グループディスカッショ……
六時間目……。
授業の最後の時間……。
この六時間目の終わりのチャイムが鳴った時、人はどう思うだろうか……。
長くてつらい学校からようやく解放されると嬉しむか、楽しかった学校が終わってしまったと嘆くか……。
もちろん俺は、前者だ。
「よーし、じゃあこの時間は交友を深める意味も込めて、簡単なグループディスカッションをやってもらう。議論を30分、発表を20分と考えている」
で、でたーグループディスカッション……。
”答えのないテーマ”に沿って、複数人で討論して結論を出すグループディスカッション。
しかも、まだ入学してそんな時間が経ってないこの時期に……。
こんなの誰も意見出さずに、一時間静かなまま終わるのが目に見えて分かる……。
こんなの交友どころか溝が深まるだけだろ……。
「じゃあ役割等は、各班で決めてくれたまえ。じゃあテーマは『自分の友達二人が喧嘩をしてます。あなたならどうする?』だ!」
なんてお題だしやがるこのクソ教師……。
友達がいない生徒のことも、しっかり考えてからお題を出しましょう!
「ではまず役割を決めましょうか。司会、書記、タイムキーパーの中で、やりたいものがある方はいませんか?」
そういったのは、隣の矢木澤だった。
てかもうすでに進行してるし、コイツが司会でいいだろ……。
「じゃあ私タイムキーパーやるよ!」
手を挙げたのは、クラス委員の渡部さんだった。
ってっきりクラス委員だから、司会をやるものだと思っていた……。
「分かりました、じゃあ後の二つですが……」
「司会……あんたがやりなよ。今だって勝手に仕切ってるし……」
喧嘩腰で言ったのは、いつも針谷の取り巻きにいる女だった。
めっちゃ性格悪そう……。
初対面で、俺の苦手なタイプだと判断した。
「分かりました。あとは書記ですが……」
そういって矢木澤はこちらを睨みつけてくる。
怖!
目で殺しに来てるよ!
『さっさと手を挙げろ』と言わんばかりに、矢木澤が睨め付けてくるので、仕方なく書記をやる……。
「では各々の役割も決まったことですし、さっそく時間配分を決めましょう」
「やっぱ議論する時間を多めにとった方が、いいと思うな!」
「では、議論を20分、まとめる時間を10分としたいと思います。何か意見がなければこのまま進めますが……」
「うん、それでいいと思うよ! 他のみんなもいいよね?」
「まあいんじゃない? うち会話する気あんまないし」
「そ、そう……。えーと矢須君はこれでいいかな?」
「うん、いんじゃないか」
と、さっそく話しあいが始まろうとしているが……。
「では『自分の友達二人が喧嘩をしてます。あなたならどうする?』について、話しあいをしていきたいと思います。何か意見のある方はいますか……?」
「うーんと、私ならどっちかの肩を持たずに、仲裁するかな……」
渡部さんの意見を、配られた紙に書く。
書記なんてやったことないので、とりあえず意見を書いていくことにする。
というかこのままじゃ、矢木澤と渡部さんの二人が議論して終わることになりそうだ……。
突然のグループディスカッションに不安を感じづにはいられなかった。