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花嫁ゲット?

よろしくお願いします。

 クデッカウスをまっすぐに見て、両腕を広げながら見据える。

 さて、どう出るかねぇ。


「舐めやがって……!クソガキがぁ!」


 クデッカウスはフデリオから受け取った赤い錠剤を1つ飲み込む。

 

 すると、体がバゴン!と盛り上がって体が一回り大きくなる。

 白目が赤くなり、額から虫の触角のような角が生える。頬や手の甲には甲殻のようにゴツゴツしている。

 

「カアアアァァァァァ」

「ひぃ!?」


 息を吐き出すクデッカウス。

 それを見て、顔を引きつらせて後退るフデリオとフロデア。


「フハハハハハ!すげぇ力が湧いてくるぜ!!おい!!ズロー!てめぇも飲め!」

「ちっ!仕方ねぇか」


 【黒犬】の男、ズローも仲間を殺したナオが憎いため、薬に手を出す。

 ズローも同じように体が膨れ上がり、変化する。


「フデリオ殿。あんたも良ければ飲んどけ。それにそこの賢者殿にも飲ませて自信取り戻させてやれ!」

「わ……分かった」


 クデッカウスとズローは自信に溢れた歩みで僕に対面する。

 ふむ。……確かに魔力は上がったが……。


「その程度でいいのか?」

「十分だよ。てめぇ程度ならなぁ!!」

「死ねぇ!!」


 2人は僕に飛び掛かる。

 剣を振り下ろしてくるが、軽く躱す。さらにズローがナイフを連続で振るってくるが、それも余裕そうに躱し続ける。

 クデッカウス達は拳や蹴りも放ってくるが、僕には掠りもしない。


「くそがぁ!!」

「ほれほれ。もっと速くしないと当たらないよ」

「ぐぅ!」


 クデッカウス達の顔が屈辱に歪む。

 ふむ。身のこなしが分かってないね。力に振り回されてるだけだな。


「ぐおおおおお!?」


 すると、バジェロドも体が膨れ上がる。

 あらら。ついに薬に頼ったよ。賢者さん。


「この力なら!いける!死ねぇ!!」


 バジェロドが笑いながら地面から鉄の槍を生み出して、僕に飛ばしてくる。

 なんだ。結局同じじゃないか。

 それを軽やかに躱す。


「きゃあああ!?」

「おっと」


 なんとバジェロドがコーリジェアも狙い始めた。

 コーリジェアは氷を生み出して、なんとか防いだりしているが簡単に砕けてしまう。

 助けに向かおうとすると、


「行かすかよ!」

「ははは!」


 クデッカウス達が邪魔をしてくる。

 まぁ、意味ないけどね。


 クデッカウスは拳を振るうが、突如ナオの姿が消える。


「な!?」

「だからさぁ……考えが甘いよ」

「「「!?」」」


 上から声が聞こえた。

 屋敷の屋上に目を向けると、そこにはコーリジェアをお姫様抱っこしているナオがいた。


「僕がさっき時間を巻き戻したの忘れたのか?邪魔なんて無駄だよ」

「く!」


 僕はコーリジェアを降ろす。


「ナオさん……」

「大丈夫だよ。コーリジェア。直ぐに終わらせてくるわ」

「え!?」


 コーリジェアの目の前で突如愛する男が女に変わる。それに目を見開いて驚く。

 それを見て肩を竦める私。


「あら。魔王だって言ったでしょ?性別くらい変えられるわ。どう?そんな私は嫌い?」

「……まさか……その程度で嫌いになりません!」

「そうっこなくちゃ」


 コーリジェアの力強い言葉に私は笑顔を浮かべる。

 元々女っぽい顔だったのに本当に女になったその笑顔にコーリジェアは見惚れてしまう。

 クデッカウス達も私の変化に驚き、攻撃してこない。

 何やってんのかしらね。


「じゃあ、もうちょっと待っててね」


 私は下に飛び降りる。


「で?なんで攻撃してこないの?馬鹿なの?……まさか私の美しさに見惚れてたなんてことは……!?」

「あるか!!てめぇ……!なんなんだよ……!」

「だから魔王だって言ってんでしょ」


 お道化る私に化け物を見るような視線を向けるクデッカウス。

 

