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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
新しい生活とこれから……
5/80

彼と彼との差……

 そして朝を迎える……。

 小鳥のさえずりなんてものは聞けなく、聞こえるのは母親の声だけだった。


「優太―! 昨日といい今日といい、もう学校始まってんのよ! 気持ち切り替えなさい!」


 そうして母親から、布団を取られる。


「分かったから後20分寝かせて……」


「何言ってんのよ、もうそろそろ7時30になるわよ!」


「え?」


 時計を見ると、もう25分だった……。


「何で起こしてくれないんだよ!」


「さっきから起こしてるわよ!」


 俺はベッドから出るなり、すぐさま着替えて家を出る。


「くそー、前なら後30分は寝てたのに……」


 そんな愚痴を垂れながら、学校に向かう。


「よ、よう……」


「あら、おはようございます」


 え? 敬語?

 そんな些細ささいな疑問を覚えながらも、席に着く。

 そういえば今日からもう授業か……。


「なぁ矢木澤、一限目の授業って何?」


 授業の時間割を見るのが面倒なので、矢木澤に聞くと……。


「前の掲示板に貼ってある、時間割表を見れば分かるじゃないですか? いちいちそんなくだらないことで、話しかけないでください」


 うん……。

 まあコイツが素直に教えてくれないことぐらい、わかっていた……。

 仕方なく時間割表を見に行く……。

 

「一時間目は国語か……」


 でも一回目の授業だぞ?

 こういう場合は、担当の先生が自己紹介とかをして、授業は次の時間というのが普通だ!

 俺は教科書をロッカーに入れっぱなしにして、席に戻る。

 『ガラガラ』っと扉をあけて入ってきたのは、40代ぐらいのおじさんだった。

 おじさんは黒板に名前を書き始める。


「えー今日から現代文の科目を受け持つことになった、篠原しのはらだ」


 そういうと教師は、持ってきたカバンから教科書を取り出す。


「まあ一回目の授業だが、特にやることもないので授業を始める」


 まじかよ……。

 この親父、一回目の授業は授業をしないという、暗黙のルールをいとも簡単に破りやがったー!

 俺の教科書はロッカーだし……。

 いや、でも『教科書取りに行ってもいいですか』なんて、クラス全員の前でいいたくないし……。

 仕方ない……見せてもらおう……。

 俺は隣の矢木澤に、教科書を見せてもらおうとしたら……。


「すぴー、すぴー」


 コイツ……一回目の授業から寝てやがる!

 なんて度胸だ……。

 って関心してる場合じゃない!

 コイツが寝てるとなると、俺はこの授業を教科書なしで受けなければならない……。

 でもほかの生徒に『見せてくれ』なんて、俺のコミュ力じゃ言えないし……。

 俺は考えることを放棄した。

 別にコイツも寝てるし、俺も寝よ。

 そして俺は机に突っ伏した。

 結局50分丸まる寝ていた……。

 授業間の10分休憩の時間に、俺はロッカーから次の科目の教科書を取り出す。

 戻って席に座ろうとすると、クラスの男子が俺の席に座っていた……。

 

(うぜぇ)

 

 邪魔だから早くどけ!

 そういってやりたいが、俺は平穏を好むから、俺は何も言わないでやる。

 決して俺が話しかけられないとか、そういう理由じゃない……。

 というかあの男子、さっきから矢木澤と喋ってんな……。

 矢木澤が俺以外の奴と、どんな会話をしているのか気になった俺は、近くで立ったまま聞き耳を立てる。


「いやー矢木澤さん本当にかわいいね! 部活動とかは決まったの?」


「いえ、まだ決まってないんですよ。えーと名前は何て言うんですか?」


「あ、俺針谷はりや しゅん。よろしく!」


「はい、一年間よろしくお願いします。針谷さんはもう部活動とか、決まったのですか?」


「うん、俺は小学校からバスケやってるからな。バスケ部に入ろうと思ってる」


「まあ、小学校からなんて随分とキャリアが長いですね! さぞかしお上手なんでしょう」


「いや、まあレギュラーになれるぐらいの実力はあるけど、そこまでだよ……」


「いえいえ、そんな謙遜することないですよ。十分誇ほこっていいと思いますよ!」


「そうかなー。あ、もう時間だから行くね」


「はい」


 何だこの対応の差!

 コイツ誰だよ……。

 あからさまな俺との態度の差に、驚きを隠せない……。


「おい、なんだあの会話!」


「なんだといわれましても……。普通の日常会話ですけど……? まあ家族意外と喋ったことのないあなたには、少し難しいことかもしれないですけど」


 これだよこれ!

 

「なんだこの態度の差は!?」


「あの、もう時間ですので静かにしてください。うるさいのは目覚まし時計で間に合ってますので……」


 このくそアマ……。

 さすがにここまで対応が違うと、最初は困惑したが、だんだんイラついてきた。

 


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