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空を飛んだモロヘイヤ

作者: 傘竹掛手

この小説は[モロヘイヤ]が含まれています。

モロヘイヤを知らない方は画像検索でモロヘイヤの姿をしっかと目に焼き付けてからお読み下さい。

 間違いない。

 モロヘイヤが空を飛んでいた。


 それは俺が万年布団に寝っ転がって、主人公達がひたすら冒険する漫画を眺めながらそろそろ昼飯でも作ろうかと思っていた頃である。昼飯は何がいいだろうか、朝は目玉焼きだったから野菜中心がいいかな、それとああそうだった、放っとくと毎日三食ふりかけご飯の父親と生のウインナーやらハムやら食べ出すちび弟(二つ名は冷蔵庫漁りのジョン)の分も作んねえと、と思い出して溜め息を吐く。父親にも三人分、とまでは言わないからせめて自炊くらい出来るようにはなってほしいのだが。母親が父親に愛想を尽かして出て行ってから、父親がふりかけご飯レベルのせいで、人が食べられるものを辛うじて作れる俺が一人で三食分毎日作ることになってしまった。哀しきかな、憂鬱とはこのことである。

 考えると気持ちが海よりも深く凹んでくるので、せめて部屋だけでも明るくしようと昨夜からひきっぱなしのカーテンに手をかける。

 小気味いい音と共に真上にすっかり上りきった太陽の眩しい光が部屋を照らす。

 そして違和感。

 ……今は昼で、太陽が眩しいのは晴れているからで、お天気お姉さんが昨日予言していた通りなので晴天自体は別にどうというわけではない。のだが、何故か違和感がある。その違和感の正体は、空に浮かんでいた。


 モロヘイヤだ。

 モロヘイヤが空を飛んでいる。


「……んなっ!?」

 目を疑った。ゆっくりと瞬きをして、もう一回空を見る。

 現状は変わらない。やっぱりモロヘイヤは空を飛んでいる。渡り鳥の如く優雅に集団飛行中だ。ちゃんとV字型に隊列を組んでいる。

 幻覚か? 幻覚、だよな? さっき昼飯に野菜を使おうとか考えてたからとかだよな? 俺の大脳がちょっと俺を騙してるだけだよな? 落ち着け俺の大脳皮質。

 若干自分の精神状況かつ大脳皮質に不安を覚えつつ、飛ぶモロヘイヤをじっと見つめる。遠目から見た感じだと、至って普通のモロヘイヤだ。至って普通。まあ普通のモロヘイヤが空を飛ぶ筈はないのだが。もっとじっくり見たいが双眼鏡が見つからなかったのですごすごと諦める。

 果たしてこの空飛ぶモロヘイヤは実体なのか幻覚なのか。常識崩壊か脳外科行きかの二択である。

 取り敢えず家族にも見えているのか確認しよう。俺は部屋を出ると弟を呼びながら階段を降りた。


 杞憂、という言葉がある。中国かどっかの人が空が落ちてくるんじゃないかって飯も食わず寝もせずに悩んだけどそんなさあ、空が落ちてくるわけねーじゃんということから来たらしい。

 結果として俺は脳外科に行かなくて済んだ。俺の大脳皮質がグレたわけじゃなかったのだ。つまり俺の不安は杞憂だった訳だ。でもモロヘイヤが実際に飛んでいるってのは空が落ちてくるのと同じくらい有り得ないことなんじゃないのかね。

 家族、つまり父親と弟は二人とも庭にいた。庭にいる分には構わないし庭の草取りをしてくれていたら嬉しいのだがまあ、それは高望みに過ぎるだろう。だがしかし、その、父親が屋根に登って飛行中のモロヘイヤ隊列に向かってタモを振り回し、弟が地面に座って父親を指図しているこの状況を俺は、出来れば見たくなかった。出来ればどころか一生、見たくなかった。

「頑張れお父さん!今日のおかずだよ!」

「よしきた任せとけ!」

……本当に見たくなかった。

 数分程度見ていると、息子の指図に従っているようで実は闇雲にタモをぶんぶん振り回しているだけの父親もだんだん疲れてきたらしく、時折すがるような目でこちらを見る。俺は敢えて目を逸らす。俺にどうしろって言うんだ。代わりにタモを振り回したくはないし俺に弟を止めろとでも?

