後は私に任せてよ」


 そう言って橋川はさっきいた陽キャたちのへ戻っていってしまった。

 何故橋川は教えてくれないのか?

 俺に教えられない事情でもあるのだろうか……?

 橋川が何をしようとしているか分からないことに不安に思いながら、それでも橋川に頼るしかない自分にもどかしさを覚えていた……。

 

 

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