「ほれ。もっと薬飲みなさいよ。すぐに終わるわよ」

「なめんじゃねぇ!!!」


 私の挑発にクデッカウスとズローが飛び掛かる。

 本当に馬鹿ねぇ。


「舐めてんのはそっちでしょうが」

 

 そう吐き捨てながら、ズローの懐に一瞬で移動して鳩尾に右肘を突き刺す。


「ごぇ!?」

「ズロー!?ってなぁ!?」


 ズローは体をくの字に曲げる。クデッカウスはそれに驚くも、私がズローを片手で持ち上げてクデッカウスに投げつける。

 クデッカウスは避けきれずにぶつかって倒れる。


「ぐぅお!?」

「化け物めが!?」

「だから魔王だって」

「「!?」」


 バジェロドがその光景に恐怖を覚えて吐き捨てるが、不意に後ろから声が聞こえた。

 フデリオと共にバッ!と後ろを振り向く。


「フロデア!?」

「あ……ぁ……」


 フロデアの背中からナイフが突き刺さり、胸からナイフの刃が突き出ている。

 口の端から血を流しながら、ピクピクと震えて瞳から光が消えていくフロデア。


 ふむ。こいつ。なんでここにいたのかしらね。

 さっさと逃げとけばいいのに。


 そう考えながら、突き刺したまま横に振ってフロデアを投げ捨てる。

 フロデアは頭から倒れて、そのまま息絶える。


「きさまぁ!!!」

「だったら掛かってきなさいな。ほれほれ、薬飲んで飲んで」


 フデリオが目を血走らせて叫ぶ。

 ならばお前が掛かって来いと手をクイクイっとする。

 フデリオはその挑発に乗り、ザラザラっと薬を掌に5錠ほど乱雑に出して一気に飲み込む。 


「な!?馬鹿野郎!飲み過ぎだ!」

「ぐおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 クデッカウスがそれを見て叫ぶが、フデリオの咆哮がそれをかき消す。

 

 フデリオの体がボコボコと膨れ上がり、服を突き破る。

 皮膚も真っ赤になり、その上に緑色の甲殻を纏っていく。下半身は4本脚で足先は虫のようだった。頭は顔の周りを覆う様に甲殻が纏わる。

 

「フ……フデリオ殿……」

「オオオオオオオオアアアアアアアアアアァァァァ」


 もはや言葉を話せないようだ。

 ふむ。これは誰でもこうなるのかしら?それともこいつだから?

 クデッカウス達は1錠だけだけど見た目は変わらないわね。


「ふぅ~ん。魔物の成分を取り込む薬ねぇ」

「魔物じゃねぇよ」


 クデッカウスは残った薬を回収し、苦い顔で私を睨む。


「まさか本当に魔王の肉体を使ったとでも?」

「そうだ」


 クデッカウスの言葉にバジェロドが驚く。

 

「この領地の山奥で魔王の死体が見つかってな。その細胞を使ったんだよ。その責任者をフデリオ殿に任せてたんだけどな」

「ふぅ~ん……私からすれば魔王どころか異王ですらなさそうだけど?」

「はっ。てめぇ如きが分かるものかよ。文献も使って調べたんだからな」


 随分と自信満々ねぇ。

 まぁ、どうでもいいわね。


「グルアアアアアアアアアアア!!!!」


 フデリオだった魔物が私に向かって走り出す。

 ふむ。私を狙う理性はあったか。


「俺達も続くぞ!」


 フデリオが巨大な拳を叩きつけてくる。

 その後ろからクデッカウス達も攻めてくる。


「避けた所を狙え!」


 ふむ。じゃあ避けない。


 私はフデリオの腕を左腕だけで受け止める。

 吹き飛ぶどころか下がることすらなかった。


「はぁ?」


 その光景にクデッカウス達が間抜けな声を出し、アホみたいな顔をして足を止める。

 フデリオは脚に力を込めて押そうとするが、ビクともしていなかった。


「なに足を止めてるのよ」


 私の声にクデッカウス達はハッとして攻めかかる。

 その時、フデリオが一度腕を引いた。


「な!?馬鹿野郎!」

「ちぃ!」 

「素人に薬なんて持たせるからよ」


 フデリオの行動を罵倒しながらもクデッカウスとズローは武器を振るう。

 しかし、それも容易く避けられる。

 

