4「独白」5「結実」
ここら辺が話で言えば、一番の盛り上がりなのかなぁと感じています。
一番書いていて楽しかったし、これまでを見ていた方がいれば、
ここだけでも読んでもらえれば嬉しいですね。
それにしてもタイトルの数字を打ち間違えのが悔やまれます(強いこだわりもあったので笑)
後はこのサイトの仕組みが分からないため、少しでも読み手の方に面倒に感じられずにいてもらいたくて、12コに分けたのに2コずつ載せたり…
どちらが読みやすいのかと言えば、恐らく後者な気も今はしてます。
反省材料として次回に活かします。
1 一票 2 一票 3 一票 4 一票 5 一票 6 一票 7 一票 8 一票 9 四票 10 一票 11 三票 12 七票
ざわつきの後すぐに会場は落ち着いた。
色々と思う事はあれど、休憩をして頭を切り替えるのに必死なのだろう。
自分はそうだから。
12は、勝つ、と言っていた。
2さんは、救う、と言ってくれていた。
どちらも、票を入れる、とは言っていない。
そうか、俺は無意識に2さんの言葉に賭けたんだな。
そして、この一票が答えを物語っている。
すごく嬉しかった。
自己犠牲の精神から成り立つ平等な優しさは、誰からも好かれる人の特徴だ。
とても印象的だった。
11「待て」
9「え?やだよ。タバコ吸いたいもん。その後ね」
11が9を呼びとめている。
11「さっきの話を聞かせてもらおうか」
9「あー…しょうがないな。おっさん後でジュースおごって」
11「おごってとはどういう意味だ?」
9「ああ、おごるじゃあ言い方悪かったか。ご馳走してくださいな」
11「驕るとは本来過信しているものに対して使う言葉だが」
9「え?おごるってのは何か買ってくれるってことだよ」
11「最近の言葉は良い様に変わってしまっていて、サブカルチャー化しているな。求められるのなら致し方ないことかもしれないが」
11「まあいい。お前はこのゲームと、数字の意味についてどう思った?」
9「ゲームについては、後で言う。数字が割り当ててあるのはただの誕生日でしょ?9月12日は俺の誕生日だから。そこまで深い意味はないでしょ」
11「9・12、か。9月12日は宇宙の日と定められている。9.11の事件の次の日付に奇しくも生を受けたわけだな」
11「そんな日に生まれて因果関係を考えさせられはしないか?死んでいく理由。生きてる理由。学ぶ理由はそれだ。人は哲るから、意味がある」
9「あんまり興味ない。何となくまぁ程ほどに生きてるけど、宇宙から隕石かなんか落っこちてくればいいなぁとも思うし。え?哲る?なんか聞いたことのある言葉だな、まあいいや」
ともかく投票を見る限り、
さっきの9の話を聞いて、影響を受けて、
他の何人かも9に入れたようだ。
11にも入ってる。
身分も考えれば説得力は断然11なわけだけど、9の話には妙な説得力もあった。
今回は数字で見ればハナの差ってとこか。
ともかく俺はさっきの話の続きが聞きたい。
負債額は単純計算で、1000万。
少し希望を添えるには荷が重い…のか?
それではゲームを再開致します
そういえば、
一回受信しただけで、全然パソコンのメール使ってないな。
そもそも全体へのメールは無意味だし、
送るメールも今のところ別にない。
個人的には、名前伏せて7とかにやんわりとした迷惑メールでも送りたいくらい。
と、その時に、受信中の文字が。
1 一票 2 ぜロ 3 一票 4 一票 5 一票 6 ゼロ 7 一票 8 一票 9 ゼロ 10 一票 11 一票 12 三票
さっきの投票結果か。送信元は9。
あれほど無意味だって言ってたのに、送ってる。
その上、さっきの投票結果ならなおさら無意味…ん?
なーんか違うような。
良く見ても分からない。
あれ、そもそもこのメールは全員に宛てたメールだろうか。
周りを見渡そうとした同時くらい、
ドアの側周辺の席が騒がしい。
11「何だ、このメールは?全員に送るくらいな口で言え」
12「それにこれ、1番最初の投票結果じゃん、どうした今更そんなの見せて」
ああ、言われてみれば、そうだ、1番最初の投票結果だ。
でも、念のためメモは取っていたし、自分の数字の票の数くらい誰でも把握してるから、
やっぱり無意味…じゃないのかな?
9「送っておく。メモしてない人もいるかもしれないから必要になる」
9「後、ちょっと話すと長くなりそうだけど、今から俺の考えを言う」
9「出来れば聞いてほしいけど、最悪聞き流す程度でいいよ」
何だろう、気になる言い方するな。魅せるじゃねえか、9。
聞き流したりしないから言ってごらん。皆のハートに飛び込んでごらん。
あぁ、下らないこと脳内で言ってないでちゃんと聞こう。
9「この全員へのメール。一見無駄なようにも感じるけど、俺はそうは思わない」
12「無意味だろ、口で言えばいいんだから」
9「いや、11も言ってたでしょ?情報と何かが大事、みたいなの」
11「それがどうした?」
9「このメールとしての情報、すっごい大事じゃない?だって文字で残るんだから」
9「あと俺の場合は、数字ばかりで頭がこんがらがる可能性があるからってのもあるけど」
12「だったらメモだけでいいでしょ、メールされる人の気持ちになってみろ」
9「ああ、悪い」
9「ただ、今回のメールは他にももう一つ意味がある」
9「今回のゲームの勝因とやらを決定づける重要な意味がある」
9「とにかくメールは送った」
!?
