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戦争だってよ

よろしくお願いします。

 【ラスフォアド王国】を抜けて3つ目の国【ヴォッパン鉄王国】に入った。

 この国は渓谷に挟まれているため、立地が悪く畜産業は盛んではない。その代わり峡谷から鉱石が取れるため、鉄産業が盛んである。

 

 僕達はのんびりとしながら馬車を走らせる。

 御者台にはデビュを乗せている。まぁ、座らせてるだけだけどね。ヨハネと違って何もしなくていいから楽だよね。


「この国は街に寄らないで行ってみようか~」

「これでナオ様の巻き込まれ運が確定するねぇ」

「何もなければ街に寄らなければいい。巻き込まれれば諦めると言うことですね」

「だね。巻き込まれたらもうとことん滅ぼすよ。大魔王を広めよう」


 諦めは肝心だよね。バレてもいいよ。どうせしばらくしたらバレて勇者召喚されるんだし。

 ちなみにコーリジェアとラクミルだけど、


「うへへぇ♪ナオさ~ん♡」

「ナオさま~♪いいにおい~♪」

「「はいはい」」


 2人は分身した僕の膝に乗っていた。コーリジェアはもはや欲望に塗れた顔で笑っており、ラクミルは純粋に子供が甘えるようにスリスリと胸元に頬を擦りつけている。

 幸せのベクトルは真逆だけど幸せそうだから良しとしようかね。


「2人はいいの?」

「私は1人のナオ様を膝枕するのが好きです」

「あたしはねぇ……夜の行為で十分だよ。あんまり人前ではねぇ」


 シフラは行為時にはがっしり抱き着いてきて離さないからね。上だろうが下だろうが後ろからだろうが脚を全力で絡めてくる。ドワーフの力ってすごいよね。まぁシフラは僕が強化してるけどね。

 

ドオォン!


「「「ん?」」」


 なんか音したね?

 

「デビュ。なんかあった?」

「前方で爆発、および戦闘行為を確認。人型同士での戦闘です」

「……巻き込まれますね」

「決定的だねぇ」

「はぁ~」

 

 ふむ。僕はもうダメのようです。

 まぁ、考えたら異世界に召喚されて突き落とされた時点で諦めるべきだったか。

 僕も顔を出してジィーっと目を凝らす。

 

「エルフとヒューマン。相手は獣人、ドワーフに……魔族?。何この組み合わせは」

「お~い。コリィ~。そろそろ戻っておいでぇ~」

「うへへ~♪きゃん!?ナオさん!?」


 コーリジェアはまだトリップしていたが分身を回収して床に落ちて現実に戻ってくる。


「コリィ。この国って内戦でもあるの?」

「いえ?この国はドワーフ主体の国ですからエルフはいないはずです」

「ということは?」

「そのエルフとヒューマンは隣国の【ポップラ森王国】かと」


 【ポップラ森王国】は【グラフィレオラ】に行くために通る予定だった最後の国だ。

 この国は渓谷に、ポップラは樹海に囲まれた国らしい。

 で?なんでその国の者同士が争っているわけ?


