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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
彼と彼女の過去……
50/80

不安と焦り……

 店を出てから俺は一人で考え事をしながら家に向かっていた。

 委員長の話を聞かなかったことに後悔はない……。

 花を助けることなんかできないし、仮にできることが出来ても花はそれを望んでないはずだ。

 このままでいいのかと言われれば、決して良くはない。

 でも今この現状を打破できる力は俺にはない。

 そうだ……。

 へんに気を使って花への嫌がらせが悪化したら、それこそ余計なお世話だ。

 それに花なら自分でもなんとかできる力を持っている。

 俺や委員長が手伝ってやる必要もない……。

 

「ただいま」

 

 家に帰っても誰も返事がない。

 両親は共働きなので俺が家に帰るときにいないことはよくあるのだが、万葉がいないのはめずらしい。

 友達と一緒にご飯でも食べてるのだろうか……。

 居間はとても静かで、時計の針の音だけが聞こえてくる。

 この前花が来てくれた時と同じだ……。

 時計の針の音だけが鳴っているこの居間は、とても気持ちが安らぐ空間だった。

 なのに今はこの静けさがとても怖かった。

 このまま花が嫌がらせを受け続けても、俺達は今までのような関係でいられるだろうか……。

 花と一緒にいると俺まで嫌がらせを受けるのではないか……。

 静かな居間の中に鳴り響く針の音は、俺の不安と焦りをどんどんと大きくしていった。

 きっと大丈夫だ……。

 また花が一人で解決して、それで前みたいにどうでもいいことを話し合って、それから……。

 俺は自分に『大丈夫だ』と言い聞かせるように、ぶつぶつ独り言を言っていた。

 机の上には、ラップで包まれた皿の中にとんかつが置かれていたので、お(わん)にご飯をよそい一人で食べる。

 今日は久しぶりの学校で疲れた……。

 風呂に入って俺はすぐさま床に就く。

 横になってからは、すぐに寝てしまった。

 気づくと朝の7時30分で、後20分ほどで花が来る時間だ。

 早めに支度を済ませて、朝飯を食べ始める。

 時間は7時52分。

 花がいつも来る時間を過ぎていた。

 

「花ちゃん来ないね」


 万葉が不安そうな声で言ってくるが、別に花が朝来ないのなんて……あれ?

 そういえば、花が何の連絡もなしに朝俺の家に来ないことなんかあったか……?

 不安になった俺は、朝食にほとんど手を付けずに家を出る。

 走って学校に向かった。

 息を切らして今にも吐きそうになりながら、教室へ向かう。

 教室に入ると、平然と何事もなかった様子の花が椅子に座っていた。  

 俺は自分の席に座ると、花に何故今朝来なかったのか問う。


「はぁ、おい……、なんで、先に……行った……んだ」

 

 途切れ途切れで何を言っているのか自分でもよくわからなくなっていた。


「ちょっと落ち着いて。どうしたの?」

 

 花にそういわれて、俺は一度深呼吸をする。

 息を整えてもう一度同じことを口にする。

 

「何で今朝来なかったんだ?」

 

 そう聞かれた花は、何か考えるように下を向いた後すぐにこちらを向いた。

 

「たまたまよ。私だって一人で登校したい時ぐらいあるのよ……」

 

「そうか……」


 別に理由なんて何でもいい。

 花が平気そうなら、俺はそれ以上問わない。

 花が何も言わないなら何も聞かない。

 それが俺のスタンスであり、花との関係なのだから……。


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