求婚されちゃった
よろしくお願いします。
1人称で纏めようかと思いましたが、戦闘シーンに関してはどうやっても上手く描けませんでした。申し訳ありませんが、戦闘シーンに関しては3人称で描く場合もありますのでご了承お願い申し上げます。
私達はゴーレム馬車でのんびりと進んで4日ほど経過する。
【イルマリネン王国】を出て、隣国の【ラスフォアド王国】に入国した。
この国は畜産業が盛んで、イルマリネンやクルダソスも輸入しているらしい。大きさはイルマリネン以上クルダソス未満。
まぁ私達は端っこを通るからあんまり関係ないんだけどね。街は1つルート上にあるのだけど寄るかどうか考え中。
なんか、また巻き込まれる気がするのよね。
「多分ですがどっちにしても巻き込まれると思います」
「言うわね。ルティ」
「だってねぇ、今の所百発百中で何かに巻き込まれてるよ?廃都でまで巻き込まれてるしねぇ」
「それに関しては一度戻ってまた巻き込まれましたしね」
「私達が寄った街全滅してるよ?」
グゥの音も出ないわ。私が寄った街で生き残ってるところってあるのかしら?……なさそう。
「これは前も言ったけど。私から突っ込んだのは少ないわよ?突っ込んでも途中からは向こうが暴走してるじゃない」
「まぁ、確かにねぇ。イルマリネンでもナオ様はコリィを助けただけだけどねぇ」
「賢者と神殿にバカ息子が暴れただけですもんね」
そうよそうよ。奴らが急に暴走しただけじゃない。私は悪くないわ。
「では、街には寄ると言うことで?」
「そうね。諦めて周りも巻き込みましょ」
コーリジェアの言葉に頷く。
「そういえばゴーレム馬車って珍しい?」
「もちろんです」
「このまま行っても大丈夫だと思う?」
「注目は浴びると思います。後は……馬鹿な貴族が居なければいいのですが」
『……………』
「たぶんいる~」
ラクミルが私にもたれながら二ヘラと笑いながらトドメを告げる。
そうよね。間違いなくフラグよね。
「ラクミルはどういう貴族だと思う?」
「んっとね~……へんたい!」
「やめてよ」
「じゃ~……おんなずき!」
「変わってないわよ」
本当に来そうじゃない。
……あれ?私って女の時ナンパされたことあったっけ?いや、あるわ。それはある。随分前だけどね!
「でも、ナオさんもモテると思いますけど」
「そうですね」
ふむぅ。嬉しいやら悲しいやらね。
とりあえず構えときましょうか。
「この国はどちらかといえば獣人やエルフが多いはずです」
「貴族も?」
「そうですね」
「獣人が貴族って違和感」
「まぁ、少なくはありますね」
脳筋のイメージが強すぎるわ。
「獣人の貴族は女性当主が多いですね」
「それは凄い納得するわ。なるほどね。男は種馬か」
「まぁ、ストレートに言えばそうですね」
まぁ、関係ないでしょうけど。……ないわよね?