「仲悪いのかい?」

「いえ?普通だったと思いますけど」

「この国って魔族は普通にいる?」

「はい。この国は武器生産も盛んですので、魔剣作りでは魔族が活躍しますね」


 ならば魔族が暗躍しているわけではないと。

 ふむ。何があったのやら。……あぁ~。


「どうやらポップラの王が変わったことが原因らしい。どうやら心底ドワーフ嫌いらしいよ?それにエルフ至上主義?みたいな感じらしい」

「……ヒューマンはなんで従ってるんだい?」

「家族抑えられてるみたいだね」

「えぇ~……クズだねぇ」

「魔王って呼ばれそうだねぇ。……ふむ、友達になれそうだ」

「無理でしょう。絶対に相容れないと思いますよ」


 ふむ。やっぱりそう思う?実は僕もそう思う。


「さて、ここには今見事に見た目的には4種族が揃ってるわけだけど……」

「まぁ、騒動の種だろうねぇ」

「どうしますか?ナオさん」

「ふむ……流れに任せてみようか。ヴォッパンは攻められてる側だ。流石にエルフとヒューマンがいるからっていきなり攻めてこないでしょ?」

「それはフラグってやつじゃないかい?」


 そう思う?実は僕もそう思う。

 分身を全て戻して進む。直ぐに戦場が見えてきた。


「結構な規模ですね」

「国境だからねぇ」

「ここが一番戦いやすいでしょうね」

「エルフからしたら森に引き寄せたいのでは?」

「獣人がいなければ、そうですね」

「あぁ、なるほど」


 森は獣人達にとってもホームだからね。

 しかし、


「ポップラは結構善戦してるな」

「本当ですね」

「ヒューマンとエルフだけじゃあねぇ。獣人とドワーフだけでもきついのに魔族相手に善戦してるのは変な感じだねぇ」


 ポップラを後ろから支援している奴らがいそうだね。どうなることやら。

 

「そこの馬車ぁ!止まれぇい!!」


 馬車を進めていると重鎧を身に着けてハンマーを担いだドワーフが道を塞ぐ。


「戦争……ですかねぇ」

「そうだ!お前達はどこから来た!」

「【クルダソス】ですね。【グラフィレオラ】に行く途中なんですが……」

「この先は通行止めだ!ポップラの連中が突如エルフ以外通行させんとほざいたのでな!」


 露骨だねぇ。


「でもなぁ。ここから遠回りするのもきついなぁ」

「それは分かるがな。どうしようもねぇ!」

「ドッカン隊長!!ポップラの連中が来ました!!」

「ちぃ!!とりあえず今は引き返せ!いいな!」


 そう言ってドッカンは翻して走っていった。

 ふむ。意外と彼らとは何もなかったな。


「ということはポップラ側だねぇ」

「でも、このまま進まなかったらいいだけですよね?ナオさん」

「そうだね」

「どうしますか?」


 う~ん。判断に迷うねぇ。

 すると馬車に向かって矢が飛んできた。矢はゴーレム馬に弾かれて落ちる。


「おめぇら!早く逃げろ!」


 ドッカンが大声で叫ぶ。どうやら思ったより押されているようだ。

 ふむ。


「デビュ。あのドワーフ達を援護しろ。ターゲットはエルフとヒューマンだ」

「イエス、マスター」


 返事と同時にデビュはドン!と音を立てて御者台から飛び出す。

 さぁ、デビュー戦だねぇ。


 デビュはシールド・ピストルを背中から抜き、ドッカン達を飛び越えてポップラ兵の前に降り立つ。


「な!?おめぇ!何してやがる!?」

「なんだ!貴様は!我らポップラに逆らう気か!?」

「ターゲット・ロック。リボルバー・ファイア」


ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!


 ポップラ兵のエルフがデビュに向かって叫ぶと同時にデビュはリボルバー銃を抜いて発砲する。

 目の前にいた6人が倒れる。


「なぁ!?」

「貴様!奴を殺『ドパン!』ぜぇ!?」


 ドッカンやその部下は目を見開き、ポップラ兵のエルフはデビュを睨みながら部下に指示を出そうとするがシールド・ピストルで眉間を撃ち抜かれて死ぬ。

 

「ひぃ!?」

「チャージ」


 デビュはドン!と猛スピードで突っ込み、正面にいたヒューマンを殴り殺す。そのまま隣の敵兵をシールド・ピストルで殴り飛ばし、さらに銃撃して殺す。


「なんだ……あいつは……」

「滅茶苦茶強いぞ」


 そうかね?まだそこまでではないと思うんだけど。

 そのまま10分も経たずにデビュは敵部隊を全滅させる。

 ふむ。レーザー系の武器も取り入れるかな?


「すまねぇな。助かったぜ」

「お気になさらず。こっちにも攻撃を仕掛けられたから応戦しただけさ」


 僕はドッカンの言葉に肩を竦めて返答する。


「しかし大分攻め込まれてるね?」

「そうなんだよ。大怪我させても次の日にはピンピンに復活してるみたいでよぉ。戦力差が広がりつつあるんだ」

「あぁ~休みなく攻め込まれてると」

「あぁ。こっちは消耗しても向こうは翌朝には元気いっぱいだ。流石にな」


 そこらへんに絡繰りがあるか。連中の記憶からは大した情報は得られなかった。

 【聖女】とかでも生まれたかな?