 ついには空気を撹拌するだけになっていたタモに、疲労のあまり今にも屋根から転げ落ちそうな父親を哀れんだのか、ふとコロリ、という音が聞こえそうな感じにモロヘイヤが転がり込んだ。

 俺も弟も振り回していた父親自身もタモを思わず凝視する。

 一瞬の沈黙。

「いやったあああああ!!」

 弟が叫んだ。

 その大声に驚いて、軒先に巣を作っていたツバメは巣から飛び立ち、スズメは空を駆け、父親は屋根からそのまま転がり落ちる。

 これで死んでたら相当不名誉な死に様だな……と自分でも驚くほど冷静に思った。


 何とか擦り傷だけで済んだ父親と、父親を見向きもせずモロヘイヤを大事そうに抱きしめる弟を引き連れて居間に戻る。

 モロヘイヤをなかなか放そうとしない弟をなんとか宥めすかし(ウインナー2本で買収)やっとこさ机の上に置かせる。家族三人起立したまま机の周りを取り囲むと何だか怪しげな儀式のようである。

 モロヘイヤ(※飛ぶ)は我が物顔で机の上にドン、と乗っかっている。見た目はやはり普通種のモロヘイヤのようだ。ややでかいとか、少々緑が濃い、なんてのを除けば。しかし、何故この何の変哲もないモロヘイヤが空を飛んでいるのだろう。昨今の異常気象に耐えかねて渡り鳥のように空を飛んで越冬しようとしているのだろうか。まさかモロヘイヤはもともと空を飛ぶ品種だったのか。それを昔の人間が品種改良して飛ばないようにさせていたが数百年を経て今、ようやく品種改良の呪縛から解き放たれ自由に空を飛ぶようになったのである!

 ……是れ何ぞ妄想のつまらなきや。

「ふむ、」

父親が芥川龍之介のようなポーズで呻いた。そして珍しく真剣な顔をする。

「このモロヘイヤは……」

「「モロヘイヤは?」」

兄弟の声が重なった。

 父親の真面目な表情に俺は唾を飲み込む。何しろ父親の真面目な顔は日本の山中でトリュフが見つかるほどレアなのだ。弟も負けず劣らず真剣な表情で父親を見つめる。

 期待のこもった視線を浴びながら、父親は口を開いた。

「このモロヘイヤは……宇宙人だ!」

沈黙。

 父親が俺の冷えた肉まんのような暖かさの視線から逃れるようにコソコソと弟の傍に寄る。弟はまだサンタクロースを信じているくらいだから“お父さんすごい!”なんて興奮した表情で父親を見る。弟よ、信じてはいけない。それは汚れてしまった大人の使う“言い逃れ”に過ぎないぞ。

 弁明しようと父親が身振り手振りをつけて反論し出す。

「だってモロヘイヤが空を飛んだら宇宙人じゃないか!お前は知らないのか?今日ではかなりの数の宇宙人が地球の豊富な資源を狙ってやって来ているんだぞ!」

「……親父はそっち系の雑誌読みすぎだろう。胡散臭い系の」

「胡散臭くない、事実だ! 現にアンドロメダ星人はカシオペアから来」

「へーすごいねーさすがおとうさんよくしってるねー」

父親はまだ何か言いたそうだったが立ち上がって会話をシャットダウンする。

 ひとまず現実に戻りたい。

 昼ご飯を作ろう。そして食べよう。腹が減っては戦は出来ぬとも言う。もっとも誰ともする気はないが。ついでにモロヘイヤが食せるか否かの検査もすれば一石二鳥ではないか。わお俺って頭いい。褒めてやりたいくらいだ。取り敢えず煮てみるか、と床から立ち上がり、モロヘイヤを鷲掴みにする。

