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21/53

色々拾います。

よろしくお願いします。

 昼過ぎに馬車で出発する僕達。


 この先の街は滅びているので迂回することを伝える。

 さらに天使を魔王に作り直して、放ったことも話す。

 ルティエラとシフラはそれに呆れる。


「そんなことしながら、私達を辱めていたのですか?」

「ハチャメチャだねぇ。まぁ、そこもかっこいいんだけどさ」


 呆れながらも内心ではナオの事を「流石!」と褒めちぎっている。

 陶酔している2人はナオの行動を否定することはありえない。


 僕達は街に近づくと、馬車に仕掛けを施す。


「流石に天使共がいるだろうしね。見えない様にしとくよ。馬車から離れないでね」

「「はい」」


 クレーターに沿って馬車を走らせながら街を抜ける。

 空には天使が大量に飛んでいた。

 ふむ。あそこまでいると羽虫しか見えん。

 それにしても下級神すらいないか。

 随分と手を抜いているな。

 向こうの魔王にも下級神は来ていないしな。


 神王達は随分と余裕を持っているなぁ。

 ふむ。……魔王増やすか?

 また4匹くらい捕獲するか。


 スキルで時間を止める。

 4人に分身して、一番近い天使4匹を確保する。

 とりあえずしばらく結晶内で漬けておく。

 馬車に戻って、時間を進める。

 

「ルティ。膝枕」

「はい♡」


 やることは終えたので、ムチムチの枕でのんびりしよう。

 ルティエラは喜んで足を差し出す。

 頭を太ももに置いて、目を瞑る。

 ルティエラは機嫌良く僕の髪の毛を梳く。

 ふむ。そういえば。


「僕ってさ、今男に見えるの?」

「いえ?服を着てると女性に見えます。声とか振る舞いで男だと分かりますけど」

「……そっか」


 やっぱり体が作り変わっても、女顔は変わんないのか。

 なんだかなぁ。

 あんなに夜に2人を喜ばせてるのになぁ。


 ふむ。ちょっとふて寝!!



 気づくと周りは夕暮れだった。

 あれま。結構寝たね。


「おはようございます」

「ごめん。大分寝てたね」

「いえ。大丈夫ですよ」


 今日はこの近くでテントを張る。


「そうだねぇ。3日もすれば次の街には着くよ」

「そこではちょっと大人しくしとこうか」

「出来るのかい?」

「なにもしてこなければね」


 僕は肩を竦める。

 言っとくけど、さっき潰した街以外は基本的に向こうから来たんだからね!

 変な特権階級と冒険者が多すぎでしょ!


「それは……否定できないけど」


 シフラも言い淀んでしまう。

 でしょ?


「ということで、ちょっと魔王作ってくるから今日は休んでて」

「「へ?」」


 僕の言葉に2人はポカンとするが、僕が凄いことをするのはいつもの事なので言われた通りベッドで休むことにした。

 ふむ。順応して来たな。良いことだ。


 また風呂場で作業することにした。

 しかし、昨日と同じにするのもつまらん。

 せっかくだから、坩堝にいた者と同じ形にするか。


 まずは、2体の天使を湯船に放り込む。


「ぎゃぼ!?ぷは!」

「むぐぅ!あふぁ!」


 もちろん女の天使。

 いや、やっぱり男の体を弄る気しないんだよね。


 天使達はこっちを見て、いきなり暴れようとしたので魂を取り出す。

 バチャンと頭から湯船に突っ込み、水面から尻を突き出している。

 おぉ。これはこれでなんか興奮するな。


 しかし、ルティエラ達よりは見た目が劣るので味わうことはしない。

 グルメになったもんだ。


 魂を融合させて記憶を埋め込む。

 体は雷の精霊を創造し、その3つを混ぜ込む。

 羽は今回無し。

 

