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異世界転生、最後の修行  作者: 地淵育生(ベリー)
女性として生きる
17/29

愛の力発動

気を取り直して続けてみようと思います。前に書いたプロットは使えなくなったので0からのスタートです。

 ドミニクの体に別の能力が宿ったことに気づく。あの甘美な恋愛の日々の記憶が戻ったかのような、温かく優しい気持ちに包まれた。

「これは、何なのだろうか。どう使えばいいのだろうか」

 ふとマーロがいとおしくなった。凍てついた氷の中に沈められたマーロ、彼を浮かび上がらせることができるのは私しかいない。


 激しい衝動に突き動かされて、マーロの遺体が保存されている、研究室を訪れる。研究所署員を説得して、対面の許可を得ようとした。白衣の研究所員がいぶかしげに、夜の訪問者を見つめていた。


「いずれ、火の魔法で徐々に解凍して、死因等を調べるつもりだが」

「無理を承知でお願いする。彼を抱きしめてあげたい」

「馬鹿な、そんなことをしたら貴女もただではすまない」

「わが身はどうなってもかまわぬ。ただもう一度、私のぬくもりを彼に伝えたい」

 もしかしたら研究員は、ドミニクを狂女だと認識したのかもしれない。だまって、遺体の安置場所へ案内した。そこには氷漬けになったマーロが立てかけられていた。氷塊ごしにかっての姿が封じ込められている。彼の姿を見て、過ぎ去りし日々がゆったりとした川の調べのようにひたひたと心に染み込んできた。


 ドミニクは注意深く、マーロの髪を氷の上から撫で、閉じられた瞼を開けようとする、そして着衣が濡れるのも構わず、氷塊を抱きかかえた。


 赤くて熱い血潮のような物が、氷塊に流れ込んで覆いつくす。すぐに氷の塊は霜がついたように分解されて水滴となってしたたり落ちた。なおも激しくマーロに抱き着いて首筋を重ね体温を移す。お互いの体温が好感されて、血液が解けて心臓の拍動がゆっくりと彼の心をよみがえらせていった。


「あれ……」

 マーロは崩れるように倒れかかり、ドミニクに抱き留められた。氷漬けにされた魂は、愛の力で肉体へと戻されたのだ。

 すぐにマーロは引き離され、病室で治療を受けることになった。点滴が施され、冷え切った四肢はマッサージを受ける。マーロの生還を喜ぶ以前に、ドミニクは自分の力を目の当たりにして、強大な力を自分の物として取り込めないでいた。かっての能力とは比べ物にもならない、強大さに圧倒されていたのだ。


 夢遊病者のような足取りで、自宅に戻ったドミニクは、おそらく異国の神によってもたらされた能力について、把握できずにいる。ガスを充てんした風船を押しとどめておいても、すぐに手を離れて上昇してしまう。そんなもどかしさを自分の能力に感じていた。





 マーロの生還は、トーマス達主戦派にとって多少困ったことになったが、アサシンが自国で狼藉を行った事実は動かしがたく、議会においては、ドブリジューカに対して制裁を加えるとの主戦論が強く。議決では開戦は免れないだろうと踏んでいた。


 ドノバンは、ドミニクの様子をうかがいに店に赴いた。ドミニクをなんとか自軍の主砲に据えることができないか打診しに来たのだ。

「お久しぶりです。マーロ生還の報告は私にも届きました。命が助かって何よりです」

「ドノバンか、正直言って私にもよくわからないのだ」

「命が助かったといっても相手は何をしでかすかわからないならず者国家です。今回の戦争にはぜひ力添えを」

「申し訳ないが、しばらく考えさせてくれぬか。まだ、心の整理がつかないのでな」

「お早い返事をお待ちしておりますよ。ドミニクさん」

 ドノバンも、彼女の新しい力に関しては、まだ十分な考察をしていなかった。従来のドミニクの能力で十分だと、彼は考えていた。

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