言い表せない感情……
「続いて、一学年女子の全員リレーです。選手の方は自分の位置についてください」
さっきの男子と同じように、女子も並び始める。
女子が並び終えたのを見計らい、合図を出す先生が前に出てくる。
「それでは位置について……よーい……」
(ドン!)
銃声と同時に、一走目の女子が走りだして行く……。
女子の走りを見ていて思うのが、男子より迫力に欠けるということだ……。
やはり男子と比べてしまうと、女子の走りは遅く感じてしまう……。
そんな中、矢木澤の出番が回ってこようとしていた。
昨日は男子にも引けを取らない走りを見せた矢木澤に、クラスメイトの期待の眼差しが向けられていた。
矢木澤がバトンを貰った時の順位は一位だったので、もっと二位との距離を開けるのかと思ったが……。
「おぉっと、赤組対青組、どちらもいい勝負をして互いに一歩も譲らない!」
解説役の生徒が、矢木澤と青組の女子の対決を解説する……。
俺は矢木澤の走りを見て、昨日と様子が違うと感じた……。
昨日の矢木澤の走りを見る限り、こんな接戦になんてならないはずだっと思った……。
結果的に赤組は、男女両方とも一位という結果に終わった……。
「矢木澤さん、手を抜いてても早いね!」
「さすがだね」
クラスメイト達は、矢木澤の走りをみて、『手を抜いている』といっていたが、本当にそうだろうか……?
あいつが勝負ごとに手を抜くような奴じゃないので、俺は疑問に思った……。
クラスメイトに囲まれている矢木澤は、険しい表情をしていた……。
やはり何かあるのだろうか……。
でも俺が矢木澤に何かしてやれるわけでもないので、何もしないでいようと思ったが……。
何か嫌な感覚に襲われた……。
言葉に言い表せないが、”もやもや”とした感覚が俺を襲う……。
そして、その”もやもや”は、どこか悲しい気持ちになる……。
何故こんな感覚になるのか、皆目見当もつかない……。
俺が矢木澤にできることは何もないので、何もしないでほっておく……。
この選択に何か間違いがあるのだろうか……。
多分こんな感覚に襲われるということは、この選択は間違いなんだろう……。
でも……、それでも俺にできることは何もないし、思いつかないので、この嫌な感覚がなくなるまで日陰で休むことにした……。
「次のプログラムは、学年別選抜リレーです。選手の方は、速やかに移動してください」
結局午後になってしまった……。
あの後、綱引きに出て、昼飯を食べたが、一向にこの感覚が消えることはなかった……。
このもやもやして悲しい感情を、俺はどうすれば取り払えるのかずっと考えていたが、いまだに答えは見つからずにいた……。