 そして、出来上がったのはスレンダーな金髪の女性。

 耳が尖っているのでエルフに見えるが、体中にギザギザの入れ墨が走っている。

 これは昔、魔王として封印された雷の女精霊シヴェス。

 あまりにも魔力が大きすぎて、機嫌を損ねるだけで近く一帯に落雷が落ち続けてしまう。

 それにより、国が1つ滅んだことがあり、それによって精霊王と神族が協力したことにより封印されたのだ。


「じゃ、行ってら」


 シヴェスを転移で飛ばす。

 もちろん進行方向ではないところに、流石に自分で作ったのに自分が襲われて殺すとか嫌だからね。



 残った2人も取り出す。


「ぐば!ふあ!貴様!!」

「ごぼごぼ!?ぷえ!げほっげほっ!?」


 1人は直ぐに起き上がり睨んでくる。

 もう1人は溺れて水を飲んだようだ。


 こちらもさっさと魂を取り出して改造開始。

 ふむ。こいつには大蛇を混ぜよう。


 そうして生まれたのはスタイルがボン!キュッ!ボン!の女性。

 髪は紫色でパーマが掛かっている。口からチロチロと蛇の舌が見えており、瞳は赤く縦に鋭い。

 こいつはメヂュバというラミアから生まれた魔王。

 体中から蛇を生み出し、敵に絡みついて丸呑みする。

 魅了スキルを持っており、それで国のトップに取り込んで女を攫わせ、女に卵を産み付けて子を作る。

 勇者と戦うが、互いにボロボロになり隙を突かれて封印された。


「ほい。お前も行っておいで」


 転移させる僕。

 これだけ放てば、しばらくはこっちを見る暇など無いだろう。

 では、おやすみなさい。



 その後は特に問題なく移動し、明日には街に着くというところで野営の準備をしていると、そこに馬車が2台近づいてきた。

 内1台は檻が見えることから奴隷商のようだ。

 馬車は目の前で止まり、前方の馬車からぽっちゃり……ゴメン無理……肉の塊が降りてくる。


「ぶふー。申し訳ありません。ぶふー。冒険者の方ですかな?」


 ぶふーって本当に言うんだな。っていうか、なんで降りてきただけで滝の汗流してるんだよ。

 なんで旅してんの?


「まぁ、そうですが」

「ふふー。それはよかった!ぶふー。よろしければ今晩ご一緒させて頂いてもよろしいですかな?ぶふー」

「お好きにどうぞ」

「ぶふー。感謝しますぞ!ぶふー」


 イラっとするな。その息の仕方。奴隷商ってこともあって偏見があるのかもしれんが。

 テントを張り始める奴隷商。

 時折こっちに視線を送り、ニヤニヤしている。護衛と思われる男達もこっちを見ている。

 分かりやすい連中だな。奴隷共もどんな奴か想像がつく。

 

 すると、護衛の男の1人がルティエラに近づく。


「なぁ姉ちゃん。ちょっとこっちで話聞かせてくれねぇか?」

「ここで聞きます。どうぞ」

「いやぁちょっと恥ずかしいからよ」

「ここでどうぞ」

「だからよ……」

「ここでどうぞ」

「聞けよ!」

「ここでどうぞ」


 ルティエラは男を見ずに焚火の準備をしている。

 男はその態度と言い方にキレて、ルティエラに腕を伸ばす。


「いいからこっちに来いって言っ!」

「なら死になさい」


 ルティエラはスキルを使って、男を一瞬で灰にする。

 その光景をニヤニヤしながら見ていた奴隷商や護衛の仲間達は目を見開く。


「な!?いきなり何を!?」

「人を奴隷にしようとしている男など死んで当然では?」

「何を証拠に!?これは問題ですぞ!?」

「そうですか。なら……目撃者は消さなくては」

「え!?」


 奴隷商の周りにいる護衛達の全身が火に包まれて灰になる。

 

「ひいぃ!?」

「で?この奴隷達は誰に売る予定だったの?違法でしょ?僕達も狙ってたんだから」

「だ!だ!だ!誰が話すか!違法だっていう証拠があるのか!?」

「ふぅ~ん。リロン侯爵ねぇ。それに商品は隣国の王女様と騎士か」

「!?な……なんで!?」

「もういいよ。さよなら」


 ボン!っと爆発するように全身が火に包まれて死に絶える奴隷商。

 あ。魂は全員消滅させたよ。

 目撃者は減らしたいからね。


「ふむ。奴隷達はどうしようかなぁ」

「違法なのですよね?」

「うん。だけど、リロン侯爵が治めてる次の街に保護を求めても意味はないよねぇ」

「じゃあ、転移で送り飛ばすかい?」

「それも無駄だね。だって彼女らを奴隷にしたのがその国の国王だし」

「……やっぱりナオ様のところに厄介ごとが来ますね」

「これは街でも必ず一悶着あるねぇ」

「ふむ。僕もそう思う」


 巻き込まれるしかないよね。

 何が問題って次の街は必ず通らないと、先に進めないんだよねぇ。

 この先は山脈なんだけど、そこを抜けるトンネルの入り口が街の中にある。

 

