部活動と恋愛……
「それじゃあ全員席に就けー。これから朝の朝礼まで、時間がある! それまでに各自の自己紹介をしてもらう。 まず私だな! 私は君たちの担任になった、大塚砂奈江だ。趣味は釣りで、バスケ部の顧問をしている! 一年間よろしく!」
ついに来た、自己紹介イベント……。
この最初の自己紹介を、いかに面白くするかによって、今後の俺の友達人生に大きくかかわる……。
「じゃあまずは一番からだな。さっ、初めていいよ」
「はい、出席番号一番の相澤芳子です。趣味は……」
早速始まってしまった……。
俺はほかの生徒の自己紹介などは全く聞かずに、自分の自己紹介を考えるが……。
(結局何も思いつかねー……)
というか別に最初の自己紹介で、変に滑ったりしたらそれこそ終わりだ……。
うん! 普通にやろう、普通に……。
「じゃあ次、頼むぞ」
「はい」
そういって、隣の席の幼馴染が立ち上がる。
「矢木澤花です。趣味は読書です。部活動はまだ決まってません……。一年間よろしくお願いします……」
そんなありきたりな自己紹介を済ませた矢木澤は、すぐに席を座る。
「じゃあ次」
いよいよ俺の出番が来た……。
「はひ!」
「ふふ」
しまったー!
今のどのコンディションが悪すぎる……。
俺ともあろうものが、のどのケアを怠るとは……。
「んっんー」
俺はのどを淡を取るように咳ばらいをし、自己紹介を続ける。
「出席番号36番の矢須優太です。趣味はゲームで、部活動は決まってません。一年間よろしくお願いします!」
そういってすぐさま自分の席に座る。
最初に変な声が出てしまった気がするが、多分気のせいだ……。
俺の華麗な自己紹介は何事もなく終わり、これから新しい生活が始まる……。
っと思っていたが……。
「じゃあ今日はこれまで、明日からは普通に授業があるから、持ち物忘れないように! では、解散」
結局誰からも声をかけられずに、その日は終わってしまった……。
「仕方ない……部活でも見ようかな……」
先ほど担任から渡された、部活動の一覧が載っているプリントを見返す。
正直部活動に入るつもりは全くなかったが、一つだけ気になった部活動があった。
「コミュニケーション同窓会?」
何だこの、ノリで作ったみたいな部活動は……。
いや、同窓会って部活動に入れていいのか?
とりあえず教室の場所は……、先生に聞きに行くか。
俺は自分のクラスにいる、担任に声をかける。
「先生、少しいいですか?」
「うん? 何か用かい?」
「はい、ここに書いてある”国語研究室”という場所は何処ですか?」
「ん? 何だね? 君この部活に興味があるのかね?」
「まあ一番最初に目を引きましたけど……」
「そうか、まあ人が来るかわ分からないが、一応行ってみるのもいいだろう! 国語研究室は、三階にある渡廊下を渡って、右を曲がったすぐのところにある」
「ありがとうございます」
先生の丁寧な説明のおかげで、場所はだいたい分かった。
えーと、この渡廊下を渡って、すぐ右に曲がった場所……あった。
国語研究室と書かれた教室は、普通の教室よりも少し小さかった。
ドアのガラスから、人影が見える。
「早速行くか……」
妙に緊張しながらも、教室のドアを開けると……。
「あら? クラスメイトの……カス優太君ですよね!」
そこには幼馴染だった、矢木澤花の姿があった。
っていうか名前の間違い方、悪意ありすぎだろ!
初対面みたいな感じを装ってるけど、絶対覚えてるよね……。
そんな久しぶりに会った彼女と、何を話していいのかよくわからず、近くいあった椅子に腰かけた……。