周りがざわついた。
やたらハードル上げてるけど、大丈夫だろうか…?
そういう前フリで笑いを取る芸人は幾多と見て来たけど、
今回に限っては笑いの要素ないよ…
この空間でスベるのは結構メンタルヘルスに来るのでは?
9「みんな、中央のモニターを見てほしい」
そこにはさっきの投票結果が表示されている。
1 一票 2 一票 3 一票 4 一票 5 一票 6 一票 7 一票 8 一票 9 四票 10 一票 11 三票 12 七票
そして、さっき受信した一回目の投票結果。
なるほど、
そうか!
そういうことか!
メモだと自分で書いて文字が汚くて読みづらい。
デジタルだとそれがない。
読みやすい!
9「何かしら見えてくるでしょ」
鮮明にくっきりと数字が見える。これ以上無いくらい見える。
そうか、9はこれが言いたかったのか!
9「自分で書いたメモは間違えてややこしくなったりするケースもあるから、メールやモニターで確認した方が絶対良い」
9「ただ、それだけでは納得のいかない連中もいるだろうから、本題に入る」
11と12がどこか一点を凝視して睨みつけてる。
対象物が目の前に無いからだろうな。
そんな時にパソコンが受信中になった。
差出人はまた9。
全員に宛てた同じメールなら、こいつはお笑いで言うテンドンの要素も絡ませてきてる事になるな。
1 ゼロ 2 一票 3 ゼロ 4 ゼロ 5 ゼロ 6 一票 7 ゼロ 8 ゼロ 9 四票 10 ゼロ 11 二票 12 四票
ん?違う内容だ。ついさっきの投票結果と似てるけど、少し違う。
9「これとさっきの投票結果を見ると、分かることがある」
何だろう。数字はめちゃくちゃ弱いから頭が痛い。
聞き流したいくらい難しいテーマっぽいぞ。
しばらく考えるのすらやめて聞こう。
9「今送ったメールは、今さっきの投票結果から、一回目の投票結果を引いた、二回目の投票結果ってことになる」
9「この投票結果のシステムは、ちょっと難しい部分がある」
9「それは現在までに投票された、総合結果しか表示されないところ」
11「早く核心が聞きたいな。これくらいの引き算小学生だって出来るぞ」
9「そうなんだよ、これくらいのひき算は俺にも出来た、けど」
11「何だ?」
9「今はまだ言わない方がいい」
11「ここでバカ正直に聞いていた皆を愚弄してるのか?」
9「そういうわけじゃない」
9「負けの可能性が100%になる、危機的状況にいるから」
9「さっき話した黒幕と、Xの話を少しさせてくれ」
9「こいつらはグルになっている可能性がすごく高い」
11「また黒幕とエッキスか。一体何の根拠で言っている?しかもそれが共闘を組んでいるだなんて、行き過ぎた想像だ」
9「と言うか、今回の投票で分かった、完全に組んでる」
9「はっきり言って、マージャンで言うなら相手は2人合わせてかなりプラスで今はオーラス、片方はリーチ賭けてあがる寸前の状態」
9「けっこうピンチってやつ」
9「目星がついてる部分もあるけど、まだ分からないところがあるから、今は見に回る」
9「ただ、みんなが大方想像している通りで間違いはないと思う」
9「勿論こいつらはそれも分かった上で、十分な勝算を持っているからそうしてるんだ」
9「だから俺もこの時間でもう一つアクションを起こしておく。この時間にしないで取り返しがつかなくなるのだけは嫌だから」
9「大丈夫、Xの尻尾くらいはつかんで見せるから」
9「そんな感じだ、長い意見に付き合ってもらって悪かった」
11「…話が見えてこない。具体的なことが何一つ分からなかった」
9「ああ、そうだった、このメールはみんなに送る必要があるか」
…
受信中
絶対に、「黒幕」、「X」と思うヤツには票を入れるな
絶対に、「俺」にも入れるな
後は、誰でもOK
以上
9じゃない声で1人大きな声で笑っている。
あえて言う必要も無いのか。
それでも、不気味だ。水面下で一体何が起こっているのか分からなかった。
9の話は11の言う通り、すごい難しいことを言ってるようで、そうでもないような気もする、説得力があるんだかないんだか。
ただ、一つすべきことが分かった。
俺は黒幕にもXにも、票を絶対に入れない。
9にも入れない。
それだけは絶対に守ろう。
と言うよりも、それしか選択肢が無いんだよな。
下手に入れて、取り返しがつかなくなったら、
これだけ話してた9に申し訳がたたない。
ピッ
9に入れたいとこだけど、
9は入れるなと言っている。
だとすれば救ってくれると言ってくれた2さんに絶対入れる。
こんな時に無記名は役に立つなあ。
2さんに必要以上にお礼をされずに済むのだから。
2「あの、9さん…」
9「ん?」
2「私は、どうすればいいのでしょうか?メールは見ましたけど」
9「最初に言ってた平等にする話?間違いではないだろうし、自分が良いと思うようにしたらいいんじゃない?」
9「ああ、そうだな、でも」
2「なんでしょうか?」
9「出来れば6に入れてもらいたい」
2「分かりました!今回も6さんに票を入れようと思っていたので良かったです」
…2さん、やっぱりめちゃくちゃ素晴らしい人。後光が指してるよ。
あれ?