「とりあえず、2人を解放して事情を聞くか。奴隷紋を消して対応しないと多分冤罪を掛けられる」

「ですね」


 では、お邪魔しますよっと。

 檻の鍵を壊して馬車の中に入る。


 檻の奥には2人の女性がいた。

 首輪に繋がれており、両手足も拘束されている。

 薄紫の髪をした少女と、その少女を背に庇うようにして前に出ている緑髪の女性。

 しかし、庇われている少女は横になって、視線の焦点も合わずに呆然としている。

 ……ふむ。薬や暴行されたわけではないな。

 現実に耐えられず心が閉じこもったかな。


「もう奴隷商は死んだよ。手当をさせてくれないかい?」

「……信じれる訳がない!」

「まぁ、そうだよね。じゃあ……ほい」


ガシャガシャガラン!


「な!?」


 2人の首輪や手足の拘束を解除する。

 

「続いて、ほい!」

「え!?……え!?」


 今度は2人の怪我を直して、首の入れ墨を消す。 

 女性は傷が消えて驚き、少女に目を向けて首の入れ墨が消えたことにさらに驚く。


「ふむ。これでどうだい?ベッドもあるから、そこの女の子も寝られるよ」

「……分かった。少なからず奴隷商達よりは信用できる。……感謝する」


 2人をテント内に案内してルティエラに風呂に案内させる。

 その間にシフラと2人で奴隷商の荷物を確認して、違法や犯罪の証拠を捜す。

 馬鹿なことにリロン侯爵の署名と家紋が記された手紙と、少女達の国の王からの手紙があった。

 処分しろよ。もしかして強請る気だったか? 

 この程度なら握り潰せる権力者達だろうに。というか、多分あの2人届けたら暗殺する予定なんじゃね?

 王女なんて流石にバレてるだろう。

 しかも、国王の手紙読むと今回の件は国王の独断かよ!?

 これ、国から救出隊来てるだろ。

 

「ふむ。これは……非常に厄介だね」

「もう遅いよ」

「だよねぇ」


 流石に【全能】とはいえ王女の救出隊がどこにいるかなんて探せん。

 いや、多分探せるんだろうけど、めんどいんだよね。


 金目の物を回収して、後は馬車2台を馬ごと燃やす。

 はい。証拠隠滅!


 テントに戻るとルティエラ達はすでに風呂から出ていた。

 2人には簡単なシャツとズボンを着させている。

 少女は完全になされるがままだ。

 心を読むも完全に思考を停止している。

 記憶を読むと国王に裏切られたのがかなり衝撃だったようだ。

 ふむ。国王はこの子の兄か。


「落ち着いたかい?」

「あぁ。感謝する」

「………」


 女性は礼を言う。もちろん少女は無反応。


「その子は食事は出来るのか」

「……私が食べさせれば」

「了解。じゃあシチューみたいなものがいいね」


 ふむ。身近にいた者には最低限の反応を示すと。

 とりあえず、2人を残して外で料理を準備する。


「彼女はあの女性の言葉は耳に届いているみたいですね」

「まぁ、長いこと一緒だったみたいだしねぇ」

「ふ~ん」


 僕の反応に2人は首を傾げる。

 僕はそんな2人に気づかずにシチューを生み出して、器に入れて持ってテントに入る。

 2人もそれに続く。


「おまたせ」

「早いな!?」

「だって、途中までは作ってたし」


 嘘をついて器を渡す。

 女性は2つ受け取ろうとするが、


「その子は自分で食べられるよね?面白いスキルを持ってるね」

「「!?」」


 僕の言葉に女性だけでなく、少女もピクリと反応してしまう。

 