「ちくしょうが!」

「2人目」

「っ!?ズロー!?」


 ズローは首より上が消滅していた。ブシュウウウと血を噴き出して倒れる。

 バジェロドを後ろでズローの頭が消える瞬間を見てしまい、固まっている。


「弱いわねぇ。その薬失敗じゃない?スキルを特段強くするわけでもないんでしょ?」

「……………」


 クデッカウスは歯軋りをして黙る。事実、この魔王薬は魔力と身体能力を上げるだけだ。


「それで魔王なんて大層な名前つけないで欲しいわねぇ」


 私達が脳筋みたいじゃない。


「これで出し尽くしたみたいね。じゃあ、もういいわ」

「!?」


 私は腕を振るう。

 フデリオの上半身が掻き消されるように消滅した。


「なぁ!?」

「馬鹿な!?あの化け物を!?」

「この程度で魔王だなんて思わないでほしいねぇ」

「「!!」」


 僕は男に戻ってクデッカウスの真横にいた。

 

「くそがぁあああああああ!!」


 バジェロドが全魔力を放出して、修練場全体の地面から剣を生み出して僕に飛ばす。

 クデッカウスはそれを見て、剣を投げつけながら僕から離れる。


「くどい」


 僕からバジェロドの魔力が掻き消されるほどの膨大な魔力が一瞬放出される。

 その一瞬で剣が全て消滅した。


「な……な……な……な……な……」

「………………………」


 バジェロドは顔を真っ青にして震えながら同じ言葉を繰り返し、クデッカウスも冷や汗を流しながら固まっている。


「所詮は姑息なことしか出来ない工作員と【賢者】の名に溺れた愚か者か。この程度の力で魔王の力を手に入れた気でいるのだから」


 僕はもはや興味を無くしていた。


「どうする?コーリジェア。君が殺す?」


 屋根の上にコーリジェアに声を掛ける。

 随分と離れているのに声がはっきりと届いたコーリジェアは一瞬目を見開くが、すぐに言われた内容について考える。


「いえ。私も気づけなかったので。私が殺す権利はありません」


 コーリジェアの言葉に生き残れる可能性があるかもと思い、ホッとする2人。


「なので、あなたにお任せします。ナオさん」

「分かった」

「「!?」」


 しかしコーリジェアの移譲発言に再び体を強張らせる2人。


「じゃ、死んでもらおう。生かしておく理由もないでしょ」

「ま、待て!降伏する!全て話す!」

「ざんね~ん。君の知っていることは()()()()()()()()()()()()()()()()話す必要はないよ」 

「!?」


 クデッカウスは降伏を宣言して取引を申し出るが、僕は一刀両断する。

 

「ボロラダ王国の継承権争いのことや山の麓の廃墟の地下にある研究所のことも、他の君の協力者も全員ね」

「………!?」


 クデッカウスは顔を真っ白にして震える。


「わ……私は!」

「あぁ、バジェロドは無理矢理魔物にされたってことにしといてあげるよ」

「!?」


 何かを言おうとしたバジェロドだが、僕の言葉に固まる。

 そして、自分の運命を悟る。


「なぜだ……なぜ僕がこんな目に遭う!?僕は!彼女にふさわしくありたかっただけなのに!!」

「運がなかったねぇ」


 バジェロドは嘆くが、僕は運が無いという一言で終わらせる。

 その言葉に顔を赤くして何かを叫ぼうとしたが、


ボォウ!