でもいいのかな、俺だってさっきまでの発言とかでみんなからは黒幕やXの最有力候補に思われてるに違いない。矛盾してないのかな?
納得いかない人だらけじゃあ?
てか何で俺?
11「待て。2。お前だ」
2「はい?」
11「お前は疑うと言う概念が無いのか?平和ボケめ」
11「このゲームは嘘をついてこそ優位に進むゲームだぞ」
2「でも、さっきあなたは信頼が大事とおっしゃってました」
11「違う、信用だ。履きちがえるな。信用はされても、信頼はするな」
11の隣であからさまにニヤニヤしていて、楽しそうなのは12だ。
そういえばこの時間はほとんど喋ってなかったな。
喋り過ぎて疲れたのか、居眠りでもしてたのか。
12「別にいいじゃん、強要すんなよ、つまらなくなるしな、だろ、2?」
2「12さん、ありがとうございます!私は6さんに…」
11「ダメだ!許されるか!白か黒かも分からないやつに…」
9「6は間違いなく、シロ」
え?
9「6は数字で見てもシロ」
9「だから2に入れてもらうんだ」
9「普通にみても、シロ」
9「だってこのゲームであれだけ悪い部分見せる必要ないでしょ」
9「これは保障する」
うわっ!
やめてくれ。
みんな思い出し笑いしてるじゃないか。
恥ずかしい。。
ああ、そうなのか、客観的に見たら俺は悪く無い方に入るのか。
悪い部分ばっか見せたのに、不思議な話。
ぶっちゃけて今の心境としては、
シロだろうが黒幕だろうがXだろうが、
要はマイナスさえ無ければいいんだけど。。。
口が裂けてもこんなこと言えないな。
かくして皆は3回目の投票を終えた。
…
3「背信」
1 二票 2 二票 3 二票 4 二票 5 二票 6 二票 7 二票 8 ニ票 9 五票 10 ニ票 11 四票 12 八票
休憩開始です
ほっとしたけど、
?が頭中に並ぶ。解決出来そうなこともあるけど、
それ以上に?の方が多くて、混乱しそうだ。
とにかく、次の時間にこのモヤモヤは多少解消されるだろう。
だから今は、「見」に回る。
こう言っておけばなんとなく場が締まるよな。
完全に二番煎じだけどな。
票とにらめっこするよりも、周りを見ておこう。
休憩時間は10分、自分なりにこの時間に得られる情報を少しでも。
9を見ると、深く頷いていた。
アゴが外れる勢いの頷き方だった。
俺はあそこまで潔くうなずいた事はない。
て言うか、遅刻したことみんな忘れてない?
その遅刻ペナルティを無しにするのには、
9のこの後の活躍如何だ。
だから今は、見に回る。
帰りは天丼食べれたらいいなぁ。
9はその後すぐに席を立ち、ポケットからタバコを出していた。
9の席と喫煙スペースの中間にある、2さんの席に立ち寄って、
何か質問してる。
何だろ?ちゃんと聞き取れないや。
9はすぐにまた軽く頷いて、
そそくさとタバコを吸いに行ってしまった。
なんかの確認?
と、入れ替わり立ち替わりで12が2さんの席に来た。
12は声が大きいから、何を言ってるかはっきり分かる。
しかも今回は今日一番大きい声だった。皆に聞こえんとばかり。
12「よお」
2「あ、12さん」
聞き耳を立てたら2さんの声も何とか届いた。
2「先ほどはありがとうございました」
12「そんなことより」
12「お前にだけ重大な話をしてやるよ」
おいおい12…声大きいからみんなに聞こえてるんだってば…
これ以上は、やめてほしい。
ドリフのコントじゃないんだから…
2「何でしょう?」
12「さっきの9の話を聞いてどう思ったの?」
2「私はまだ信じ切れていません。このゲームに黒幕がいるだなんて」
2「でも、いいんです」
2「仮にいたとしても、その人もこのゲームをやめてもらえるのなら」
12「そうか、良く分かったよ…」
12「分かった…」
12「ただ分からないことが一つだけある」
2「どうかしましたか?」
12「2、お前さぁ、ほんとにほんとに」
どーーしようもない、
アホだよなあぁぁぁぁぁ!
12「と言うかここに集まったお前ら全員」
ちょぉぉぉぉぉぬくいんですけどねえええぇぇぇぇ!!!
