彼女の真意……
「もっかい言ってくれ……」
「だから、私があなたの分からない問題を教えてあげるって言ったのよ。何か文句あるのかしら?」
「いや……ちょっと意外で」
まじでどうしたんだコイツ……。
もしかしてツンデレか?
でも、ツンの成分多すぎないか?
ツンが99パーセントぐらいをしめてるぞ……。
……もしかして……。
「お前……俺のこと好きだろ!」
「……死んで」
やけにストレートだな。
でもそれすらも照れ隠しに感じてしまう……。
大体俺と一緒に勉強したいとか、もうそういうことだろ……。
「いや、いいんだ矢木澤。惚れさせてしまった俺に罪があるんだから……」
「はぁ、ほんとあなたって単純よね。だいたいあなたのどこに惚れる要素があるの?」
「まず、顔がいい!」
「ねえ知ってる? 人って自分の顔を鏡で見ると少しカッコよく写るの。実際のあなたの顔は、ダニレベルね」
ダニって顔あるの?
「次に……」
俺は少し考えるが……。
「どうしたの? もう尽きたの? 私はあなたの悪いところのストックが、まだまだあるわよ……」
何も思いつかない……。
てか俺にいいところあるわけないだろ!
あったら友達出来てるだろうし……。
てかコイツが俺のこと好きなわけないだろ!
どうやったらそんな愚かな勘違いできるの?
俺にいいところないなんて、俺が一番よく知ってるだろ!
「あの矢木澤さん……。今の発言は全て忘れてください……」
「はあ……。あなたはもっと自分のことを理解するべきだわ。あなたに嫌われる要素はあるけど、好かれる要素なんてどこにもないでしょう?」
「はい……その通りです……。」
「わかったら早く問題集を出しなさい」
ボロクソに言われて、俺のメンタルは今にも壊れそうになったが、何も言わずにカバンから問題集を取り出そうとするが……。
そういえば教室のロッカーに入れっぱなしだった。
「教室に問題集取りに言っていいか?」
「数学だけ持ってきなさい」
俺は駆け足で教室から問題集を持ってくる。
「数学と英語は教えるけど、後は基本暗記科目だから自分でやって頂戴。じゃあ早速一問目だけど……」
そういって矢木澤は、問題のやり方を丁寧に教えてくれた……。
てかコイツ、いつも授業中寝てるくせに何で勉強できるんだ?
「何でいつも寝てるのに、分かるんだよ?」
「そんなの家で勉強してるからに決まってるじゃない……。私教えられたり指図されるのが嫌いなの……。だから家で勉強してるのよ……」
確かにコイツは、命令する側だしな……。
そのあとも、俺の分からない問題を丁寧に教えてくれて、気づけば午後七時だった。
「今日はもうお開きにしましょう。また明日もやるわよ」
「なんかありがとな、すごくわかりやすかった……」
「当り前じゃない。私に教えてもらえるなんて、光栄に思うことね」
そう言って矢木澤は教室を出ていく……。
彼女が何故、俺のためにわざわざ勉強を教えてくれたのか……。
その真意はよくわからないが、彼女がそう望むなら俺も勉強を頑張ろうとおもった……。