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」


 突如、全身から炎が燃え上がり悲鳴に変わる。

 すぐにその声も途絶え、体が崩れ去り灰になる。


「さて、君で最後だ」


 僕はクデッカウスを見る。

 クデッカウスは体を震わせて、一歩後退るが逃げるまでは出来なかった。


「残りの薬も飲みなよ。そうすれば勝ち目があるかもよ?」

「………っ!?」


 そんなわけない。

 そう思うも、ここから逃げることは出来るかもしれないと頭に過ってしまうクデッカウス。

 恐る恐る小瓶を取り出し、残りの薬を取り出す。

 一瞬逡巡するも思い切って飲み込む。

 そして、体が膨れ上がって力が溢れてきたと思った瞬間、


「まぁ、その薬も【変質】させて効果を逆にしたんだけどね」

「!?……がぁ……!?ごぉ……!」


 息が苦しくなり、膨れていたはずの体が逆に萎んでいくクデッカウス。

 首を押さえて膝を着く。

 ゆっくりとナオが近づいてくる。

 しかし、もうそれを気にする余裕は無い。

 クデッカウスの体は元の体以上に細くなっていく。着ていた鎧も重く感じて倒れ込む。

 

「良かったね。僕に殺されずに済んで。そのまま魂ごと干からびて死ぬといいよ」

「ぁ……ぃ…ゃ……」


 そうして、クデッカウスはミイラのようになって死に絶える。

 皮と骨だけになってカサカサになっている。

 哀れだねぇ。


 僕はコーリジェアの元に飛ぶ。


「お待たせ。フレバロトさんのところに行こうか」

「はい」


 コーリジェアは特に表情を変えずに頷く。

 ふむ。開き直ったからか?もうクデッカウス達が死んでも気にしていないようだ。

 コーリジェアをお姫様抱っこして転移する。

 


 神殿に移動すると、妙に周りが慌ただしい。

 ふむ。これは……やってくれたなぁ。


「ナオ様!」


 ルティエラ達が慌てて近づいてくる。


「申し訳ありません!どうやら神殿長もグルだったようです!」

「え!?」


 コーリジェアは目を見開く。


「気づいた時には結界を張られてしまい、突入した時には……もう殺されておりました」

「そ……んな……!?」


 悔しそうに顔を顰めて報告するルティエラ達。

 それを聞いて、コーリジェアは顔を真っ白にして膝から崩れ落ちそうになる。

 それを支えると、コーリジェアは縋りついてきた。


「ナオさん!また……また時間を戻して!お父様を!」

「……体は持ってかれちまったんだ。それに聖水をかけて体に火もつけていた」

「そんな!?」


 そこまでやるのか?