最低なセリフを…ここまでデカイ声で。
12、酷すぎる人間。
最低限のモラルがあれば面と向かってそんなこと言えないよ。
12「笑いをこらえるのに必死で必死で死んじまうかと思ったよ」
12「そうだ、お前らの思っている通り、俺が9の言う黒幕だ」
机を蹴りながらそう言うと、ジャンプして飛び乗り、
叫び出した。
「皆さん!ご愁傷様でした」
「これから残り7時間は!更なる思い出にしてあげましょう」
「いい冥土の土産になるだろうね!」
「マヌケどもが」
「まだまだ搾取しまくってやるよ」
「お前らはただ俺達から屈辱的な拷問に耐えてりゃいい」
…
11「さっきから聞いていれば」
11「お前は9の例で言う、黒幕なのは明白で分かりきっていたこと」
11「そして今、俺達、と言った。もう一人の存在を教えてくれたわけだな」
12「ああ!!そんな情報いくらでもくれてやるよ、バーカ」
12「Xは確かに存在する!だがな、そんなXもまた手のひらで操られているんだよ!このゲームの支配者は、俺だ」
12「頭でっかちの11!お前はただ年を取ってるだけの勘違いまぬけ野郎だったな!」
12「まぁ、お前は指でもしゃぶってみてろ。圧倒的強者の力をな」
12「それよりも、お前だよ、2番」
12「その恩着せがましい態度…正義感気どった偽善者め」
12「お前を見てるとほんとに何もかもイライラする。気が狂いそうになるんだよ。俺のことをさも「どうしようもないクズ」と言わんばかりでな」
12「プライドを傷つけたお前だけは絶対に許さないよ」
12「そして、そうだな、余裕ぶっこいて、この状況下でのん気にタバコプカプカ吸ってるおめでたいヤツもな」
12「後で丁寧に説明してやるよ、これ以上ない絶望を」
12はテンションが上がり過ぎて、
この後も、ずうっと喋り倒していた。
休憩なんて出来たもんじゃない。
疲労困憊だ。
12の言う事が全て正しければ、
ほんとは休憩なんてしてる場合じゃないんだけどな。
もうダメだ。
時間に任せることしか出来なかった。
休憩終了です
ここからは12の独壇場だった。
12「まず、このゲームが何か教えようか」
12「ちょっとした金儲けだよ。○の数はちょっと多いけどな」
12「思っていた以上に、裏ルートとやらを使えばこの世の中どうにでもなるんだな。適当なやつらの情報流してもらうだけ」
12「その時払った金と、このフロアとパソコン用意して、少しの手間だけだった、後はそれ以上の金を奪えるかどうか」
12「パソコンに関しては携帯でも良かったんだろうな、無駄な出費だったが、これもこのゲーム、と言う名目のウソの見栄えをよくするため、ウソに真実味を与えるには十分な役割だった」
12「最終的には、アタマだけがモノ言う世界」
12「一つのひらめきとやらでこんなにも上手く事が運ぶとはな」
12「お膳立て整えて、最高に楽しい宴だった」
12「だが、金に関してはお灸据えて言うぜ、逃れられる術はない」
12「貯金した金を他人がおろすってのは相当難しい行為らしくてな、だからこのゲームでクッションを敷く必要があった」
12「唯一公平にしなくちゃいけなかったのは金を奪い合うと言うシステムくらいだ」
12「と言うのも、俺の口座に金を入れるにはそういう世で言う、司法取引とは真逆の行為が必要だった」
12「ほんとめんどくさい世の中ってやつさ」
12「まあ、そこらへんのややこしい話はまだいい。後はご自由にしばしのご歓談をしていればいいよ」
…
12は席に戻り足を机に乗っけて、最高に余裕なポーズをとっている。
そしてその分俺達他のメンバーは余裕が無く、
縮み込んでいると言う図式。
あの、11でさえも委縮している。
ただ1人12を除いたみんなが下を向いている状態。
12「いやー、それにしてもさっきのおめでた野郎の発言の数々」
12「まったくもって意味分かんなかったな」
みんなに同意を求めてる。誰も反応しない。
おめでた野郎?発言?
9の事かな。
うん、今さら意味を成さないよな。
これだけ状況が一変してるんだから。
9も下ばっか向いてるし、特に何か言う素振りはない。
12「シロとかクロとか、どうでもよくなったろ?」
12はこっちを見ているようだ。
そういえば、一応シロって言われて疑いは免れたんだっけ。
その理由は何でだろう?
今更関係ないことだが。
それよりも2さんからの一票ももらい、
負債は少しでも減ったわけだ。
2さんの無償の愛に、感謝しないとな。
12「おーい、9、何とか言ってみろ」
12「ぜーんぶ無意味だけどな」
ケラケラ笑っている。もはや絶対王政。
9もニヤニヤ笑い出した。
せせら笑い?
