12月24日 仕送りと竜海(いずみさんの話を通して)
竜海君、勉強が好きな子でしょう。きっと高校や大学には、進学したいって思っていたんじゃないかしら。でも、足が不自由になってしまったし、頼れる両親もいないでしょう。だから、本当に苦労したと思うわ。連絡はね、だいたい半年に一回のペースでしてきてくれたわね。電話番号しか知らないから、出られない月もあってね。一度、出られないと、また半年後まで連絡がないのよ。だから、そろそろ連絡が来るかなって時になると私、携帯を仕事中も持ち歩いて……、本当は施設の中には持ってちゃだめなんだけどね。レジとか、本屋とか、牛丼屋とか、いろいろなバイトをしていたみたいよ。私が、大金があるんだから、バイトはしなくていいんじゃないって聞いたら、進路もあるし、住む場所もいずれは、しっかりしないといけないから、と言うじゃない。何だか、地に足がついているんだか、ないんだか分からないなと思ったわ。ある時には、足が悪いせいで、力仕事ができないのが悔しいって言ってたわね……。
そうだ。竜海君がお金を稼いでいたのには、もう一つ理由があってね。あなた、知っているかしら……。杏菜ちゃんって子のこと。あら、会ったことがあるのね。じゃあ、知っていると思うけど、竜海君はね、息子にも仕送りしていたみたいよ。
杏菜ちゃんはね、竜海君の育てのお父さんが、竜海君を引き取る時に調べ当てたらしいのよ。竜海君が、どんな子か下調べさせたのね。そしたら、竜海君が施設に入ったのと前後して、退学した女の子がいると分かったみたい。それで調べていったら、子供まで産んでいたと分かって、どうも怪しいと……。お父さんは、人まで送って確かめたらしいけど、その女の子は否定するし、実際、別に付き合っている人がいるみたいだったから、さすがに違うだろうと見逃したみたい。でもね、その女の子……、杏菜ちゃんが産んだのは、竜海君の子供だったのよね。竜海君は、父親になる人が(いつも竜海君自身は、母親の夫と呼んでいたけど)自分のことを調べていると気付いていたみたい。父親への調査報告を盗み見る機会を得た時に、杏菜ちゃんが子供を産んでいたことを知ったのね。きっと、竜海君、驚いたはずよ。だって、まず、時期から考えて自分の子としか考えられないし、何しろ自分の名前の一字「竜」の字が取られていたんですもんね。
竜海君って、何かさりげなく面倒見の良いところがあるでしょう。あと、そうね、やっぱり自分が親に捨てられたことがあるっていうのも影響しているのかしら。子供のことは、何だか常に気にかけているみたいですよ。この話はね、竜海君のお母さんから、聞いた部分もあるのよ。あの看護師さんね……。
続く




