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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
彼と彼女の過去……
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あの日から……

 花が引っ越してから一年と数か月が経つ。

 あいつがいなくなってからというもの、俺の人生はどこを見ても灰色だった。

 失って初めて気づく大切な人……。

 当り前のように俺の横を歩いていた人……。

 失ってから気づいてももう遅いのに、俺は今日までずっと”もしかしたらまた花と会えるかも”という(あわ)い期待に(すが)って生きてきた。

 もしやり直せるなら、中学二年生の初めからやり直したかった。

 あの時委員長の言葉に耳を(かたむ)けていれば……。

 花に助けを求められたとき、俺がそれに(こた)えてやれば……。

 今更遅いのに、俺はそんな”もしも”のことを考えてしまう。

 あの時選択を間違わなければ、あいつは今も俺の隣にいたんじゃないか?

 そんなことを今でもずっと思い続けている。

 

「優太、そろそろ行く時間よ」


「うん」


 俺は母親に言われて、ある場所に行く。

 今日は合格発表の日だ。

 花がいなくなってから、何もやる気が起きなかった俺は「頭のいい高校に行けば花に会えるんじゃないか」なんてことを思い、同じ中学の奴がいなくて尚且(なおか)つ少し頭のいい高校を受験した。

 

「じゃあ、行ってきます」


 そうして一人で俺は長い時間をかけて、第一志望の高校にやってきた。

 俺がついたころにはたくさんの生徒が、封筒を持った教師の前に並んでいた。

 そして封筒を貰った生徒が『受かった!』などと言っている。

 多分あの封筒の中に合否の書かれたプリントでも入っているのだろう。

 俺も列に並ぶ。

 五分ほど並んで、ようやく俺の番が来た。


「えーと、名前と中学校を教えてください」


 若い男の教師に言われ、俺は中学と名前を言う。


「えーと河合(かあい)中の矢須さんね。はいこれ」


 俺は渡された封筒を開けて中身を見る。

 中にはプリントが入ってあり、名前の横に『合格』とハンコが押されていた。

 当然だ。

 俺は中二までの悪かった成績を取り戻すために、中三のほとんどを勉強に費やした。

 落ちるはずがなかった。

 一安心して(かばん)にプリントをしまうと、メガホンを持った教師が『合格者はこちらのプリントを受け取ってください』と、机に並べられたプリントを指さしていた。

 そこにも合格した生徒たちが並んでおり、俺も一番後ろに並ぶ。

 待つのが嫌いな俺にとって、これほど苦痛の時間はない。

 数分待って、前から五、六人というところまで来た。

 早く帰って久しぶりにゲームがしたいと思っていた時、一人の女子生徒がプリントを受け取って列を抜ける。

 俺はその女子生徒から目が離せなかった。

 腰まである綺麗(きれい)で長い黒髪に、身長は俺より少し低いぐらい。

 後ろ姿しか見ていないその女子が、どうにも花と重なる……。

 でも多分そんなことはない。

 この広い日本の数ある高校の中で、偶然転校した幼馴染と一緒の高校なんて奇跡があるわけがない。

 俺はその女子生徒から目を離して、机に並べられたプリントを鞄にしまった。


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