 ちっ。そこまでされたら、もう魂も昇天しているな。

 顔を顰める。

 それを見てコーリジェアは絶望する。


「でも、なんで神殿長が?」

「分かりません」

「そうだよねぇ。分かった。悪いけどコーリジェアを頼むよ」

「はい」


 コーリジェアをルティエラに任せて、転移する。





 神殿内の地下から外へと繋がっている秘密の避難経路を走る者達がいた。

 彼らは荷車に死体を乗せていた。フレバロトの死体だ。

 彼の死体はもう黒焦げで、人であるということ以外判別できなくなっていた。


「はは、はははは!計画は狂ったが、これでフデリオが領主になれればコーリジェア様は我が神殿のものだ!」

「しかし、我々がフレバロト様を殺したのもバレてしまいましたよ?」

「かまわん!しばらくは身を隠す必要はあるがな。これは本部の決定だ。私達が殺されるわけがない!」

「それはどうかねぇ?」

「「「「!?」」」」


 自信ありげに語っている神殿長の言葉に返答する声があった。

 それはここにいる誰の声でもなく、全員が足を止めた。


「誰だ!?」


 神殿長が周囲に目を配りながら叫ぶと、前からコツ、コツと足音がしてきた。

 現れたのはもちろんナオだ。


「貴様は!?」

「ど~も。酷いねぇ神殿長殿。あんなに寄付したのに」

「なぜ……ここに…」

「クデッカウス達は皆死んだよ」

「「「「!?」」」」


 神殿長の質問を無視してクデッカウス達の死を告げる。

 それに驚愕し、息を飲む神殿長達。

 ふむ。やはり聖神教は小賢しいなぁ。


「もちろんフデリオもね。いや~コーリジェアが欲しくてやったのに、まさか自分でコーリジェアを裏切るとはねぇ」

「ふざけたことを言うな!」

「これが事実なんだよね。だって僕が殺したから」

「っ!?」

「情報集めてから暗殺者を適当に雇ってやればよかったのに。自分達で目立つようにやるなんてねぇ。コーリジェアはもう神殿には入らないだろうねぇ」


 僕の言葉に悔しげに顔を歪める神殿長達。

 馬鹿だよねぇ。


「それにしても……魔王薬の製薬も、この反乱も枢機卿の指示か。小国だからと油断したのかねぇ。クルダソス王国があんな目にあったのに……いや、あんな目にあったからこんなことを考えたのか」

「な!?」


 黒幕が枢機卿であることを見抜かれて目を見開く神殿長。

 

「まぁ、いいや。どーせお前達は失敗したんだから。さよなら」

「まっ!?」


 僕は神殿長達を一瞬で灰にする。

 フレバロトの死体も一緒に燃やす。やはり魂は完全に昇天していた。


「やれやれ。こればっかりはコーリジェアをどう慰めるかなぁ」


 悩みながら転移する。



 コーリジェア達は神殿から離れ、ナオ達が泊まっているホテルの部屋にいた。

 そこにナオが転移してくる。


「ナオ様」

「ただいま」

「申し訳ありませんでした」

「いやぁ、こればっかりはね。クデッカウス達も聞かされてなかったみたい」


 ルティエラ達を慰めながら、コーリジェアに近づく。

 コーリジェアは瞳を暗くして僕を見る。


「残念だけど……フレバロトさんの死体はほとんど跡形もなく灰にされていた」

「っ!?……そうですか」

「今回の騒動は……聖神教の枢機卿が黒幕らしい。フデリオとクデッカウスはこの領地を、聖神教は君が欲しかったようだ」

「私を……?」

「君っていうか【聖女】を、だね」


 その言葉に顔を顰めて両膝の服を強く握る。


「これからどうする?」

「え?」

「もはやフレシュコハラ家は君だけだ。しかも没落は確定的。バジェロドの死も間違いなく君に責任が及ぶだろうね」

「っ!?」

「しかし、神殿にも頼れないでしょ?」

「はい……」

「じゃ、魔王と一緒に来る?」

「……え?」


 僕の言葉にコーリジェアはポカンとする。

 

「もういいんじゃん?自由に生きれば?フレシュコハラ家としての君は死んだように工作するよ。で、実際は僕達と気軽に世界を回ろうよ。まぁ、魔王だから色々人やら神やらに喧嘩売って虐殺することもあるけど」


 最低の誘い文句を告げる僕。

 しかし、何故かその誘い文句が素敵に聞こえたコーリジェア。


「そう……ですね。もう……いいですよね?どんなに人のために尽くしても、結局助けてくれたのは魔王だけでした。だったら………大好きになった魔王と一緒に世界を回っても怒られないでしょうね。もう私は自分とあなたのことで手一杯ですから、他の人なんてどうでもいいです」


 ふむ。なにやらいい感じに壊れたな。

 吹っ切れたって言い方は適切ではないよね。


「じゃあ、準備してくるよ。ここで待ってて」

「はい。旦那様」


 ルティエラ達はコーリジェアの変化に目を白黒させている。

 僕はコーリジェアから事情を聞くように言って、転移する。


 屋敷から適当に死体を6つほど回収し、その内5つで【変質】でナオ達そっくりな死体を作る。

 それを神殿の1室に放置する。

 その部屋の出口に先ほど殺した神殿騎士の死体を作って、神殿騎士によって殺されたように見せかける。

 フレバロトの死体は持っていかれたのは目撃されてるからね。


 そして、申し訳ないがコーリジェアを護衛していた私兵君も殺す。

 あの戦いを見られた可能性があるからね。


 これでよし。

 では、宿に戻って、この街を出るとしよう。


 

