嫉妬……
「あの、放課後時間ありますか?」
顔を赤らめながらその女子生徒は訊ねてくる……。
まあ24時間365日暇なことで有名(自分の中で)な俺が、忙しいわけもなくもちろん暇である。
「暇だけど……」
すると女子生徒はホッとした表情になった。
「良かったです! 断られたらどうしようかと思いました……」
まあ俺なんかに誘いを断られたらそりゃショックで引き籠るレベルのことだからな……。
「じゃあ放課後近所のサイゼリアで待ち合わせで」
「分かった……」
一言そう言い残して俺はその場を立ち去った。
そして自分の席に座ると、花がすごい睨んできた。
怖いよ……。
てかあれ……?
体が動かないぞ。
恐怖で動けないのか?
はたまたコイツ実はゴルゴンだったの?
目が合ったら石化させられる能力でも持ってんの?
俺は硬直した体を何とか花の方へ向けると、花はよりいっそう強く睨んできた……。
「な、なんだよ……」
俺がそう聞くと、花は口角を少し上げて引きつった表情になった……。
「随分と委員長さんと仲がいいのね……」
委員長?
さっきのあの人か。
どうりで見覚えがあると思った。
てか自分のクラスの委員長の顔すらロクに覚えてないって、俺他人に興味なさすぎじゃないか……。
少し自分にドン引きしていた……。
「いや別に仲良くなんかないぞ? 今日だって放課後一緒にサイゼに行く約束しただけだし」
すると花の顔はよりいっそう引きつった表情になった。
「へー……放課後一緒にサイゼね……」
なんか言い方が怖いな……。
花は十秒ほど俺を睨みつけた後、席を立ってどこかへ行ってしまった……。
結局なんなんだよ……。
俺はあいつが何に怒っているのかは、はっきりとは分からない。
付き合いの長いからと言って、相手の思考が簡単に分かったら苦労しない。
はたから見たら、花が委員長に嫉妬しているように見えるかもしれないが、それだけはない。
そもそも嫉妬なんて言うのは、何のとりえもない凡人が抱く感情だ。
矢木澤花という完璧超人にはあってはならない感情だ……。
それに、仮に花が嫉妬しているとしたら、花が俺に恋愛感情を抱いていることになる……。
そんなのはもっと有り得ない。
俺とあいつじゃ釣り合いが取れない。
そもそもこの世界に、矢木澤花と釣り合う人間なんていない……。
彼女は完璧で気高く、それでいて孤高なのだから……。




