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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
そして彼は、今までの失敗を学ぶ……
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協力者……

 そうだ……。

 俺は昔の記憶を鮮明に思い出す。

 楽しかった記憶に辛かった記憶。

 そして、矢木澤にまた会えて嬉しかった記憶。

 忘れていたわけじゃない。

 でも思い出したくなかった。

 あの時の出来事を心の中に封印(ふういん)してしまえば、俺はまた矢木澤と……花とまた昔みたいにやり直せるんじゃないかと思っていた。

 でもそれじゃだめだ。

 現に今、またあの時の失敗を繰り返そうとしている。

 始まりは小さな出来事だったのに、止めなければどんどんと大きなことになる。

 さっきの女子達が橋川と()めたことで、そのヘイトは誰に向くかと言えば多分花だ……。

 花の話題を出したせいで、橋川と揉めたと彼女らは結論付けるだろう……。

 逆恨みもいいところだ。

 でも彼女らはそうするだろう。

 彼女たちからは、昔花のことをいじめていた連中と同じ(にお)いがする。

 人を蹴落として、自分のストレスを発散する最低な連中だ……。

 だから、彼女らが花に嫌がらせをする前に何とかして止めなければいけない。

 でもどうやって?

 俺一人でどうすればいい?

 こんなクラスにいるかいないか分からない人間が、どうやって彼女を救うことが出来る?

 俺は制服に着替えながら、自分に何ができるか考えが……。

 だめだ、何も思いつかん。

 せめて後一人でも協力者がいれば。

 初めて友達が欲しいと思ったが、今更遅い。

 俺は何をするにもいつも遅い、遅すぎる……。

 だから今回のことだけは、遅くなってはいけない。

 そのまま家に帰ろうかと思ったが、急いで教室を出ていったせいで携帯を忘れていた。

 橋川とさっきの女子達がまだ言い争いをしていたらどうしようと思ったが、俺が教室をちらっと覘くと、橋川が一人で窓の外の夕焼けを(なが)めていた。

 彼女の哀愁漂うその背中に、俺は見惚(みと)れていた。

 そして思った。

 彼女なら協力してくれるのではないかと。

 彼女が花のことをよく思っていないなら、花の悪口に口を出したりなんかしないだろう……。

 俺は教室のドアを開けて、ゆっくりと橋川に近づく。

 そのことに気が付いたのか、橋川もゆっくりと俺の方を向く。

 俺と橋川の距離が数メートルになったところで、俺は静かに足を止める。

 そして一言、


「俺に協力してくれ」

 

 そう言った。


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