「向こうって聖女とかいる?」

「いや。いねぇはずだ。こっちにも勇者や聖女もいねぇ」


 それは本当のようだ。もう少し情報が欲しいかなぁ。


プォーー!


「ん?」

「今日はここまでみてぇだな」

「ここまで?」

「今のは連中の笛だ。撤退の合図だな」

「撤退?押しているのに?」

「そこも分かんねぇんだよ。連中は大抵この時間になると引っ込みやがる」


 ふむ。そこらへんに絡繰りありか。

 連中の記憶も夜が無いんだよね~。寝てるにしても全員全くないってのはおかしいよなぁ。


「俺達も下がるぞ!……おめぇらも一度俺らのところに来いよ。このまま進んだってしょうがねぇだろ」

「じゃ、そうさせてもらおうかな」


 とりあえず情報をもう少し欲しいしね。

 

 

 僕達はヴォッパン陣営の拠点に案内された。

 馬車を収納して中に入る。中は騒然としていた。


「おい!こっちにも治癒師来てくれ!」

「薬が足りねぇ!包帯もだ!」

「水!急いでくれぇ!」

「しっかりしろぉ!まだ死ぬんじゃねぇぞ!」


 そこら中怪我人だらけだった。


「くそっ!そろそろ物資が足りねぇか」


 ドッカンが顔を顰めて吐き捨てる。

 まぁ、限界はあるよねぇ。少しは善行もしてみようかね。

 僕は【創造】で薬や包帯などの物資を生み出す。


「これ、使っていいよ」

「なんだと!?こんなにか!?」

「これくらいならドンドンどうぞ」

「感謝する!」


 ドッカン達は部下達に指示を出して物資を運んでいく。


「私も手伝いますか?」

「いや~そこまではいいよ。魔力回復薬も渡したし」

「分かりました」

「それに流石に【聖女】とバレるのは面倒しかないかな」

「だろうねぇ」


 それにしても怪我してない奴の方が圧倒的に少ないな。無傷なのは補給要員くらいか。

 安静にさせたくても毎日ポップラ兵は元気になってくるからねぇ。

 ふむ。


「偵察にでも行ってみるか」

「あたし達がかい?」

「あれらに行かせて情報手に入るならとっくの昔にだよ」

「それもそうですね」


 動こうとしたその時。


「まてぃ!」

「ん?」


 声の方向に目をやると、なんか豪華な鎧を着たドワーフが現れた。周りにも取り巻きのようなドワーフや獣人がいる。


「なにか?」

「貴様達だな!よそ者と言うのは!」


 物資を渡してやったのに随分と攻撃的だな。


「ふん!ヒューマンにエルフまでいるではないか!ポップラのスパイではないのか?」

「その通りですな!ゴドラ様!」

「捕えて尋問しましょう!」


 ふむ。これが王子ねぇ。周りは将来の側近狙いの腰巾着か。

 

「待たんか!ゴドラ王子!その者達は兵達のために物資を出してくださったのですぞ!」


 ドッカンが駆けつけてきてゴドラ達を止める。


「ふん!だから何だというのだ!我らのために奉仕するなど当然であろう!」

「何を言っているのだ!?」


 ふむ。ドッカンはここの指揮官としてこいつの世話役にされたか。哀れだねぇ。

 よく周りもこいつらの下で戦うよねぇ。


「全く!ん?」


 ゴドラはシフラに目を向ける。


「ほう!これは美しい!どうだ?我が愛人にならんか!」


 この状況で何言ってんだ?本当にポップラが急に攻めてきたのか?こいつらが実はなんか言ったんじゃね?

 

「お断りだよ。頭大丈夫かい?」

「なぁ!?貴様!」

「王子!いい加減にせんか!この状況で何を考えている!!」


 苦労してるねぇ。ドッカン。……あぁ~、ここにいるのもこいつが退かないからか。

 憐れ過ぎるだろう。この国の兵士達。


「あのエルフ共にいいようにやられている役立たずが偉そうにほざくな!あの程度の戦力も打ち破れぬ癖に!」

「戦場も見ない者が言うセリフではない!!」


 お~お~、言うねぇ。ドッカン。


カンカンカンカンカン!!