「お兄ちゃん!? モロヘイヤをどうしちゃうの!?」

「モロヘイヤ……いやモロヘイヤンをお前……まさか、食う気か……!?」

モロヘイヤを食べる以外にどうしろと言うんだ。そして何故言い換えた親父。

 弟の悲痛な叫び、父親の愕然とした声を無視し、まずは千切ってみようと一茎ぱきりと折

「いぎゃっ」

何処からか変な声がした。弟を見るが弟は違うと首を振る。聞いてないのに父親が違うと首を振る。隣家からだろうか。それにしては随分近いところから声が聞こえたような。

 構わず折ろうと曲げ

「いだだだだだやめろやめろやーめーろー! いってえんだよちくしょう!!」

どうやら声は俺の手の中から聞こえているようだ。……何だってー!?

「くそ、やめろ!! 折るな!! 折れたら賠償金出してくれんのかオラ!! こちとら生命保険なんざ入ってねーんだよ!!」

モロヘイヤ(推定)はなおも叫び続ける。

 念のため、……念のため、だ。

 俺は手中のモロヘイヤをじっと見る。そして一つ一つ単語を区切り、自分に言い聞かせるようにモロヘイヤに語りかける。

「お前は、……モロヘイヤ、か……?」

「いかにも」

モロヘイヤが胸を張るように身を反らせた。父親と弟が歓声を上げてハイタッチする。

 ……俺の中の常識が事実に全否定された。落ち着け自分。冷静になれ。

「お前は……宇宙人なのか……?」

若干震えた声でそう聞く。

「ちげーよ」

指をチッチッチッと振るようにモロヘイヤの茎が一本左右に揺れた。

「そう思うのが人間の悪いところなんだよ。いいか? 俺達モロヘイヤは外から自我がやってきた結果こうして話したり空を飛んでるわけじゃない。勿論いきなり自我が芽生えた訳じゃない。自我自体は昔からあったんだ。ただそれを外に出す、というか仲間外の生物とコミュニケーションをとる方法を知らなかったんだな。それがついこの前、モロヘイヤが空を飛べることを仲間の一株が発見して、それを他の植物野郎にも伝えようと試行錯誤した結果、俺達は他の生物とコミュニケーションをとることが出来るようになった、て訳だ」

お分かり? と首を傾げるように全体を横に捻るとモロヘイヤは大きく伸びをする。そしてぐったりと俺の手に身を預けた。

 ……つまり。

 モロヘイヤにはもともと自我があって、それを人間が知らなかっただけ、と。で今回の集団飛行事件は自我を外に出したから起こった訳で、そう特別な事件ではない、と。

 ……大変だ俺の常識すなわち世間の常識が完膚なきまでに粉砕された。さよなら常識。こんにちは非常識。

「ちなみにこの事実を知られたからにはお前らを生かしてはおけん」

ん、何だ何だ、なんか時代がかったこと言い出したぞこのモロヘイヤ、と俺と弟と父親が俺の手中に注目する。

「クソアホタレの人間共はモロヘイヤ様に跪け!」

 モロヘイヤはピン、と直立すると、両脇の茎をばさりと横に倒した。そして、

「ファイヤァァァァアアア!!」

叫んだ。

 期待して見守る家族一同。

 身を反らし、何か目に見えないものを吹き出すかのようにモロヘイヤは思いっ切り体を曲げる。そして数瞬後、再度身を反らせ、今度は両脇に倒していた茎を腕のように組んで高笑いを始めた。

