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竜海日記  作者: 梅子
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12月15日 杏菜の話す竜海①

12月15日

 やっと、杏菜ちゃんに会って、話を聞けました。再会を果たすまでにした私の行為は犯罪まがいですし、竜海のこととは直接、関係がないので割愛します。敢えて書くなら、ストーキングと経歴詐称、その他些細な嘘10個以上というところでしょうか。

 杏菜ちゃん。とってもきれいになっていました。大きいのに涼し気な、でも愛嬌たっぷりな目。丸くて愛らしいのに、高い鼻。さっぱりしているのに妖艶さを感じさせる唇。目が合った時に見せる、ちょっととぼけたような、でも大人びたような、不思議な顔。そう杏菜ちゃんってこういう子でした。勝てません。決して絶世の美女ではない。ないけれど、竜海と同じ世界の人。こういう人が、竜海の子供を15歳で産むんだなって、感慨深くさえありました。杏菜ちゃんは、時々、肘をついて、黙って私を見ました。すると、純真な少女に見えました。杏菜ちゃんは、時々、髪を撫でて笑いました。すると、なまめかしい魔性の女に見えました。

 私は初めて、話をする側の人に飲み込まれそうになりました。でも、私はただ、杏菜ちゃんと世間話をするために、数々の悪事を働いたわけではありません。竜海のことを聞くために、そのためだけに今まで努めてきたのです。私は、意を決して、杏菜ちゃんに切り出しました。「杏菜ちゃん、竜海のことを聞いてもいい?私、竜海を探してるの。」

 杏菜ちゃんは、本当に子供のようなあどけない顔で驚いていました。私は、続けました。「杏菜ちゃんが、竜海の子供を育てているのは知っているの。竜海、今どこにいるの?」杏菜ちゃんは、暫く驚いた顔のままでしたが、急に噴き出して、哀れみに近いような、面白がるようなそんな目で私を見て、笑い続けていました。この後、杏菜ちゃんが言ったことは、不思議と途切れ途切れにしか覚えていないので、何とか思い起こして書きました。以下の通りです。

 知ってる?竜臣のこと?竜海との子供だって(杏菜ちゃんは笑いをこらえているように見えました)。何を知ってるの?竜海と私が付き合ってて、中学生のくせに、体の関係を持っちゃって、不注意で生まれたって?○○ちゃん(私の名前)って、ほんと純粋だよね。

 駿に会ったんだよね?駿。駿は、何か言ってた?私が竜海に捨てられたってそう言ったんでしょ。駿もほんと単純で、嫌になっちゃうの。

 でも○○ちゃん、おかしいと思ってるんじゃないの。竜海を知っている人なら、おかしいと思うよね。竜海って完璧でしょ?どうして、私との間に子供が生まれるようなことになっちゃったのかって。

 教えてあげよっか?

私は、疑問をぶつける前に、杏菜ちゃんがそのことについて見透かしたように話し始めたことに驚きました。驚きましたが、やはり知りたくて知りたくて仕方ないことなので、杏菜ちゃんに身を委ねて、ひたすら聞き尽くしてやろうと覚悟を決めていました。


続く


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