 転移で宿に戻ると、4人は仲良くなったようで笑顔で話している。


「あ。ナオさん」


 コーリジェアは顔色も随分戻ってきた。

 工作内容を説明して、この街を出ることを伝える。

 それに全員が了承して、転移で街を出る。


 

 転移して、街の外の森の中に飛ぶ。

 結界を張り、テントを張って中に入る。


「ナオさん!!」

「はい!?」


 一息ついたら急にコーリジェアが気合を入れて声を掛けてくる。

 少し驚いちゃったよ。


「ど、どうしたの?」

「私もナオさんに改造して欲しいです!ナオさんの証が欲しいです!」


 その言葉にルティエラ達を見る。

 ルティエラとシフラは苦笑して頷く。


「魔王って知ってるなら言ってもいいかと思ってねぇ」

「そしたら、気に入ったようでして」

「いっしょにしてあげて?」


 ふむ。まぁ、今のままでは顔も知られているからバレるか。

 まぁ、あんまり変化させない様にしようか。

 コーリジェアは魂まで変える必要はないね。


「分かったよ。じゃ、体を楽にして」

「……裸にならなくてもいいんですか?」

「……それも期待してるのね。分かったよ」


 頷くとコーリジェアは嬉しそうに服を脱いでいく。

 ふむ。本当に色々と吹っ切れてるな。

 ルティエラ達も苦笑して、服を脱ぎ始める。


「なんでお前達も?」

「1人だけでは恥ずかしいと言うことだったので」

「みんないっしょにズッコ『バッキューン』ン」

「ってことだねぇ」

「……はぁ~」


 ラクミルがどストレートに結論を言う。

 それにため息を吐いて、眉間を押さえる。随分と仲が良くなったことで。

 僕は全員の体を綺麗にして、自分も服を脱ぐ。といってもとりあえずパンツまで。


 コーリジェアは全裸でベッドの上に横になっている。

 流石に顔を真っ赤にして、恥部は手で隠している。

 ふむ。白い肌で綺麗だな。

 ピンクの髪ももったいないけど……そうだなぁ。よし。


「じゃあ、行くよ」

「は……はい」


 【操命】【変質】【付与】を行う。


 魂はあまり弄らず、体はルティエラ達と同様にして入れ墨も入れる。

 そしてスキルをいくつか付与する。

 髪は赤みがかった銀に変えて、赤い瞳にした。

____________________________________________

Name:KORIJEA(KORIJEA・NOALA・FRESHKOHARA)

Age:19

Species:???(Human)

Skill:【氷の聖女】【闇の魔女】【空間】【金剛】【不老】

____________________________________________

 あれ?【闇の魔女】になった。【闇】を与えたつもりなのに。

 聖女と魔女って一緒になれんの?

 ……まぁ、いいか。


 パチッと目を覚まして起き上がり、体や髪を見るコーリジェア。

 左胸の入れ墨を見て、頬を赤くして大事そうに撫でている。


「どうだい?気分は」


 僕を見て、うっとりとした笑みを浮かべる。


「問題ないです。とても……とても嬉しくて幸せです」


 ならばよかった。

 コーリジェアは両腕を僕に伸ばして、首に腕を巻いて顔を近づけて口づけをする。


「私、コーリジェアは旦那様に永遠の忠誠と愛を誓います。末永くお傍に置いてくださいまし」

「いいだろう。僕の奴隷として、妻として、僕を支えろ。永遠に」

「はい。旦那様♡」


 そして、再び口づけをする。

 先ほどとは違い、舌を絡める。


「……優しく……して頂きますか?」

「無理だ。美しいものを前に我慢など出来るもんか!」

「きゃああ♡!!」


 完全に嬉しそうに悲鳴を上げるコーリジェア。

 

 そうして、コーリジェアを頂き、その後にはルティエラ達も交えて美味しく頂く。


 こうして僕は花嫁?をゲットしたのであった。


ありがとうございました。


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