12「自分の立場が可笑しくてしょうがないんだろ?」
9「いや、違う」
9は横に首を振ってすぐに上を向いた。
9「話すことが沢山ありすぎて、整理しきれなかった」
9「だからパソコンとメモ使って、やっと何とか話せそうになって、つい」
12「はぁぁぁ?」
12「勝手に無駄話をするんじゃねえ!ここは俺の部屋だ、俺の空間…」
発想がジャイアンと化している。
隣にいた11が12の口を手で押さえて、黙らした。
黙った。
…
12は机に仰向けになってオヤスミさせられたようだ。
9「よし、丁度いい」
9「じゃあまず、さっきのシロとクロが分かった理由から」
9「何から話せばいいか分かんないけど、頑張って聞いてくれ。頑張って話すから」
9「二時間前の投票をボーっと眺めてて、何となく疑問に思う事があった」
9「今思えばそれが全て」
9「一時間前のメールを見てほしい」
9「その全体に送ったメールこそ、今日のゲームを勝ちに繋げられる、たった一つしかない絶対に動かないシロモノ」
みんなはパソコンに目をやった。
このタイミングでギャグを挟む余裕はなかった。
俺はただ9の話を聞くしかないからだ。
+3「独白」
1 一票 2 ゼロ 3 一票 4 一票 5 一票 6 ゼロ 7 一票 8 一票 9 ゼロ 10 一票 11 一票 12 三票
画面には一回目の投票結果が表示されている。
自分がゼロでパニックになって、そして他のみんなに遅れを取るまいと、
慌てふためいた瞬間でもある。
今見返すと12はこの時から票が既に抜きん出てる。
やっぱり12は人の心を悪い意味でも奪うことに長けている。
9「このゲーム。まず、これは12がそこまで狙ったのかどうかは分からない」
9「ただ、人の平常心をおかしくする要素が、すごいいっぱい入り過ぎている」
9「まず、金額だ」
9「1億とか、1000万とか、はっきり言って聞いたことはあっても、見たことすらない額が、借金になる可能性ががこうもはっきりしてるいうゲーム」
9「そして1回目の投票で、無理やりはっきりさせられる仕組み」
9「勝者と敗者ってものが」
9「あとはゲームのシステム」
9「これから話すのは、そういう色々ある事情が絡んでるからこそ成り立つ話でもある」
11「12が作為的にしたかどうかは置いておいて、9の話は一理あるな」
9「フォローありがとう。おっさんジュースやっぱいらないから、もしも言葉が足りない説明あったら補足頼んだよ」
11「つまりは、この綿密に作り上げられてしまってであろう空間こそが、全ての元凶なんだな」
9「そんな感じ。あと、ここの12人は初対面で、情報がほとんど無い、とか話し出せばこの状況の不利な点はいくらでもあるから、それを話し出すときりがなくなっちゃうから、後は想像してくれればいい、それらを踏まえて聞いてくれ」
9「1回目の投票結果、おかしいところがある」
9「ついさっき俺は引き算で、2回目の投票結果を計算してメールしたけど」
9「1回目の投票結果はそれとは逆で、足し算をして答えが分かったんだ」
周りはやたらざわついてる。
数字は弱いから、嫌なんだよなぁ。
まだ文字を見てるほうがいい。
ただでさえ、この投票、自分の数字と投票の数字とで読みにくいんだから。
ひー、ふー、みー
ん?目が悪いのか?もういっかい確認する。
11票?
9「みんな、パソコンから一回目を離して」
9「これだけ大きい規模のゲームで、最低限のルールが説明されてたんでしょ、遅れてきてて直接聞けなかったんだけど」
9「ルールを守るために」
11「破ったら重罰があると刷り込ませ、律儀に皆が票を入れている中、12は自分で作り出したルールを自分で破り、入れずにいたわけか」
9「いや、少し違う」
9「12は票を入れていたよ。俺は見てたから確認出来た」
9「それ以外にもメールを一番最初に使ったのも12だったし」
9「自分の作ったルールをさも、絶対的なルール、と言う風にみんなの頭に無意識で植えつけたんだ」
11「思い出した。12はあの時、自分に票を入れれば、勝てる方法を教えてやる。と言って票を入れていたな」
9「そう、だからあの時入れてなかったのは、Xだ」
11「エッキスは入れ知恵されていたのか」
9「それは2回目以降に分かったよ。まだXが誰か分からない以上口には出せなかったけど」
9「それこそがこいつ等の存在を分からせる致命傷になってしまったけど」
9「ああ、それよりもシロとクロの話だった」
9「話し出すとまた長くなりそうだから、結論から」
9「1回目の投票で、誰にも投票されなかった、ゼロだった、人はシロ」
9「何故そうなのかは、これからの話を整理しながら聞いて後は自分で考えてほしい」
9「順序がよく分かんないけど、今から全員にメールする」
9「2回目までの総合結果の投票結果だ」
1 一票 2 一票 3 一票 4 一票 5 一票 6 一票 7 一票 8 一票 9 四票 10 一票 11 三票 12 七票
9「さっき言ったように、この票の数字をただ数えてみてくれ」
電卓でもあればいいんだけどな。しょうがない、メモに正の字を書こう。
この2回目の投票結果で分かったことがあるんだっけ。
ほんと9は良く考えているな。頭の中をのぞいてみたい。
と言うわけで茶々入れずに素直に話を聞きましょう。。
9「全部で数えると23票。12×2で24、さっきのを考えれば今度は全員が票を入れたってことになる」
9「理由は二つ。」
9「一つは簡単だ。バレてしまうと有利に進まなくなるから」
9「この12って半端な数の理由…はこれかな」
9「仮に10だったら数えやすくてすぐにバレるから、だから中途半端にしたんだよ」
9「12は金の亡者。1人でも多く金をむしり取りたいから、後々組むであろうXを入れて、それで12人にしようって感じじゃないかな」