「ちぃ!?」


 女性は器を投げて、右手に光の剣を造り出して斬りかかる。

 しかし、それは簡単に避けられて、蹴りを浴びて吹き飛ぶ。


「がぁ!?」

「っ!? ヨハナ!?」


 少女は女性に近づこうとするが、僕に腕を掴まれる。


「離して!!」

「なるほど。間者として送り込まれたのか」

「「!?」」


 その言葉に完全に固まる2人。

 面白い使い方をするなぁ。


「【二重】と【精神】のスキルでもう1つ人格を生み出し、【隠蔽】で本来の人格を隠す、か。狡猾だねぇ。ミルクラ王女?」

「な!?」

「そして、そっちのヨハナが【幻覚】で王女の演技を手伝い、【光】で護衛して【転送】で伝言を送るって感じか」

「「!?」」


 もちろん国王も協力者。

 奴隷商とリロン侯爵は嵌められたね。

 ちなみに奴隷紋も【幻覚】だ。だから、スキルが使えないふりをしていた。

 そうして近づいて、【精神】でリロン侯爵を操るかなんかするつもりだったかな。


「言っとくけど、僕達には無駄だよ。効かないように出来るからね」

「くっ!」

「おのれぇ……!」


 悔しがる2人。

 恨むなら、欲張りな奴隷商を恨みなね。


 さ~て、どうしよっかなぁ。


「私達に協力するなら便宜を図りますよ」

「いやぁ、この国の1/5程度の国力なんでしょ?下手したら次の街よりしょぼいんじゃない?」

「っ!?なにを!?」


 怒ってはいるが、図星のようだ。

 ふむ。同じくらいか。いや、大差ないよ。


 このまま連れて行っても面倒が待っている。

 ここで殺すのが楽だけど、それはそれでつまらん。

 ふむ。よし。


「【隷属】」

「え!?」

「な!?」

「命令する。『抵抗するな。スキルを使うな。自害するな』」


 2人を奴隷にする。

 2人の首に今度は本物の茨の入れ墨が現れる。

 命令して大人しくさせる。

 ぽいっとベッドにミルクラを投げ捨てる。

 そして、ヨハナに近づく。


「く、そぉ……!」

「やめなさい!ヨハナに手を出すと唯では起きませんよ!」

「ミルクラ。『起こすまで寝ていろ』」

「な!?くぅ……!?……うぅ」

「姫様!?」


 ミルクラはベッドの上で倒れ込み、眠り込む。


「お前が頑張れば、王女には何もしないよ」

「信じられるか!」

「だよね~。じゃ、諦めて」

「くぅ!殺せぇ!!」


 おぉ!本物のくっころさん!いいもん見た!

 よし!サービスしてあげよう!


「これからお前には夢を見てもらう」

「ゆ、夢?」

「そ。それを最後まで()()()()見ることが出来れば解放してあげるよ」

「……何を考えている?」

「面白いこと♪頑張ってね。大丈夫さ。千年分くらいだから」

「な!?あぅ……?」


 驚いて叫ぼうとしたヨハナだが、急に意識が遠のいて行く。

 ヨハナは倒れ込み、意識を失う。


「魔王の記憶だ。耐えられるかな?」


 僕はニヤァっと笑い、ヨハナを見下す。

 その様子を後ろで見ていたルティエラとシフラは、顔を赤らめ体をくねらせてナオのカッコよさに悶えていた。

 ふむ。さすが僕の物だね。

 

 

 ヨハナはもう自分が分からなくなっていた。


(もうやめてぇ!!出してぇ!!見せないでぇ!!)


 もうどのくらいここにいるのだろう?

 どれくらい悪夢を見たのだろう?

 次は何を見せられるのだろう?


 私はなんでここにいるんだろう?

 なんのために耐えているのだろう?


 私ってなんだったっけ?


 ヨハナは自分という存在が分からなくなっていた。


 すると、また夢が始まる。


『辛いの?』

(つらい……)

『楽になりたいの?』

(なりたい……)

『でも、あなたのままじゃダメだよ?』

(私のままじゃダメ?)

『うん。あなたっていう思考がある限りダメなんだって』


 何かと会話するヨハナ。

 

 ちなみにこれは正真正銘の夢である。

 これはある魔王が実際に話しかけられたことだ。

 

『だから!考えるのを止めて、見たままを受け入れて、言われた通りにすればいいの!』

(それでいいの?)

『うん!だって、あなたは人形じゃない!』

(わたしはにんぎょう?)

