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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
そして彼は、今までの失敗を学ぶ……
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彼の思い……

「いいか橋川、何かを得るにはそれ相応の代償が必要なんだよ」


「つまり……どういうこと?」


 まだ俺の言いたいことを呑み込めてない橋川は、きょとんとしていた。

 俺はその説明を始める。


「つまりだな、あの女子達は今は花に対してヘイトが向いているわけだから、その矛先(ほこさき)を変えてやればいい」


 どや顔で言ったものの、橋川はまだよくわからなさそうにしていた……。


「具体的にはな、俺があいつらからなんかしらの方法で嫌われれば、あいつらの怒りの矛先は花から俺になるってことだ」


 それを聞いた橋川は、なるほどと手を打った。

 

「でもそれって結局次はあんたがいじめられるだけでさ、解決はしてなくない?」


 俺の話にどこか納得いかない様子の橋川は、またもや髪をくるくるいじり始めた。


「いや、これは最終兵器みたいなもんで、他のいい案が見つからなかった時のためのもんだ……。それに、俺が犠牲(ぎせい)になることで花を助けてやれるなら、こんな嬉しいことはない」


それを聞いていた橋川は、急にニヤニヤし始めた。


「な、なんだよ」


「いやぁ、あんたって矢木澤のこと大好きだなーって思って」


「いや別にそんなことは……」


 橋川にそんなことを言われて、少し動揺(どうよう)するが、一瞬で冷静になって考える。

 俺は花のことをどう思っているのだろう……。

 友情とはまた違う気がする……。

 俺は彼女のことが好きなのだろうか?

 でもこんだけ必死になるってことはそうなのかもしれない。

 人とあまり関わらないで、無関心な俺が初めて興味を示した人間。

 ずっと俺のそばにいてくれた人間。

 当時は憧れや尊敬から、花のことをそんな風には思ってなかった。

 でも今は違う。

 彼女の弱さを、(もろ)さを知っている。

 彼女のことを一番に理解している。

 そんな彼女のことを俺は……。

 橋川がにやつきながら、『そんなことはー?』と聞いてくるが、俺ははっきりと言ってやる。


「ああ、俺はあいつが……、矢木澤花が大好きだ」


 そういうとにやけ顔だった橋川の顔が、少し赤くなる。


「ば、ばかかよ。それは私じゃなくて、あいつに言ってやんなよ」


「そうだな……」


「もう今日は帰る。また明日の放課後……」


 そうしてすたすたと早歩きで教室を出ていった橋川の後を追うように、俺も教室を出る。

 ドアのカギを閉めようと、ドアの前に立つと、夕日に照らされた(くれない)色に光る教室がとても切なく感じた。

 俺はもう同じ失敗を繰り返さない。

 あの時守れなかったものを、次こそは……。

 そう決意して、教室の鍵を閉める。


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