12月22日 罪と竜海②
私は、とのかく走った。竜海を探して家を飛び出したあの日のように。そうあの日の夜に、竜海は……、竜海は……、飛び降り自殺をしようとしたのよ!
私は、特に深い考えがあったわけではなかったけれど、竜海の通っていた塾に走り込んだわ。竜海と同じくらいの年の従順そうな子たちが、目を見開いた必死の形相で突然現れた私を、不気味がって見ているのが分かった。どうされましたかって塾の受付の人が、駆けつけてきた。私は、「竜海のことで知っていることがあったら、教えてほしいんです!」って叫んでた。そしたら、私の丁度横にいた女の子が、水筒を落としたの。ガチャンってすごい音がした。私がその女の子を見ると、顔が青かった。すぐに、竜海と関係した子だって分かったわ。多分、年は竜海より下ね。里親の家の妹と同じくらいの歳に見えた。私が、その子に話しかけようとした瞬間、その子は、はっと背を向けて、どこかの教室に逃げてしまった。その後ろ姿を見て、私は、気付いたの。その子の髪。長い女の子らしい髪の先が、一束、無造作に切られているところがあったの。竜海がやったんだろうと見当がついたわ。
その後、私は、暫くあるNPOのお世話になって、家には帰らなかった。そして、その間に、竜海のことを調べたの。竜海の居場所を知りたいっていうのはあった。でも、竜海の母親として、竜海のしたことを、しっかり知るべきだと思ったの。
私はまず、竜海の預けられていた施設に連絡したわ。私は竜海に会うために一時期だけ勤めていた場所……。
その時、急に彼女の携帯が鳴りました。彼女は、電話に出ると、うん、うん、そうねとか、返事だけをしていました。そして、「ごめんなさい。夫が、帰ってこいって。」と言いました。私は、「ちょっと待ってください。竜海の話、まだ途中じゃないですか。そもそも、旦那さんとは離婚したんじゃないんですか?」と食ってかかりました。すると、彼女は、悲しそうに笑って、「離婚?してないわ。小さい子もいるのよ。それに、彼はもともと優しい人なの。」と言いました。「竜海の話は、私も辛いの。あなた直接、施設の方に話を聞いてみたらいいんじゃないかしら。連絡先を伝えるわ。それと、それともし……、杏菜さんに会うことがあったら、竜臣君の様子を聞かせてね。また電話をして」
続く