9「12は楽な立場だった、ただ悪役になるだけで、それだけで目立ってXの身を隠し、更には票ももらえてるから」
9「恐らく、3回目からXは票を入れ始めるはずだった」
9「その理由は話さないけど」
9「じゃあ何故2回目の投票でXは票を入れたのか」
9「もうひとつの理由」
9「俺は2時間目に軽いトラップをしかけた」
9「Xは引っ掛かった」
9「まぁいずれはしなくちゃいけない、バレる前にする、誰かに投票をするって行為」
9「でもその行為ってのを、2時間目にしてくれたのがデカかった」
9「俺のトラップはとても単純、12とXの存在をみんなに言ったくらいなんだけど」
9「それでもXは慌てたんだろうか、ボロを出した」
9「心理戦とはまではいかないけど、そんなとこ」
9「そして、ここまでの考えで分かるのが、シロとクロ」
9「12が1回目に票を入れたのは、今までの話を踏まえると間違いなくXだ」
9「だから、最初ゼロだった人は、シロってこと」
9「そんな感じでひたすら消去法を使っていっても良かった」
9「この法則で言うと、1回目と2回目の投票を見て、それ以降順調に票が伸びているヤツがX」
9「とは行かなかった」
9「今度は12も頭を使ってきた、身を守ることを考えたんだろう」
9「俺か11か、2か6の三人のどれかに入れたんだ」
9「1回目の投票と、2回目の投票を見比べてみてくれ」
1回目
1 一票 2 ゼロ 3 一票 4 一票 5 一票 6 ゼロ 7 一票 8 一票 9 ゼロ 10 一票 11 一票 12 四票
2回目
1 一票 2 一票 3 一票 4 一票 5 一票 6 一票 7 一票 8 一票 9 四票 10 一票 11 三票 12 七票
9「それで、2の話」
9「2はさっき、票の無い人に入れる、と宣言してた」
9「そして目の前で6に入れた。それはみんな見てたはず」
9「2が何を考えているのかはいまだ分からない部分もあるけど、少なくとも自分や他の人の身の潔白を証明してたよ」
9「これでだいぶしぼられる」
9「2回目の投票で12は俺に票を入れた、ほぼ100%」
9「12が黒幕と言う可能性はほぼ100%だった、けど100%ではなかった」
9「さっき自分で言ってたから12ももちろんXではない、黒幕だったことが分かったから、結果はオーライ」
9「後は、頭でいろいろ考えてるよりも、聞いた方がたぶん早く話が進む」
9「2と6はこの3回の投票で誰に入れた?大丈夫、身の潔白は保証出来たはずだから話してほしい」
2「私は、1回目3さんに、2回目は6さん、3回目も6さんに」
俺は、7さん、2さん、2さん、の順です。
9「そして、俺は深い意味もなく、11、11、そして最後は3に入れた」
9「この数字を加えると、分かること」
9「3もシロ」
9「自分の全ての票が、身の潔白が証明された人から入れられた票なら、さっきの法則で言えばその人もシロだから」
9「3は現時点で合計が二票でしょ」
9「あと、俺も一応最初ゼロだったから、この法則で言うと11も始めからシロではある」
9「それは俺だけが分かってたこと」
9「2の始めからの発言や、2のさっきの行動を見れば、3も間違いないだろうとは思っていたから、確認で3に入れたってのもあるし」
9「うーん」
9「とまあ、こんな感じで話を進めていってもいいんだけど」
9「ここでいったん、モニターの総合結果を見てくれ」
1 二票 2 二票 3 二票 4 二票 5 二票 6 二票 7 二票 8 ニ票 9 五票 10 ニ票 11 四票 12 八票
9「3時間目の俺が最後にしたメール、覚えてる?」
黒幕とXと思うヤツには票を絶対に入れるな、
俺にも票を絶対入れるな、
後は誰でもOK
9「このメールは全員に送ったメールだ」
9「もちろん12もXも見ている」
9「この間にこいつらが個人間のメールで何かやり取りをしたかはわからないが」
9「12は俺に票を入れた、一つ票が増えてたから」
9「また得意のみんなをかく乱させる作戦のつもりだったかもしれない」
9「この2人が俺か自分たちに票を入れる分には別に構わなかった」
9「変に俺のメールや言葉を信じすぎる人がいて、俺の総合票が十票さえ越えなければいい、と言う意味の他の人達へ向けた注意のメールだっただけ」
9「そしてその時、俺は別のアクションも起こした」
9「誰から見てもXの可能性があるヤツ全員に、個人間のメールを送ったんだ」
9「つまりその時点で数字で確定してた、2、6以外の全員」
9「内容はこう」
さっきの条件
プラス
金を減らしたくないなら
2、6、には絶対に票を入れるな
9「これだけメールした」
9「これだけだけど、結構な威力だった」
9「12、X、あとは2、、6、9、自分以外だから、かなりしぼられる」
9「確率は最低でも12マイナス6だから、計算すると2分の1以下」
9「1、3、4、5、7、8、10、11」
この7人の3回目の投票だけは、縛った。
9「11に関しては、個人的にシロと分かってたけどメールした」
9「色々ある」
9「こんな感じでシロを探して1人1人聞いてあぶり出して言ってもいいんだろうけど」
9「俺は違う方法からも一応Xを探した」
9「そっちのほうがしっくりくるし、分かりやすいと思う」
9「3時間目ももう残りが少ない、残りの考えは4時間目に話したい」
9「とまあ長い屁理屈に付き合ってもらって悪かった」
9「票に関しては任せるよ」
9「自分が思う一番悪いパターンだけを避ければいいんじゃない?」
9「ああ、やっぱり1つだけ」
9「7には票は入れないで」
9「Xの有利は変わっていないわけだし」
9「以上」
…
すごい一体感が生まれた。グルーヴ感ってやつか?