なんだかんだで街に着く。街に着く少し前に馬車を降りて馬車を仕舞う。
「便利ですね」
「その分目立ってるけどねぇ」
「まぁ、盗める人はいませんから大丈夫でしょう」
ルティエラ達は苦笑しながらゴーレム馬車について話している。
便利は正義よ。
「凄い馬車を持っているな」
「まぁね。迷宮攻略でもらったのよ」
「それは凄いな!この街には何を目的に?」
「グラフィレオラに行く途中で寄っただけよ」
「なるほど。では、良き滞在を。お気をつけて」
門番と軽く話をして中に入る。
宿を紹介してもらって、先に宿を取る。高い所でも特に問題ないので大部屋を取る。
観光名所はなさそうなのでどうしようかと考える。
「とりあえずギルドに行って情報収集はしとくべきかと」
「そうね。さて、どんな変人に会うことやら」
「やめておくれ」
「へんたい~♪」
「ラクミルは何を期待してるのよ」
街を歩く私達に周囲から物凄い視線が向けられている。もちろん私達は無視。
まぁ、美人の集まりではあるでしょうね。
「コリィ。ちゃんと私が許すまで撃っちゃだめよ」
「ば、場所の判断くらい出来ます!」
「嘘おっしゃい。時々銃に手を伸ばしかけてるくせに」
「うぅ~」
落ち込むコリィ。無事にトリガーハッピーへの道を歩んでいるようだ。
ふむ。ゴム弾銃でも作っときましょうか。
ギルドに入って、情報収集する。
イルマリネンはサグネディドによって絶賛混乱中らしい。
ふむ。ヤブンハール達のこともあるし、どこかに拠点を作るべきかしら。
クルダソスも絶賛混乱中。ヒミルトルによって北側も混乱しているため、建て直しが間に合わない感じ。他国も魔王によるものであるため自分達も防衛をしなければならず、支援しにくい状況らしい。特に【大勇者】ヴァギが失踪したことが拍車をかけているらしい。
聖国もヴァギを抱えていた国に多額の慰謝料を請求されているらしく、聖神教もクルダソスとイルマリネンの事が広がり、かなり問題になっているようだ。
ふむ。見事に大混乱。神々はどうしているのかしらねぇ。結構パニックになっていると思うのだけど。
「おぉ!なんという美女達が揃っていることか!」
ギルドの入り口から声が響いてくる。
目を向けると、そこにいたのは犬耳を頭に生やした貴族と思われる男だった。
茶髪のオールバックに整えた口髭を生やした伊達男だ。
「本当に来たじゃないの」
「流石だねぇ」
シフラと2人でちょっとうんざりする。
「御婦人方!どうかこのシュペード・コッツァ・ソカッチに時間を頂けないだろうか!」
「嫌よ」
片膝を着いて、右手を私に差し伸べてくるシュペードの誘いを私は一言で断る。
その対応にギルドにいた全員が目を見開いて固まり、何人かは「あ~あ」という感じで呆れた目を向けてくる。
名前からして、貴族なんだろうけどね。明日には出る気なのになんで来るのかしら。
やっぱりなんか呪いでもあるのかしら?
シュペードも迷いもない拒否に驚いたのかポカンとしている。しかし、すぐにフッと気取ったように笑う。
「照れているのかね?しかし大丈夫!君達を満足させることを誓おうじゃないか!」
「嫌よ」
「きもい」
私は再び突っぱねる。ラクミルがさらっと付け加える。
しかし、なんでかシュペードは引かない。
「おぉ!そうか!君は私を独占したいというのだね!構わない!さぁ!2人でアバンチュールを楽しもうではないか!」
「嫌よ」
「きもい」
「死んでください」
どういう脳内変換してるのよ。さっきから3文字しか言ってないのに。コーリジェア、銃から手を離しなさい。まだ駄目よ。
このおっさん。奥さんいないの?いたら最低だし、いなかったらいなかったで駄目じゃん。
「むうう!手ごわいな!しかしそれがまたいい!!よし!いいだろう!君を私の愛人として迎えようじゃないか!!」
「嫌よ」
「きもい」
「死んでください」
「それはないねぇ」
それで喜ぶ奴って金目当てな女だけよ。
「な!なんと!そうか!君は私の妻になりたいのか!よかろう!君を私の第2夫人として迎え入れようではないか!!」
「嫌よ」
「きもい」
「疾く死んでください」
「それはないねぇ」
「最低ですね」
遂に全員からダメ出し出たわよ?それにやっぱり奥さんいるんじゃない。
周りの連中はまだ目を見開いて固まっている。
プロポーズを断られたことでようやく拒否されていることを察したのか、シュペードは目を見開いて固まる。
「何が不満なのかね!?この私がここまで譲歩したのだぞ!?」
『どこが?』
「っ!!えぇい!!いいのかね!?私に恥をかかせるとこの街では生きていけないぞ!!」
「明日、出るからこの街では生きていかないわよ」
「くぅ!?」
どうやらこの街を治めている貴族だったらしい。
よく住民達が反乱起こさないわね。
「何を騒いでいるのです?」
「っ!?カローテ……!」
ギルドの奥から現れたのは赤いドレスを着た金髪ロングウェーブの犬獣人の女。
手には扇を持っており、後ろにはメイドが2人無表情で控えている。
ふむ。あれがこいつの妻か。それに後ろの2人。面白いわね。
「シュペード様。何がありましたの?」
「こ、この者達が私の求婚を断ったのだ!」
え?それ言っちゃうの?
