秋と体育祭……
早かった夏休みも終わり、季節は秋……。
秋といえばやはり……なんだ?
食欲?
読書?
どれも当てはまらないな……。
まあ俺の……というより、この学校の秋といえば……。
「じゃあお前ら! 来週は体育祭だから、しっかり準備しとくように! いいか、何をしてでも勝つんだ!」
「「「おーーー!」」」
担任の鼓舞に、生徒がそれに応えるように声を出す。
はぁ……なんでみんなやる気まんまんなの?
体育祭って体育会系の奴が盛り上がるから、無駄に暑苦しいんだよな……。
あ―ヤダヤダ、体育祭なんて早く終わればいいのに……。
みんなが盛り上がってる中で、俺だけ冷めていた……。
いや、俺達といった方が正しいか。
「くだらないわね」
そこには腕を組んで、だるそうな表情の矢木澤がいた……。
「何でだ? お前、運動は結構得意な方じゃなかったか?」
「えぇ、まあ人並み以上は出来る方だと思うけど……」
「なら楽しみじゃないのか?」
「運動ができるからって、体育祭が楽しみの理由にはならないわ。暑苦しいし、めんどくさいし……。そういえばあなた、中学の時は運動部じゃなかったかしら?」
「まあそうだな」
「確か……幽霊部? だったかしら?」
何だよ幽霊部って!
どう考えても運動部じゃないだろ……。
「俺はバスケ部で、幽霊部員だっただけな!」
「あぁそうそう! 誰とも馴染めずに、誰からもパスをもらえないからやめたんだったかしら?」
「っ……確かに、誰も俺にパスしてくれなかった……というか、試合に出てることすら忘れられてる時もあった……」
てかおかしいだろ!
影薄いのって強みじゃないの?
味方にまでかかってたよ、”ミスディレクション”……。
俺たちがそんな、昔の俺の悲しい部活の話をしていると、教卓の方からクラス委員の渡部さんが近づいてきた。
「ねぇねぇ矢木澤さん、リレー選やらない?」
どうやら渡部さんは、矢木澤に『リレーの選手にならないか?』という誘いをしに来たらしい……。
てか体育祭来週なのに、まだ決まってなかったのかよ……。
やる気があるんだか、ないんだか分かんねえな……。
「どうして私なんですか?」
「いや、前に体力測定したときさ、矢木澤さん五十メートル走すごく早かったじゃん! だからどうかなーって……」
渡部さんは、手を合わせて矢木澤にお願いする。
「でも私、バトンパスの練習とか何にもしてないですし……」
「大丈夫! 矢木澤さんなら出来るよ!」
何が大丈夫なのか、俺には全く分からなかったが、まあ矢木澤なら大丈夫なんだろう……。
矢木澤は、目をつむって少し考えた後に……。
「わかりました、やります」
っと返した。
「本当!? じゃあ走順とか決めるからこっち来て!」
矢木澤は渡部さんに手をつかまれて、教卓の方に向かっていった……。
そして俺はいつも通りボッチになった……。
リレー選とかめんどくさそうだな……。
まあ俺は、学年種目と綱引きしか出ないから楽でいいんだけど。
俺は種目決めの時、迷惑が掛からず、目立たない種目を選んだ。
そんなこんなで、俺たちのめんどくさい体育祭が始まろうとしていた……。