9は意外と話せるどころか、
めちゃくちゃ、考えを持っていた。
みんな快方へと向かうような表情を見せている。
9と、
うつ伏せの12、
そして名指しの7、
を除いて。
11が12を叩き起こした。
ルールは破れるみたいだけど、
投票をしなくてはいけない以上、
イタズラに誰かの負債を増やすのは避けたいからだろう。
11は12に早く投票をしろと言っている。
12は起きたばかりで状況も掴めず、投票をしたようだ。
この時点で、確定してるのは、
1回目投票されなかった分の補填、
誰かが最低でも1000万以上の負債を背負うってことだ。
そして、
これも、確定…か?
Xの正体。
…
4「結実」
1 二票 2 四票 3 三票 4 二票 5 二票 6 三票 7 二票 8 二票 9 八票 10 三票 11 七票 12 九票
休憩中、10分間と言う短さではあったが、
目の前を色々な出来事が駆け抜けていった。
走馬灯が出来てもいいくらいの勢いだった。
久々すぎて、どういう人達かを忘れていたけれど、
数字と言う肩書きがある以上、必要なことしか考えるのを辞めた。
7は、目の前の状況が分からず、天罰が下ったかのようにただただ動揺してもいいはずなのに、
不気味なくらい落ち着いていた。
9は、少しパソコンを注視した後、すぐに喫煙スペースへ向かった。まぶたが重そうだった。
11は、9と話そうと席へ向かっていたが、9が居ないことが分かると、さっきのように呼びとめず、おとなしく席へ戻った。
12は、状況を把握していないはずだったが、さっきと同じように椅子とテーブルを上手に使い、寝ると座るの中間のポーズ。余裕にも見えるし、天を仰いでるようにも見える、どっち付かずと言う印象だった。
休憩時間は終わった。
9「時間は限られているから、さっきの話を続けていい?」
隣の様子は分からなかったが、誰も反対する人などいないし、12はアクビをしている。眠いのか酸素を取り込みたいのか、ともかく静観の構え。
9「7の件」
9「7にはメールをしておいた」
9「何から話せばいいんだろうか」
11「Xから言ってみてはどうだ」
9「ああ、そうか」
9「さっきの考えの続きだった」
9「俺なりの考えでXを突きとめた」
9「今回の投票でさらに説明がしやすくなった」
9「そう」
9「7」
!
みんなは驚きを隠せない。7もその言葉で軽い動揺を見せた。
9「…はごめんXじゃない」
!?
9「さっき7にはメールした、さっきの時間の名指しは7の潔白を証明するためだからって」
…勿体ぶるなぁ。狙ってやってるのなら確信犯だ。
9「一時間前の、メールで票を縛った話」
9「そこからでもXは分かるだろうけど」
9「いったん忘れてくれ」
9「あの考えは今回しない」
9「さっきのタイミングで、特定の7を挙げたから、7がXといきたいところだけど」
9「だけどこの場合は逆になんだ」
?
9「今回12は誰に入れたと思う?」
12はふんぞり返っている。鼻歌を歌っているみたいで、話は聞いていない。
9「さっきの時間はずーっと寝てたはず」
9「それ抜きで考えても」
9「100%の確率でX」
9「となればXはどうするか」
9「Xもまた12に票を入れる」
9「これは動かない」
9「Xも12も、金を増やすために動いているから」
9「そしてこの2人は組んでるから、いくらでも金の帳尻は後で合わせる事が出来る」
9「この前提がある」
9「もしも、Xが12との取り決めを一時的に破り、12じゃない、特定の違う人にもし入れていた場合」
9「結果はこうはならなかった」
9「自分から教えてしまったんだ」
9「これで見えてくる」
9「案外あっさりと見えてくる」
!
?
あっさりしてるのか、こってりしてるのか、少なくとも、
今のところ俺には分からないや。
11はどうやら突き止めたようだ。
9「色々と方法はある」
9「少し答えは先延ばしにしてもいい?」
9「順番に話したいってのもあるし」
9「その方が話しやすい」
11「ここに誰も文句は言う人間は居ない、9の好きなようにしたらいい」
9「ありがとう」
9「さっきの前提、OK?」
9「12Xのルールとでも言おうか」
9「12はXに票を入れて、Xは12に票を入れる」
9「これだけ」
9「数学が好きな人は、証明って呼ぶのかな」
9「後は今までの法則を少し加えるとなお分かる」
ルール、証明、法則。
苦手な単語だらけ。
9は将来性買われて法曹界からお声がかかるんじゃないか?