カローテはこっちに目を向ける。目を細めて私達を上から下まで観察する。
「……なるほど。見た目は確かに十分ですわね」
というか、夫の娶り発言は良いの?
「しかし、この者達は卑しい下民。我が家には観賞用のお人形はもういりませんわ」
おぉ~。中々言うわねぇ。
「しかし!このままでは私の気が収まらん!!」
「……はぁ~。仕方ありませんね」
シュペードの言葉にカローテは眉間に皺を寄せため息を吐き、扇を広げて口元を隠す。
そしてこっちに目を向けて、
「あなた達、うちの奴隷になりなさい。シュペード様の性処理をしてもらうわ」
「嫌よ」
「……なんですって?」
「いや。なんでそれに頷くと思ってんのよ」
「……私に逆らうというの?」
「あんたなんて知らないし」
「…………」
アホみたいな謎の命令を拒否すると、何故かカローテはさらに顔を顰める。シュペードや周りの連中も口を大きく開けて驚愕する。
なに?この街って独裁政治なの?
「貴族の命に逆らう……それが何を意味するか分かっているのかしら?」
「いや~下民なもので」
「……プリムム」
「イエス、マスター」
私がお道化たように返答すると、カローテは無表情になり、後ろのメイドの名前を呼ぶ。返事をしたのは金髪おかっぱのメイド。
「殺しなさい」
「イエス、マスター」
プリムムはドン!と音を立てて、高速でナオに向かって飛び掛かる。そして、プリムムはそのままの勢いで右拳を振り抜く。
ナオは顔に拳を叩きつけられて吹き飛び、ギルドの壁をぶち抜いて空を舞う。
プリムムはそれを追いかけて、飛び上がってくる。
プリムムは今度は蹴りを放ち、ナオをさらに吹き飛ばす。
ナオは地面に叩きつけられて、家や店を破壊しながら地面を転がる。
20軒ほどぶち抜いて止まる。
ナオが埋もれる瓦礫の前にプリムムはフワリと降り立つ。
プリムムは無表情のまま瓦礫を見つめながら、ゆっくりと瓦礫に近づく。
そして、右腕を振り上げる。
「流石【オートマタ】ってところかしら?」
振り下ろした腕を途中でピタッと止める。その姿勢のまま上を見上げる。
少し先の建物の屋根にナオが立っていた。
「それもかなりかなり精密な造りね。おかげでいい設計図が手に入ったわ」
不敵に笑いながらプリムムを見るナオ。
プリムムは特に反応見せずに、再び飛び込んでくる。
「でも所詮は人形……スキルは持っていない、か」
右貫手を放つプリムム。
それを首を傾けるだけで避ける。そしてプリムムの腹に右拳を叩き込む。
くの字に折れ曲がるプリムム。しかしダメージは感じていないのか、すぐに動こうとする。
そこにさらに右脚で後ろ回し蹴りを放ち、プリムムを吹き飛ばす。
今度はプリムムが街を破壊しながら吹き飛ぶ。
「ほら。さっさと動かないと終わっちゃうわよ」
吹き飛ばされながらもプリムムが顔を上げると、視界に入ったのは靴裏だった。顔を踏み蹴られて地面に叩きつけられる。
「すぅ……ふぅっ!!」
ナオは空中で拳を構えて息を吸い、一気に拳を連続で放ち拳圧を浴びせる。
プリムムはもちろん防ぎきれずにまともに浴び、さらに周囲の街も衝撃で砕けていった。
ルティエラ達は吹き飛ばされたナオを追おうとする。
「セクン」
「イエス、マスター」
「っ!ぐぅ!?」
「シフラ!」
カローテの後ろに控えていたもう1人の青髪メイドが飛び出して襲い掛かってきた。セクンはプリムム同様右拳を放ってくる。
シフラはコーリジェアを庇い、両腕で防ぐも吹き飛ばされてナオ同様壁を突き破る。
ルティエラが叫ぶが、その前にセクンが立ち塞がる。
「大人しく捕まりなさい。私の【オートマタ】に勝てるわけはないのです」
