2
学園説明回です。
タグに精霊を追加しました。
阿呆達の茶番は停滞中ですがご容赦を。
では宜しくお願いします。
『それだけか!証拠にならねーよ!』
見ていた全員がツッコミを溜め息に乗せたに違いない。それほどに重い溜め息がパーティー会場にこぼされた。自信満々の証拠が被害者本人の証言だけだと?馬鹿か!……って、阿呆でしたねー。
フローティア嬢はどんな捏造証拠が出てくるかと、当事者だけに身構えていただろうに見事な肩透かし。口許を隠していた扇が揺れる勢いの溜め息ついちゃっているのも当然だよね。お疲れさまです。
「……本人の、証言、だけ、ですの?」
「マリーの証言に勝る証拠はなかろう!もちろん、無惨に切り裂かれた教科書なども保管してある!言い逃れできぬと覚悟せよ!」
呆れと苛立ちを滲ませ確認するフローティア嬢にゲスいキメ顔で言い放ったガルネィクの姿に、最低限でも証拠の検証結果とか目撃者の有無確認とか用意しておく頭はないの?こんなんでよく事を構えたな。こいつ本当に王太子なの?他に兄弟いないのかよ?!国を傾けたくないなら廃嫡推奨!って思ったのは僕だけじゃないはず。
『覚悟するの、自分達じゃないかなぁ』
『この学園でこんな馬鹿しでかすなんて……死にたいのかしら?』
『ここの事、ちゃんと分かってねぇんじゃ……まさかねえ?』
『王族が世界の常識を知らないとかないっしょ』
『あいつら終わったな』
溜め息に埋め尽くされていた会場の空気をさわさわ、ひそひそと囁きが掻き分けていってるね。あの阿呆達を擁護する阿呆はやっぱりいないよねー。
ありもしない己れの優位性に酔いしれている阿呆四人は、周囲の冷めた視線や囁きに気づいてもいないとか、空気読めないにも程がある。
まあ、フローティア嬢だけは理解していたようだけど。そうでなければ『この学園において』なんて言わないよね……というより、学園にいる者はもちろん、世界中の誰もが知っていて当然の常識なんだけど。あいつら、よくこの学園に入れたな……
ここは特別な学園だ。
国、種族、身分に関わらず、己れの才のみで入学を許される完全実力主義の学園。
如何なる国、権力、財力、暴力などにに決して屈せず、才なき者の不正入学は決して許さない。テコ入れしてきた奴らも当然決して許さない。もちろん報復しちゃう。嬉々としてね(笑)
入学試験は厳しいが『入学を許されれば、今後の人生光差す!』って、この世界に生きる者ならの誰でも知っている特別な学園。
老若男女、貧富、種族を問わず。知力、魔力、武力、芸術など何かしら才を認められれば入学が叶う。
一学年百名。最短で三年、最長十年間学ぶ。完全実力主義なだけあって卒業試験が厳しいんだよね。でも皆、頑張って卒業していくよ。人生かかってるからねー。
まあ当然、世界中から一学年百名の狭き門を目指して押し寄せるわけだけど、ここでも学園の特別というか不思議が発揮されちゃうよ!
学園がある場所はどの国にも属してない完全独立の学園都市にあって、街にはいつもは犯罪者以外なら大抵誰でも入れる。当たり前だけど。
しかし!試験時期になると、あら不思議〜才なき者が街に入れなくなるんだよね。入ろうとしても大門を前にすると、クルンッて反転、大門を背にってな具合にね。
もちろん後ろ向きに進もうとするのや、無理に飛び込もうとするのとか毎年いるけど、そんなのは縦横斜めにグールグル回っちゃってる。もはや風物詩だね。
そんな訳で、試験自体は篩にかけられ街に入れた才ある者達だけで挑むから、それほど混乱しない。
むしろ、その時期に街に入れたら何かしらの才ある証だから、試験五日前から当日までの限定許可印目当てで門前の混雑混乱のが酷いんだよね。
まあねー、その許可印があれば他のとこの入学試験や仕事、婚約や結婚なんかに挑むのに箔がつくから、より良いものを望めるってこと。入学試験を突破できた者以外にも恩恵があるのだ。
ん?偽造すればいいって?無理無理〜!特別な許可印だよ?そんなことしたら精霊に嫌われて、底辺に落ちちゃう。人生光なしだよ。
そもそも、ゴーレムが四方に配置された高い壁に囲まれている学園都市に入るには一ヶ所しかない大門からだけ。その大門には精霊が集まり都市に害ある者を見極め、衛兵に伝えて排除しているんだ。