9「偶然も絡んだけど、今回の投票は、見れば見るほどすっごい面白い、だって」
9「Xは、自分の身を守ろうとしただけなのに、逆にこんなにも簡単にみんなに正体をバラしてしまったんだから」
9「もう動かない数字でね」
9「パートナーに恵まれてなかった部分もあるかもしれない」
9「まぁ始めからそうだった」
9「バレないように、バレないように、してたつもりが、招いた結果」
9「本人達の示したこと」
9「じゃあみんなにメールする」
「一回目の総合投票結果」
1 一票 2 ゼロ 3 一票 4 一票 5 一票 6 ゼロ 7 一票 8 一票 9 ゼロ 10 一票 11 一票 12 三票
「二回目の総合投票結果」
1 一票 2 一票 3 一票 4 一票 5 一票 6 一票 7 一票 8 一票 9 四票 10 一票 11 三票 12 七票
「三回目の総合投票結果」
1 二票 2 二票 3 二票 4 二票 5 二票 6 二票 7 二票 8 ニ票 9 五票 10 ニ票 11 四票 12 八票
「四回目の投票結果はモニターを見てほしい」
1 二票 2 四票 3 三票 4 二票 5 二票 6 三票 7 二票 8 二票 9 八票 10 三票 11 七票 12 九票
9「これが全て」
9「俺がメールしたりさっきまでに話したことを少し踏まえれば」
…
クイズや謎々は面白い、推理系も好き。
出来れば自分の頭で答えを出したい。
方程式「X」を求める数式ってやつを。
9「でも」
9「ここまで来たしせっかくだから納得いくまで話す」
9「一回目、覚えてる?」
9「Xは誰にも票を入れなかったこと」
9「それ以降Xは全て12」
9「それに対して、12」
9「一回目はXに」
9「二回目は、カモフラージュで、X以外に」
9「三回目は、俺だったっけ」
9「こんがらがって分からなくなってるのか分からなかったのか、どっちだったっけ」
9「ここはぶっちゃけ誰でも良いんだ」
9「まあ12に聞けば普通に教えてもらえそうだけど、やめとく」
9「四回目、はX」
9「12が、四回目に入れた相手がX」
9「何度も言うけど、これだけでいい」
…
11「ちょっといいか」
9「ん?」
11「9は三回目の投票を終えた時点でXを突きとめたはず」
9「ああ」
9「気になるなら、それはまた後に機会があれば」
9「おっさん好みは、そっちの方法だろうけど」
9「今は四回目も使う、その方が話しやすいから」
11「分かった」
…
9「話を戻す、四回目12はXに入れた」
9「ほんとこれだけ」
9「一回目にあった前提」
9「この前提が無ければ、6もXの可能性があるけど」
へ?!
9「6がどう思うか分かんないからそれは話さない」
9「三回目」
9「四回目」
9「この二つを比べて」
9「おかしいところ」
9「もういいのかな?俺はもういいけど」
12「話せよ」
12「お前の自己満足に付き合いたいやつが多そうだしな」
これだけ言われても、
12は体勢を変えないままだ。
周りのほうがよっぽど余計な動きが多い程だ。
9「ああ、でも付け加えるとしたら、これくらい」
9「お前が全てのイレギュラーだ」
9「12」
9「他のみんなはXと思うヤツに、誰しも票を入れるわけがなかったんだからな」
…
…Xは、話し出した。
いきさつから何から。
ただ、お金だけが純粋に欲しかっただけ。
ゲームの手紙を読んだ後、12から連絡をもらい、
何も分からないまま、ただ指示通りに動いただけ。
Xが加害者なのか、被害者なのか、
分からなくなった。
これから分かることなのか。
…
12「9」
9「ん?」
12「楽しかったか?」
9「面白かったよ」
12「1つ聞く。この自己満足で証明したことは何だ?」
12「…一体何が!」
12「お前の下らない話は、ぜーんぶ!ただ時間が過ぎていくだけの暇つぶしだったと言うことを証明しただけだ!」
12「すぐに分かるぜ」
9「暇つぶしかあ、まぁ面白かったけどな」
9「後はX次第だよ」
9「Xは、この空間で、12と同じくらいか、その次」
9「誰よりも努力してた」
9「お金を増やそうとする努力を忠実に」
9「増やしたいのか、減らしたくないのかは本人が決めればいいんじゃない?」
9「次の投票で分かる」
9「あと」
9「余計なことだったかもな、12」
9「このゲームの仕組みを自分から話した以上、12」
9「お前だけはこれ以降もルール通り絶対に票を誰かに入れなければならない、抜け出すことは許されない」
?
9「それから2、一つ頼んでもいい?」
2「何でしょうか?」
9「これからの票に関しては、全面的に任せていい?そういうの一番向いてるのは2だろうから」
2「本当ですか?!ありがとうございます」
…
2「終了時間も近づいてきました」
2「今お話をした通りでお願いできますか」
12は誰かに票を入れたはず。当人達は誰に入れるんだろう。
五回目の投票を終えた。
5「為人」