「オートマタ!?これが!?」
「素晴らしいでしょう?我が家の財力の8割をつぎ込んで作った人形。完成体は4体しか出来ませんでしたが、それでも十分過ぎるくらい」
うっとりした表情をしながら語るカローテ。
「この子達の前ではどんな者でも倒れ伏す。私達に逆らった愚か者に思い知らせるには十分でしょう」
どうやら街の者達が逆らわなかったのはこの【オートマタ】の存在があるからのようだ。
「さて、2匹ほど失いましたがあなた達3匹で手を打つとしましょう」
「勝手に殺さないでくれるかねぇ」
「なっ!?」
突き破られて出来た壁の穴からシフラが現れる。汚れてはいるが特に怪我をしてはいないようだ。
その姿にカローテやシュペードはもちろんギルドにいる者達も目を見開く。
「なんで生きているの!?」
「あの程度じゃあねぇ」
「っ!セクン!!」
「イエス、マスター」
コキコキっと首を鳴らすシフラ。それを見てカローテは再びセクンに襲わせる。
セクンは左貫手を放ちながらシフラに迫る。
カローテは今度こそ殺したと確信してニヤリと笑う。
バゴォン!!
「きゃああああああ!?」
「は?」
しかし、その直後にカローテの真横を何かが通り過ぎ、それは受付を砕きながら職員スペース奥の壁に叩きつけられた。受付嬢の悲鳴が聞こえる。
カローテの視線の先には右手を突き出したシフラが立っていた。
セクンが迫っていたはずなのに。
つまり今飛んでいったのはセクンということだ。
目を向ければガラガラと瓦礫から起き上がるセクンがいた。
「うそ……嘘よ!?セクンを!私のオートマタを押し飛ばした!?」
カローテが叫ぶ。
すると、
ドドドドドドドドドドドドドドドオォーン!!!!!
ギルドの外から轟音と地響きが轟いた。
「うおおお!?なんだ!?」
「やべぇ!?逃げろ!」
「どこにだよ!?外から響いてんだぞ!?」
シュペードや冒険者達が騒ぐ。
ドガァン!
ガァン!
「うわあああああ!?」
「きゃああああ!?」
今度はギルドの入り口側の屋根から大きな瓦礫が突き破ってきて、ギルド奥に転がり落ちる。
冒険者や職員達が悲鳴を上げながら慌てて避ける。
「何が起こっているの!?」
カローテは地面にうつ伏せにしゃがんで瓦礫を避けていた。立っていても頭上を越えていただろうが、武芸者でもないカローテがそれを判断できるわけがない。
カローテは瓦礫を見ながら状況が飲み込めずに叫ぶ。
「あら。随分薄汚れたわね。貴族様」
「!?」
カローテは目を見開いて、穴が開いた屋根を見上げる。
そこに立っていたのはナオだった。
「なんでお前が……!?プリムムが殺しているはず!?」
「あぁ、これのことかしら?」
ナオは左手に持っていたモノを掲げる。
「な!?プリムム!?」
掲げられたのは下半身と両肘より先を失っているプリムムだった。服もボロボロで右目からも涙のように何かの液体を流しながら髪を掴まれてぶら下がっていた。
「構造も性能も素晴らしいわね。まぁ、私にとっては雑魚だけど」
ポイっと残骸をカローテの目の前に投げ捨てる。
ドシャンと頭から落ちるプリムムの残骸。全く反応もなく、明らかに機能が停止していた。
「そ……んな……」
カローテは現実を受け止められなかった。
それを見ながらナオはトンっとカローテ達の前に下りる。
「あら?シフラどうしたの?」
「もう1体に吹き飛ばされたんだよ。空中で受け止めたからねぇ」
「ふむ。まぁ、問題なさそうね」
「それはもちろん」
肩を竦めて苦笑するシフラ。
「っ!!セクン!!」
カローテはその会話中に気を取り戻し、命令を出す。
ドンドンドンドンドンドンドン!!