『そうだよ!魔王様のお人形!』

(わたしはまおうさまのおにんぎょう……)

『だから、何も考えずに!言われたことだけすればいいの!』

(なにも……かんがえない……)


 ヨハナは言われたままに思考を放棄する。


 ちなみに本来話しかけられていた魔王は、ここで抵抗して暴れて自分を人形にしようとした魔王を殺して、魔王に成り代わった。


 ヨハナにはそれに抗う精神はもう残ってなかった。

 言われたままに受け入れる。

 そうして、ヨハナはその後もただ夢を見続ける。


 その後も夢の言葉をそのまま受け取り、混乱し、狂乱し、ヨハナの心は完全に崩壊する。





 現実世界では朝になった。

 

 僕達は目を覚まし、ヨハナの様子を見る。

 ヨハナはもう1つ部屋を作り、そこに全裸にして隔離していた。


「おぉー。良い感じに壊れてるねー。やっぱダメだったか~」

「「うわぁ……」」


 ヨハナは酷い状態だった。

 白目を剥き、全身がビクンッビクンッと跳ねまわり、汗やら涙やら涎やら尿やらの体液を大量に垂れ流していた。

 どう見ても、ヤバい薬を使われた人間の反応だ。

 快楽で、とかいう生ぬるいものではない。

 その姿にルティエラとシフラはドン引きする。

 僕はもう完全に面白い動物を見ているような言い方だった。


「そろそろ終わりだね」


 その言葉の数分後、ヨハナの動きが止まる。

 ピクピクと痙攣しており、起き上がる気配はない。


 僕はヨハナの心を読み、その結果に笑みを浮かべる。


「面白いことになったね」

「と、いいますと?」

「まぁ、見てて」


 僕はまずヨハナの【隷属】を解除する。


「立て」


 僕が命令すると、ヨハナはビクンッと反応し、ガバッと起き上がる。

 そして、裸であることを気にもせず、直立する。

 しかし、その顔は未だ白目を剥いており、涎や鼻水を流している。

 明らかに意識はない。


「これは?」

「人形になっちゃったね」

「人形かい?」

「うん。魔王の言うことには絶対服従の人形。思考も感情も消えちゃってるけど」

「なぜナオ様の言うことを?」

「最後に僕の記憶を見せたからじゃない?多分、見た夢が魔王のものだって理解はしたんだろうね」


 その言葉に一応理解する2人。


「とりあえず綺麗にしよう」


 スキルでヨハナやその周囲を浄化して綺麗にする。


 ヨハナは変わらずに直立している。


「このままだとあまりに使えないな。体も含めてちょっと手直しするか」


 僕はスキルでヨハナの体を強化し、魂や精神を弄る。

 ヨハナの精神は壊れてしまっていてすっからかんなので、改造は簡単に終わった。

 すると、白目だったヨハナの目に瞳が戻る。しかし、瞳に光はなく、無機質だった。


「よし、終わり。お前は誰だい?」

「はい。ワタシはヨハナ。ナオ様の肉人形デス」

「僕の命令は?」

「絶対デス」

「間違っている命令は?」

「ありえまセン。ナオ様の命令は全て正しいデス」


 ふむ。こんなもんか。

 僕はヨハナに近づき、その巨乳ルティエラほどではないがを掴む。

 すると、無機質だった顔が蕩ける。


「あぁん♡どうぞ♡人形でお遊びくだサイ♡」

「そっちの感情出せるんですね」

「うん。面白いかなって」


 手を離すとまた無表情に戻る。

 

「快感、というか僕が触った時だけ感情が出るようにしてみた」

「変に器用だねぇ。でも、こういうの嫌いじゃなかったっけ?」

「まぁ、あんまりね。でも、どうなるか見たかったし、こいつはあくまで人形だから。2人がダウンしたときに使うくらいかな。あっ、2人の命令にも従うから」


 その言葉に安心していいのかどうなのか分からない2人。

 とりあえず、ダウンしたときの保険は出来たようだ。


 僕はスキルを使って、ヨハナに装備を作る。

 真っ黒で武骨な鎧だ。肌は一切見えない。しかし、胸の大きさは強調されており、腰のくびれや尻の形がはっきりと分かる。妙な色気を持つ鎧だった。

 顔もフルフェイスの兜をしている。


「これでよし」

「こう見ると本当にゴーレム人形みたいですね」

「それに近いね。元が土か人間かってだけさ」


 パチンっと指を鳴らすと、兜が展開されて顔が現れる。


「さて、じゃ、お姫様の番だね」

「あちらもこうするので?」

「ううん。向こうは違う。まぁ、お楽しみに!」

「「はぁ」」


 そう言ってヨハナも従わせて、部屋を出る僕達。


 王女の悲劇は続く。



________________________________________________

Name:YOHANA

Age:20

Species:???(Human)

Skill:【幻覚】【光】【転送】【金剛】【不老】【無自】

________________________________________________



ありがとうございました。


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