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君だけの理解者になりたい  作者: ラリックマ
彼と彼女の過去……
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充実した一日……

 あれからというもの、俺は花の宿題をずっと写す作業をしていた。

 夏休みの宿題というのは、四十日間の休みの間に終わらせるもので、それを一日で終わらせようとするのは写してでも時間がかかる。

 それに自由研究とか写せないのもある……。

 てか今から自由研究とか無理じゃね?

 何研究すんだよ。

 でも確か、去年やったエビの観察日記が残っていたはず……。

 自由研究と言っていいのか怪しかったが、まあ別に評価が(もら)えれば何でもいい。

 俺は気分転換として花に休憩を貰い、自室にある観察日記を取りに行く。

 机の引き出しの中を開けると、評価Bと書かれたA4プリントが出てきた。

 もう評価が書かれてしまっているので、そのページだけ切ってまたやればいいだろう……。

 俺はエビの観察日記を手に取って、元居た場所へ戻った。

 

「あら? 何それ」


 俺が持ってきたプリントに興味を示したのか、花がのぞき込むように見てきた。


「これか? これは去年の自由研究だ」


「あぁ、確か……貝の観察日記だったかしら?」


 小首をかしげて聞いてくる花だが、少し違う……。


「いやちょっと惜しい気がするけど、俺がやったのはエビだ」


 それを聞いた花が手をポンと打った。


「思い出したわ。確かおばけエビ飼育観察キットとかいう、小学生が買ってきそうなものを急に買ってきたわね」


「よく覚えてるな……」


 そういえば、『小学生の自由研究にぴったり』みたいなフレーズにつられて、中学生でも行けるだろって思って買った気がする……。

 そんなどうでもいいことをよく覚えているもんだと思った。

 記憶力がいいのか、他に覚えることがないのか……。

 俺が日記を見ていると、花が時計を指さした。


「もうこんな時間よ! そんなのどうでもいいから早く写しなさい」


 時計を見ると、もうすぐで18時になろうとしていた。

 もうそんなに経っていたのか……。

 写すのに集中していたおかげか、時間が進むのが早く感じた。

 

「じゃあ最後の仕上げと行きますか……」


 俺は黙々と残っている宿題を写す作業をして、花はそれを静かに見ていた。

 この夏休み、結局何にもしていないが、最後の日だけは少し楽しいと思った。

 今日という短い時間だけで、今までも何十日という時間よりも充実できたのは何故だろうか……。

 宿題という辛くてめんどくさい作業をしているこの時間が、どんな楽しいことをしているときよりも幸福感に(あふ)れているのは何故だろう……。

 俺はそんなことを思いながらも静寂せいじゃくに包まれた部屋の中、花の横で宿題を写していた……。

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