しかし、そこに破裂音が響く。
耳を塞ぎ、目を閉じるカローテ。
音が途切れ薄っすらと目を開け、目に入った光景に目を見開く。
「セ……セクン……!?」
命令したはずのセクンが仰向けに倒れておりピクリともしていなかった。
カローテは慌てて立ち上がり、セクンに近づく。
「ひぃ!?」
カローテはセクンを見て悲鳴を上げる。
セクンの顔には7つの穴が開いており、もはや顔面の原型は留めていなかった。
穴からはプリムム同様何かの液体が漏れ出ており、血のように見えた。
「おぉ~!上手くやったわねぇ。コリィ」
「はい!」
カローテが声に目を向けると、コーリジェアが銃を手に持って構えていた。
「なんなのよ……!?お前達は……!?どうなるか分かっているのよね!?これでお前達は国賊よ!!」
「あら大変。なら、目撃者は消さなくちゃ」
「え?」
ナオが後ろに向かって左腕を伸ばす。そこから大きな闇が放たれる。
「な!?」
「ルティ、シフラ、ラクミル、コリィ。私の傍に居なさい」
「はい」
「はいよ」
「「は~い♪」」
ルティエラ達はこれ好機とナオに抱き着く。それを苦笑してながらも受け入れるナオ。
腕を降ろすと、闇が収まる。
そこにあるはずの街が消えており、荒野が目に入る。
「……え?」
「ふむ。半分くらいか」
「街が……消えた?うああ……!うあああああああああああ!?」
シュペードは股間を濡らして壊れたように泣き叫びながら、外に向かって走り出す。
カローテはそれを止めようとしたが、震えて声が出なかった。
「逃げても無駄なのにね」
「ば……ばけもの……!?」
「残念。魔王……いや【大魔王】なのよ」
ナオの言葉にカローテは何も返せなかった。
「どうしたの?貴族なんでしょ?ほら、掛かってきなさいな」
「あ……ああ……ひぃ……ひぃいいいい……!」
「情けないわねぇ。後ろの連中に詫びなさいな。あんたのせいで死ぬんだから」
カローテは恐怖で涙や鼻水を垂れ流し、股間も冷たくなっていた。
ナオの言葉に後ろを向く。見下していた者達の憎悪の視線に気づいてしまい、固まってしまう。
「やっぱり偉ぶった奴は一度落ちるともうダメね。さよなら」
「ひぃ!?まっ!待って!?」
ナオはカローテの様子に失望し、別れを告げる。
慌てて土下座しようとするが、その前に闇が放たれ、ナオ達の周囲を膨大な闇のドームが広がった。
街の半分が消え去って、慌てて街から200mほど逃げていた者達も闇に飲み込まれた。
闇が消えた時には街は無くなっており、街の名残はナオ達の足元にあるギルドの床だけだった。
「やっぱり……街が消えたねぇ」
「まぁ、今回も不可抗力に近いですけど」
「本当に……なんでまともな貴族に会えないのかしら。私って」
「いいのです!ナオさんを奴隷にしようとする愚か者なんて死んでしまえばいいのです!」
「そうだそうだ~」
シフラがため息を吐き、ルティエラが苦笑しながら私をフォローする。
私はこの結果に嘆くが、コーリジェアとラクミルが抱き着いたまま過激なことを言っている。
「はぁ、もう諦めるわ。平凡に過ごそうだなんて」
「今更だねぇ」
「そうですね」
「シフラ、ルティ。しばらく夜お預けよ。自慰も許さないわ」
「「えぇ!?」」
「しばらくは3人で楽しみましょうね~」
「はい!」
「ズッコ『ドドン!』コン~♪!!」
えぇ。お仕置きよ。私だって偶には怒るわよ!
馬車を出して、乗り込んでスピードを出して走り出す。
ふむ。しかし、予定外の所で設計図が手に入ったわ。一度作ってみて、分かる範囲で改造していきましょうか。
暇つぶしが出来たわね。
さて、街を消したのはどうしましょうか?
また魔王か異王でも作る?う~ん。ちょっと考えましょうか。ついでに天使共がどう動くか見たいしね。
そろそろバレてもいいとは思うけどね。
ありがとうございました。