「敵襲!!敵襲ーー!!」

「なんじゃと!?これまでは夜戦など仕掛けて来なかったというのに!」

  

 ドッカンは慌てて出撃準備で走り出す。

 ふむ。どうやらあちらさんの状況が変わったようだな。

 【千里眼】で確認してみると、出てきたのは狼のような4本脚の魔物達だった。かなりデカイ。その背中にポップラ兵と思われる人影が見える。それが約10体ほど。

 魔物を扱う……ねぇ。エルフ至上主義を掲げるにしては、違和感を感じるなぁ。

 まぁ、戦力ではあるだろうね。


「王子!お下がりください!」

「わ、分かった!」


 ゴドラは取り巻きに連れられて、慌てて逃げていく。

 逃げるんかーい!兵士達を鼓舞せんのかーい!


「僕達も出てみようか」

「はい」

「あたしはやる気出ないねぇ」

「あいつらきもちわるい目でみてきた」

「撃ちたいです」


 不評だねぇ。当然だろうけど。


「とりあえず向こうの状況を知ってから決めようか。流石に魔物を使ってたり一夜で回復する理由とかも知りたいし」

「そうですね」


 久々に太刀を取り出して戦場に向かう。ルティエラ達も武器を取り出して付いてくる。

 

「おめぇら!?なんで来たんだ!?」

「いや~ちょっと気になっちゃって」


 魔物達はゆっくりと歩いている。

 ふむ。支配下にあるのは事実のようだ。上にいる兵士達に目を向けて心を読むが。


「ふむ。あの上の兵士も操り人形みたいだね」

「なら何故いるんですか?」

「多分あれが受信機みたいな感じなんじゃない?」

「なるほどねぇ」

「では近くに操っている者がいるということですか?」

「だろうね。まぁ、あれらを殺しながら探そうか」

「はい」

「は~い」


 魔物に向かって歩き始める僕達。

 それをドッカン達は慌てて止める。


「待て待て待て!!おめぇらだけで行くつもりか!?」

「問題ないよ」

「そんなこと信じれるわけねぇだろ!!」

「ちょっと黙っててくれない?」

「!?」


 僕はちょっと圧を飛ばす。それだけでドッカン達は気圧されて黙り込む。


「別に僕達は君達の味方って訳じゃない。僕個人の興味で動いてるだけ。これ以上干渉してくるなら……殺すわよ?」

「「「なぁ!?」」」


 魔力を高めながら女に変わる。男の方が魔力は高いけどね。【闇】のおかげで飛ばす魔力に威圧感が上乗せできるからね。

 

「な……なんなんだ?おめぇらは……」

「いいじゃない。私達が出ればあんた達は誰も被害出ないんだから」


 それだけ言って、私達は太刀を肩に担ぎながら進む。

 

「さて、デビュ。あんたは1匹殺したら森の中を探りなさい。ルティ達は2匹ずつ相手してね。私も1匹殺したら森の中に行くから。後から付いてきて」

「「はい!」」

「はいよ」

「はーい!」

「イエス、マスター」

「じゃ、行くわよ」


 私達は魔物に向けて走り出した。





 ナオは一瞬で一番奥にいた魔物の前まで移動する。


「ガアゥ!?」


 それに魔物は目を見開いて飛び下がる。そして、すぐさまナオを睨みつけて唸り始める。

 

「ふむ。反応はまずまずね。やっぱり上の兵士は反応なし」


 背中の兵士は足首を縄で縛り、魔物の胴体に括りつけられていた。


「さて、あれが無くなるとどうなるのかしら?」


 ヒュン!と太刀を振るうナオ。それに魔物はナオから離れるが不意に背中が濡れているのを感じた。目を向けると背中に括りつけられていた兵士が、腰から上を無くして血を流していた。

 魔物はそれに驚き前を向くと、先ほどまでいた場所に上半身があった。


「ふむ。特に支配が解けるわけではない……みたいね。あれはあんた達に指示を出すためのカメラ役ってとこかしらねぇ」

「グルルルル……!」


 ナオは魔物の様子を見て推測する。魔物は変わらずナオを睨んで唸っている。特に行動に変化はない。


「じゃ、もういいわ」


 ナオの姿がブレる。魔物がそれに構えると全身から血が噴き出す。そして首がズレて胴体から離れる。魔物は何をされたかも分からないまま死んでいった。

 ナオはそれを見届けることなく、森の中に歩みを進ませていた。



 デビュは一番森に近い魔物に向かって走っていく。

 魔物もデビュを認識して構える。


「ターゲット・ロック」


ドパン!


