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ローガンとガトの村  作者: 利
2/2

アリス初めてのクエスト

ローガン「ビーゴ、いるか?」


ローガンとアリスは革道具・防具屋の店へと足を運んでいた。


ビーゴ「おう、ローガン、いらっしゃっい、お、どうした可愛い子連れて」


ビーゴの目線に対してアリスはぺこりと頭を下げる。それに対しビーゴはヒラヒラと手を振った。


ローガン「この子の防具を買いに来た」


ビーゴ「おう、って、え?もしかして冒険者か?」


アリス「は、はい、まだ仮り、ですが」


ビーゴ「こんなかわい子ちゃんがねー、ま、入れよ」


ーーーーーー


ローガン「親父さんは出てんのか?」


ビーゴ「ああ、どうせ酒飲みだろ、で!その子に会うサイズか、お、これとかどうだ」


出されたのは革製の胸当てと肩当て所々に金属のプレートが貼られあり。防御力もありそうだ。


アリス「は、はい、じゃあ。これで」


ローガン「待て、早い早い、ビーゴ、確か襟が大きくて頑丈なやつはなかったか?裏起毛してるやつ」


ビーゴ「ああ、あったあった。ちょっと待ってろ、裏を見てくる」


ローガン「頼む」


ビーゴはそういって暖簾を潜り裏へと消えていった。


アリス「ローガンさん、何か選ぶ基準はあるんですか?」


ローガン「基準か、武器とか魔物に合わせるのが一番なんだが・・・・ここ周辺の魔物相手にするからな、音が鳴らない、軽い、動きやすいかな」


ローガン「あと、肉食の魔物やゴブリンたちは本能的に首を狙ってくるからな、もし不意打ちをされた時の事を考えると、あった方がいい」


アリス「へぇ、」


ビーゴ「あったぞ、お前と同じタイプのやつ」


ローガン「アリスさん、着てみな」


アリス「は、はい」


ビーゴから防具を受け取り装着する。


ローガン「違う、裏にベルトがあるから、それを先に締めるんだ」


アリス「あ、はい」


ローガン「調節ベルトが多い程、防具の揺れがなくなる。面倒くさいだろうがちゃんと締めた方がいい」


ビーゴ「どーだ、着心地は?」


アリス「はい、動きやすいです!!あ、あの?おいくらですか?」


ビーゴ「金貨1枚だな」


ローガン「おい高くないかそれ」


ビーゴ「安いほうだよ、これブラックベアの革だぞ、作るんメッサ大変だったんだからな」


ローガン「作ったのおやっさんだろが、アリスさん、無理して買わなくていいぞ、最悪俺のお古がある」


アリス「だ、大丈夫です!まだ余裕ありますし、必要な出費です!これ、ください」


ビーゴ「お、毎度あり、まあなんだ、サービスだ、これやるよ」


ビーゴが取り出したのは革製のヘルメットだ。


ビーゴ「中に薄いプレートが入ってるし3層構造だ。軽いしから邪魔にはならんと思うぜ」


アリス「あ、ありがとうございます!!大事にします!」


店を出た二人は再び村を歩く


アリス「次はどこにいくのですか?」


ローガン「一応俺の家を教えとく、それと剣の腕を見てみたい」


それを聞いたアリスの表情が一気に明るくなる。


アリス「はい!是非!!」


ローガン(そんなに自信あるのか?)


ーーーーーーーー


ローガンとアリスは、ローガンの丘の上にある自宅に到着する。


古びた平屋建の家、あちこち修繕増築した形跡がある。ローガンら外に立てられた木剣を二本取り、細めの剣をアリスに渡した。


ローガン「多分アリスさんの剣に一番近いとは思うけど、これでいいか?」


アリス「ありがとうございます」


ローガン「じゃあ早速、手合わせをしようか、あんまり本気じゃなくていいぞ」


アリス「はい!宜しくお願いします!」


ローガンとアリスは剣を構える。


ローガン(やっぱりいいとこのお嬢様か、かまえが綺麗だ)


ローガン「いつでもいいぞ」


アリス「はい!」


ローガンの言葉を聞き、アリスは地面を蹴る、閃光のような一撃がローガンを狙う、辛うじてローガンはそれを木剣で受ける。


ローガン(はやいな)