通常は衛兵が精霊の見極めをもとに身分証明カードがあればそのまま通し、ない場合は許可紙を渡す。それは何の箔づけにもならない。
試験時期の許可印だけが特別で、その時だけ精霊が許可印を押しているんだ。
押してもらうのは石だ。普通にそこらに転がってる石で構わないけど、出来るだけツルツルした手に握って収まるくらいの石を道中肌身離さず持ってくる。
それに精霊の色である虹色の許可印を押してくれるんだ。押してるっていうより浮かび上がってくる感じなんだけどね。
華麗な模様があるでもなく、ただ丸い印だけの他愛のないものだけど、精霊の力が宿っているらしく、まぁるく虹色に揺らめく光は心地よい。
癒し満載な精霊の許可印だけど、これが結構えげつない。悪いことする奴らにとってはね。
【偽物】【盗人】
許可印を偽造する者――精霊の色は偽造できない事から現在はほぼいない――には【偽物】
許可印を他者から盗んだ者――これは血族間でも認められない――には【盗人】の刻印が黒く眉間に現れる。
精霊の裁きと呼ばれているもので、一度刻まれれば如何なる術をもってしても生涯消えず、隠すこともできない。
精霊に嫌われた者の証の烙印だ。底辺に落ちる未来しかない。ね、えげつないでしょ?しなきゃいいだけの話だけどねー。
学園に入学するのが如何に名誉であり、将来に光差す足掛かりになるか分かったと思う。でもね、学園の凄さはまだまだこれからだよ。
入学資格を勝ち取った者達はまず、学園においての厳守事項の説明と遵守誓約を要求される。相手が何者であろうが例外なくの要求だ。
しかも!精霊を交えての精霊誓約だから、破ることのできない厳格なもの。破ればえげつない罰が与えられる。精霊さんったら容赦ないよね!
もちろん誓約しない選択もあるけど、入学資格は当然ながら取り消しとなる。更には以降の入学試験からも弾かれるから、ほぼ全員が誓約する。
たまーに拒否する奴がいるけど、何が嫌なんだろうね?厳守事項を破らなきゃいいだけなのにねー。
精霊誓約するほどの厳守事項内容だけどね、たいして難しいことはないよ?
【厳守事項】―生徒―
一、学園内及び学園都市内において、如何なる国、種族、身分に関わらず、一生徒として己れの才を極めるに努めよ。
※意訳
『身分やら何やら振りかざせると思うなよ?(以降略)特別扱いしてもらえるなんて期待すんなよ。問題行動起こさず学生らしく精進しろ!』
一、学園内及び学園都市内において、如何なる国、種族、身分に関わらず、他者の功績を盗むこと許さず。
※意訳
『他人の才能妬んでんじゃねぇ!やらかしたら……わかってるだろうな?』
一、学園内及び学園都市内において、如何なる国、種族、身分に関わらず、他者を陥れること許さず。
※意訳
『だーかーらー!他人の才能妬むなって!やらかしたら精霊がえげつないぞ!』
一、学園内及び学園都市内において、如何なる国、種族、身分に関わらず、伴侶またはそれに準ずる者ある者は裏切りを許さず。他者の伴侶またはそれに準ずる者を奪うこと許さず。
※意訳
『横恋慕やら不貞すんなってこと。好きになるのは勝手だけど互いに相手がいないのにしろ。やらかした本人以外にとって甚だ迷惑なんで。やらかすなら卒業か退学して学園都市から出てってからどうぞ!』
ね?簡単なことでしょ?
厳守事項以外にも授業や寮など、それぞれの規律ももちろんあるけどね。そこら辺ははわりと弛いから生徒も萎縮せずに楽しく過ごせてるよ。
そんな厳しくも楽しいこの学園は、精霊が守護する希有な場所。そして精霊が愛する至高の存在が望んだものだ。
その彼らを敬愛する者達で創設された特別な学園【ジョーシルバー学園】と、志を同じく学園守護を目的に発展した学園都市【ジョーシルバー学園都市】は至高の存在であるジョーシルバー様の御名を冠した特別なものなんだ!
お読み頂きありがとうございます。
たくさんの方々に読んで頂いて、ブックマークと評価も頂き、とても嬉しいです!ありがとうございます!励みになります!
しかも、本編もたくさんの方々に読んで頂いてブックマークも頂き、こちらもとても嬉しいです!ありがとうございます!
本編はこちらの完結まで書く時間がないので停滞しますが、ご容赦ください。
次話は2~3日後に投稿予定です。
今後とも宜しくお願いします。