「ハッハッハッハッハッざまーみろ! これでお前ら人間はおしまいだ!焦げた炭素の固まりになってしまえはははははは……はは?」

 静止する時。

 向かい合う野菜と人間。

 人を焼き殺したつもりのモロヘイヤと、ポカン顔の人間が三人。

「……あれ? 何でお前ら焦げてねえの?」

「いや、どうして焼き殺せると思ったんだ?」

呆気に取られた声を出したモロヘイヤに対し、冷静な声を出そうと努める俺。果たして呆れ兼怒りは隠し通せていたのだろうか。

 一方モロヘイヤは決まり悪げにもじもじしている。

「……テレビで……出来てたから……」

お前は何のアニメを見たんだ。

 食べるのを断念してやった俺たちを焼き殺そうとしたことで相当頭に来るものがあったので、モロヘイヤの葉を一枚摘み宙に浮かせる。

 ぶらんぶらんぶらん、と三回ほど揺らしたところでモロヘイヤが悲鳴を上げた。

「ああああああちょっと待った、やめろ千切れる、千切れる、やめろおおおお!!」

「お前なんか千切れてしまえ」

「待った謝る、謝るから! もう二度と人間をやっつけようとは思わないから!! だからやめろ千切れうわあああ!!」

ビリリ、と音がするすんでのところで俺はモロヘイヤの茎を掴んだ。別にモロヘイヤに同情した訳じゃない、弟と父親の"そこまでやるか"視線が痛かっただけだ。

 モロヘイヤは心底疲れたようにしんなりと俺の手に凭れかかってくる。ふむ、この柔らかさなら鍋物にぴったりだ。

「ああ……人間死ね……」

「千切るぞ」

「すいません」

手を離すとモロヘイヤはあばあああああああああと叫びながら150cm程下のフローリングに落下した。

ぴくぴくと体を震わせながらそれでもへこたれずに立ち上がろうとする姿に父親と弟は24時間テレビのようなものを感じ取ったようで、手を振りながらサライを歌い出そうとしている。それを必死で止めていると、兎に角、とモロヘイヤはようやく立ち上がった。弟と父親が拍手をした。

「俺たちは飛べる。自我がある。つまりてめえら人間と何も変わらねえ、って訳だ」

「ふむ」

 それは相当重大なことじゃないだろうか。牛も馬も自我はあるけど人間と直接会話出来ないから食われてるのだろう、恐らく。植物なんかも自我が無いって言われてるから除草剤やらを平気で使える訳だろう。これで自我があったら大量殺戮だもんな、植物にとっては。しかしながらモロヘイヤには自我があった。しかも人間とコミュニケーションが取れることも確認された。これは動物愛護団体が黙っちゃいない、というかそもそも、人間自身が同じ言語を話すものを食べたくはないだろう。スーパーからモロヘイヤが消える日もそう遠くはない。むしろモロヘイヤ曰く「植物にも自我はある」わけだからその内植物愛護団体なんて出来そうだ。じゃあベジタリアンは何を食べればいいのだろう。霞か雲か?

 ……と、俺が珍しく真面目なことを考えているうちに、目の前の事態は急変していた。

「うわあああ折れたああああああああああ」

「ぎゃああああごめんなさいいいいい!」

目の前で阿鼻叫喚の大地獄が発生中。

 端的に言えばモロヘイヤが床でびったんびったんと陸に打ち上げられた魚の様にのた打ち回っていて、弟は土下座しかねない勢いでモロヘイヤにひざまずき、謝り続けながらぼろぼろと床に涙を零している。父親はおろおろとその後ろを彷徨いつつ何か言っているようだが、弟の泣き声とモロヘイヤの叫び声で何も聞こえない。

「うぎゃああああ骨折したああああああ」

「ごめんなざいいいいいいいい」

どうやら弟がモロヘイヤを踏んだかどうかしてしまい、モロヘイヤの茎が一本折れてしまったらしい。それにしても叫びすぎではなかろうか。非常にうるさいのだが。……いや待てよ、このモロヘイヤどうやって喋ってるんだ。そんな俺の疑問をよそにモロヘイヤは叫び続け弟は泣き崩れる。