アリスの連撃がローガンを襲う。

剣で受け、流し、避けて、それをかいくぐる。


アリス(すごい、全然届かない)


攻撃してきたアリスの剣を上に弾き、一旦距離を取るローガン。


ローガン「そろそろ、こっちも攻撃に移るぞ」


アリス「は、はい!お願いします!」


今度はローガンが先に出た。横に剣を振った。

アリスは易々とそれを受け流し反撃、ローガンは首を振ってそれを避けた。

続けてアリスの攻撃、これをローガンも受け流し反撃、アリスはこれを剣で受けてさらに反撃。

一進一退の攻防が繰り返された。


アリス(すごい全然当たらない。しかもローガンさん、多分本気じゃない)


ローガン(攻撃、受け、回避、カウンターまで動きが早い、何より体の軸もブレてない、こりゃかなり稽古を積んでるな)


アリスの息が切れてきた頃、不意にローガンが出した剣に反応し、前に踏み出した。


しかし来るはずの剣は振られず、アリスが距離を詰めた形になった。


アリス(フェイント!?)


すぐに体制を後ろに戻そう足を踏ん張る。

そしてローガンの振った剣がアリスの剣を弾き飛ばし、バランスを崩したアリスは尻餅をついた。


ローガン「大丈夫か?」


言葉と共にアリスに手を差し出す。


アリス「は、はい、ありがとうございました。あ、あのどうでした?」


ローガンの手を取り立ち上がる。


ローガン「・・・・驚いた、かなりの使い手だな」


アリス「い、いえ、そんなことは」


アリスは頬を膨らませている。


ローガン(なんだか悔しそうだ、まあこれだけの腕があるなら仕方ないか」


ローガン「・・・・攻撃も防御も身体の軸がぶれない、稽古、いつからやってる?」


アリス「えーと、おそらくですが、6年以上は」


ローガン「実戦は?」


アリス「練習試合を何回か」


ローガン「すごいな、これなら気兼ねなくいろんなクエストに行ける。」


アリス「ほんとですか!?」


アリスの表情が一気に変わり今度目を輝かせて嬉しそうだ。




ローガン「ああ、これならボーンボアじゃくコボルトやゴブリンにしても良かったな」

(表情がコロコロ変わる子だな)


アリス「はい!!・・・・それであの、なにか悪いところとかはありましたか?」


ローガン「悪いところか」


アリス「なんでも言ってください」


ローガン「まあ、剣に関してはな型も綺麗だし俺があーこー言うところもないが・・・・そうだな、軸がぶれない分ぶれた時が弱いってとこだな」


アリス「・・・ぶれた時ですか」


ローガン「まあ、仮登録でそこまで出来る奴なんてそういない、実戦積めばすぐに強くなるさ、俺よりな」


アリス「精進します。・・・あの、ローガンさんは誰かに教わったんですか?」


ローガン「年の近い奴がいてな、そいつと良く稽古してたぐらいか」


アリス「その方も冒険者で?」


ローガン「ああ、かなりの使い手だぞ、数え切れんくらいやったが、全然勝てなかった」


アリス「ローガンさんでもですか」


ローガン「まあな、才能の差だよな、、そうだ茶でも飲むか?」


アリス「あ、はい、いただきます」


ーーーーーー


翌朝、アリスはローガンの家に再び訪れていた。家の入り口から顔だけを入れてローガンを呼ぶ。


アリス「ローガンさん、おはようございます」


少し間を空けてローガンが部屋から顔をだしだ。


ローガン「おう、おはよう、早いな、もうすぐ終わる。よかったらスープがあるから飲んで待っててくれ」


アリス「は、はい」


ローガン「適当なコップ使ってくれ」


アリス「あ、ありがとうございます」


棚にあるコップを取り暖炉で温めてあるスープを注ぐ、近場の椅子に座ってローガンを待つ。

ローガンは壁の陰で着替えてるようだ。


スープをに息を吹き冷ましながら飲む


アリス(・・・・美味しい)