 左手でリボルバー銃を抜いて、背中の兵士に向かって発砲する。

 兵士は眉間に穴を開けて後頭部から血を噴き出して後ろに仰け反る。

 それを見たデビュは体に雷を纏わせる。


バン!


 空気が弾ける音を響かせてデビュが高速で魔物に迫る。デビュはそのままの勢いで右腕を振り抜いて魔物を殴り飛ばす。

 魔物は衝撃で体を破裂させ、絶命しながら森に吹き飛ばされる。

 デビュはそのまま命令通り、森に入る。


『デビュ。聞こえる?森の中で人を見つけたら殺していいわ。死体は確保しといてね』

「イエス、マスター」


 ナオの念話に返答して森の中を進みながら【鑑定】で周囲を探っていくことにした。



「あっという間に行きましたねぇ」

 

 ルティエラはナオとデビュを見て呆れている。


「全く相変わらずだねぇ」


 隣でシフラも呆れている。


「さっさと倒して追いかけましょう」

「そうだねぇ」


 ルティエラ達も魔物に向かっていく。


「どうやら背中のエルフは望遠鏡代わりみたいですね」

「じゃあ、遠慮しなくてもいいね」


 シフラは腕を振り下ろす。魔物の1匹が真上から何かに押しつぶされて死に絶える。

 ルティエラも炎を放ち、魔物を焼き殺す。

 次の魔物に向かおうとした時、


『待て!そこのエルフ!』


 突如背中にいるヒューマンから声が響く。口が動いている様子が見られなかったため、どうやら操っている者の声のようだ。


『何故エルフが我々に戦いを挑む!我々は同胞だぞ!』

「それがなんですか?別に同種くらいで殺さない理由になんてならないでしょうに。私はポップラの出身でもないですし」

『それならばヴォッパンの味方をする理由もなかろう!こちらに付け!良い思いができるぞ!』

「低俗ですねぇ。私は別にヴォッパンの味方でもありませんし、これから滅ぶ国に付く理由もありませんよ」

『なぁ!?何を言っているのだ!?』

「あの方に目を付けられた時点でこれは決定事項ですよ」

『あの方と言うのは森にいる女の事か?はっ!あの程度の女に何ができる!』

「それが見抜けないから付かないのですよ。では、さようなら」


 シフラと同時に近くの魔物を2体燃やす。


「とりあえず今の会話、ナオ様に伝えてるよ?」

「ありがとう。シフラ。では、行きましょうか」

「ラクミル達と合流しようか。あの2人は放っておくと何するか分からないからねぇ」


 ルティエラ達は苦笑しながらラクミル達の元に向かった。




「てい!」


 ラクミルは目の前の2匹向かって両腕を振り下ろす。

 2匹は首を傾げるも、急に目の前に大きな円盤状のものが縦に現れる。


「「グワァ!?」」

 

 2匹は驚くも避けきれずに真っ二つにされる。背中の兵士達も縦に裂かれる。


「むぅ~……つまんない!」


 ラクミルは不満気に頬を膨らませる。

 その隣でコーリジェアは苦笑しながら見ている。その後ろでは2匹の魔物が氷漬けになっている。

 それに銃を構えてドン!ドン!と発砲する。氷は粉々に砕けて魔物も一緒に砕けて死に絶える。


 そこにルティエラ達も合流する。


「終わったかい?」

「では、ナオ様を追いましょうか」

「はい!」

「ナオさま~!」

「ちょっと待ちな!」


 4人はナオを追って走っていく。


 その光景をドッカン達は唖然と見ていた。


「本当に何もんなんだぁ?奴らは……」


 訳が分からないがどうやら助かったのも事実らしい。

 それだけは理解したドッカン達だった。



ありがとうございました。

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