 数分してモロヘイヤもようやく泣きやんだ。が、今度はよよよと泣き崩れている。

 モロヘイヤは一番丈の高い茎を一本首の様に回し窓の方を見るような素振りをすると、悲嘆にくれた声で

「もう、飛べねえ……」

呟いた。

 窓の外では相変わらずモロヘイヤが集団飛行している。それにしてもこの大量のモロヘイヤは一体どこから飛んできているのだろうか。佐藤さんの畑とかからだろうか。佐藤さんも今頃泣き崩れているだろうな。そう考えると今回最大の被害者は佐藤さん筆頭のモロヘイヤ栽培者であろう。可哀想に。

 モロヘイヤ(※飛べない)は残念そうにぽとり、と茎を落とす。

 焼き殺されかけた本人としては自業自得と言ってやりたいところだが、あんなに残念そうにされると逆に可哀想になってくる。そんなことを思ってやる義理はないけどまあ、良心が痛むというか。弟も顔面蒼白で「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返し呟いている。

「いや、もういいんだ」

モロヘイヤは動かずに優しく言った。

「俺は一度空を飛べた、それだけで満足だ」

 父親の涙腺崩壊。声を上げて泣き出す。弟の泣き声も大きくなった。俺はどうすればいいのか分からないのでモロヘイヤをじっと見つめる。

モロヘイヤは空を見上げ(たように茎をまた持ち上げ)、

「さよなら、空」

と呟いた。

 流石の俺も可哀想になった。元はといえば捕まえた俺たちが悪いのだ。もしかして焼き殺そうと計画したのも俺たちが怖くてやったのかもしれない。何せ、今まで自分の眷属を食ってた生き物なんだしな。

 なあモロヘイヤ、と言いかけたその時、今まで泣いていた父親が鼻声でモロヘイヤに話しかけた。

「なあ、モロヘイヤ」

「なんだよ」

モロヘイヤは持ち上げた茎を父親の方へ伸ばす。

「折れた茎「骨だ」

「……折れたく「骨だ」

何故そこを言い張る。

「……折れた骨、直せるかもしれないぞ」

「マジで!?」

モロヘイヤは驚いたような声を出して飛び上がった。勿論折れた茎は引き摺って、だが。

その痛々しい姿を見て父親は切なそうな顔をする。

「つっかえ棒をして水をよく摂取し太陽光を浴びれば直るはずだ」

「そうかそうか!」

モロヘイヤは嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。

「だから……」

「だから?」

「だから……治るまで家にいてくれ」

その言葉を聞いた瞬間、モロヘイヤの動きが止まった。立ち止まり、ゆっくりと茎を父親の方へ再度伸ばす。そして、

「本当か……? 本当に……いいのか?」

父親は力強く頷く。

モロヘイヤが輝いた。

「ありがとよ!」

そう叫んで、モロヘイヤは一際大きく跳び跳ねた。

早速つっかえ棒とテープを持って来ようと父親と弟は慌しく走り始める。

「つっかえ棒はつまようじで大丈夫かな?」

「テープはどこに突っ込んでたかな」

そのバタバタの中、……俺は確かに聞いた。

モロヘイヤが「計画通り」と呟くのを。

「……モロヘイヤ?」

「何だ?」

「…………いや、何でもない」

「……そうか」


 これが、あの事件に発展するとは誰にも想定できないであろう、俺たちとモロヘイヤの出会いだった。



モロヘイヤはほうれん草の別名だと思ってた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 登場人物(モロヘイヤ含む)がみんなおかしい。弟が特にいい味を出していると思う。昨日、この小説を見つけた自分は幸せだった。今日、読み直しても幸せかもしれない。単純に笑えるのが良いです。
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