ジャガイモのスープ、微かに山草の香りに食が進んだ。


ローガン「すまん、待たせた」


アリス「いえ、スープご馳走様です!とても美味しかったです」


ローガン「そうか、それは良かった。じゃあ早速出ようか」



ーーーー


森に入りしばらく経ったところ


ローガン「どうだ?きつくないか?」


アリス「はい!大丈夫です!」


ローガン(思ったより足腰が出来てる。)


ローガン「お、これだ」


ローガンは何かを見つけた。


アリス「これは?なんですか?」


ローガンの目の前にあるのは人の身長ぐらいある植物、小さな赤い実がついている。


ローガン「タポの木だ。よく魔物が食べてるやつだな」


そう言ってしゃがみ込むローガンにアリスは後ろから覗き込む。


アリス「・・・・足跡ですか?」


ローガン「ああ、これはベルディアだ、こっちは目当てのボーンボアだ」


アリス「へぇ」


ローガン「よく覚えといたほうが良いかもな、遠征のクエストになると現地調達もしなくちゃならん時があるからな、こういうの覚えてると楽だぞ」


アリス「は、はい!覚えておきます!」


ローガン「結構新しい、近くにいるかもな」


アリス「そういうのもわかるんですか?」


ローガン「草を見てみろ足跡のところが全部潰れてるだろ?一日経てば草が起き上がてくる。

土の足跡も全然木の葉が重なってない。

ボーンボアの活動開始の時間は大体は人間と一緒だ。となると」


アリス「早くても私達が起きた時くらい・・・」


ローガン「そゆことだ」


アリス「冒険者ってこういうことも覚えないといけないんですね、頑張らないと」


ローガン「いや、別に必ず覚えないとってわけじゃない」


アリス「え?」


ローガン等級の高い冒険者は知らない奴も多い、食料は金さえあれば買えるからな、このやり方は金がかからないやり方だな、その分時間も食うが」


ローガン「まあ、覚えといて損はない」


アリス「いざという時の為ですね!」


ローガン「ああ、そうだな」


ーーーーーーーー


ローガン「ちなみにボーンボアは知ってるか?」


アリス「はい、えーと、猪型の魔物で確か角があって大きい・・・・すみませんそれぐらいしか」


ローガン「いや、そのくらい覚えといたらいいさ、あの足跡だと、多分高さだけでも俺より大きい」


アリス「え?そんなに・・・」


ローガン「多分アリスさんが知ってるボアは縄張り争いに負けた小さい個体だ、そう言うのがよく農村に降りてきたりするからな。

ボーンボアは個体だけで言うなら、3等級でも経験がなければ一人じゃ受けれないくら危険な魔物だ。

皮も頭蓋も硬いし何よりタフだ」


アリス(少し不安になってきた)


ローガン「まあ、今回は罠を使うから危険も少ない、だい。とにかく静かにして、落ち着いてやれば大丈夫だ」


アリス「は、はい」


ーーーーーーーー


ボーンボア、牛角のような角の生えた猪型の魔物、フゴフゴと鼻息を吐きながら餌である植物を貪る。

その中で美味しそうな香りに気付き、その方向へと歩き出した。


そして、目当てのものを見つける。

地面に置かれた餌、駆け足で向かい、周りを警戒しながらもそれを食べ始める。


ボーンボアはむしゃくしゃとそれ食べ尽くし、そして、また違う近場にに同じ餌があることに気づき、またそれに向かい、食べ尽くす。


徐々に警戒心は薄れて見つけは食べ、見つけは食べを繰り返す。

それか十数回ほど繰り返された頃、ボーンボアの動きが遅くなる。

瞬きの動きもうつらうつらと遅くなる、そして、ついにはその場に倒れ、そのまま眠ってしまった。


少し離れた木陰からローガンとアリスが現れた。


アリス「すごい、こんな簡単に」


ローガン「少し待ってろ」


ローガンはそう言って地面から拾った小石をボーンボアに向け投げた。


小石はボーンボアよお腹でバントし、地面に落ちる。ボーンボアは無反応、起きる様子はない。


ローガン「よし、大丈夫だ、近くぞ」


アリス「この後は・・・・」


ローガン「後は首にナイフを刺すだけだ」


アリス「起きないんですか?」


ローガン「起きる、けど眠気のせいで動きが鈍い、刺したらすぐに後ろに回るぞ」


アリス「は、はい」


ローガン「準備はいいか?」


アリス「はい」







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