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ケアン:ネブリムの罪 (Kaern: Niburim no Tsumi)  作者: Bayan
第四章:デストラ: 怒りの炎と幻想の嘘
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第四十話:秘密の囚人と沈黙の反乱


イナーの城は、凍りついた黒い溶岩の心臓であり、沈黙して重々しかった。

その沈黙は空虚さからくるものではなく、自らの存在を証明するために叫ぶ必要のない力からくる沈黙であった。




囚われた少年


カイレンは隔離の独房にうずくまっていた。

壁が微かな熱で輝いているが、ディストラ自身にとっては異常な冷気を発する狭い部屋であった。

まるで生命の暖かさ全てを吸い取っているかのようだ。


彼が受けた打撃と雷の音はまだ耳に響いていた。

しかし、最大の痛みは彼の手にあった。

――赤みがかった黄金の石の喪失。


カイレンは黒い石を強く握りしめた。

その静かな塊だけが、彼の世界から残された唯一のものであった。




囚人ザールとの出会い


「新しい客か…お前は本当に灰を持っているのか?」

共鳴する深い声が、金属の隔離壁を突き抜けてきた。

それは囁き声ではなく、カイレンの骨に響くエネルギーの反響であった。


「お前は誰だ?」

カイレンはかすれた声で尋ねた。番兵による一種の精神的な尋問ではないかと恐れていた。


「私はザールだ。お前と同じ囚人だが、この冷たい壁の中で遥か昔から住み着いている…

お前の姿は見えないが、お前が持つ灰を感じる。あの静かで死んだ塊…ここでは珍しいものだ。」


カイレンの心臓の鼓動は落ち着いた。番兵ではない。




禁じられた哲学


「なぜお前は投獄されている?」カイレンが尋ねた。


「彼らはそれを哲学への裏切りと呼ぶ。

私は純粋な炎の末裔だが、イナーやゼリックが崇拝する直接的な力の道に従わなかった。


私は炎のスペクトル操作を専門としている…

幻影を作り出し、炎から幽霊を生み出し、彼らに見たくないものを見せ、

彼らに見えないものを開くことができる。」


「幻影だと?」


「そうだ。ディストラは欺く、あるいは直接的な力を超えるあらゆるエネルギーを軽蔑する。

彼らは絶対的な燃焼を信じている。

だから、私の炎が灰に変わるまでここに留まるよう判決が下された。」


カイレンは悟った。――ザールは、脱出のための最初の鍵だ。




灰の真実


「さて、お前の灰についてだ…

お前はファニラから何かを持っている。炎の心臓であるここで、灰が何を意味するか知っているか?」


「それは…全てを終わらせる忘却の力だ。」


「違う、異邦人よ。ここでそれは――**封印の清めクレンザー**だ。」


ザールは語った。

数千年前、ニーブリムはファニラとの闘争の後、城の入口から独房の錠に至るまで複雑な封印を施した。

それらは炎にも雷にも耐える設計だった。


だが、ひとつだけ弱点があった――灰。


「灰は炎の終わりであり、絶対的な清浄さだ。

灰の力は封印を攻撃するのではなく、清める。

それは炎のエネルギーを剥ぎ取り、ただの金属の型にしてしまう。」




灰の解放


「お前の灰が弱体化させ、私のスペクトルが開く。

二つが合わされば脱出できる。」


カイレンは黒い石を見つめた。

もはやそれは重荷ではなく、この世界で唯一無二の道具だった。


だが、彼の胸にはまだ罪悪感が残っていた。

「僕と一緒に二人が入ってきた。雷の末裔と水の末裔だ。彼らの運命は分からない。」


ザールの声が揺れた。

「彼らはこの城の中にいる。死んではいない。」


カイレンは跳ね起きた。

希望の衝撃が、絶望の壁を打ち破った。




脱出の始まり


「よく聞け、灰を持つ者よ。彼らが灰の秘密を知れば、お前を殺す。

まず私を解放し、それから彼らを救いに行くのだ。」


ザールの指示で、カイレンは目を閉じた。

冷たい白い炎を独房の錠に集中させる。


時間が過ぎ、錠の色が変わり始めた。

もはや温かい銅色ではなく、鈍い黒色に。


「よくやった! 不活性になった!」


ザールは紫の炎の影を放ち、錠を貫通させた。

金属がかすかに軋む音。――錠が開いた。




スペクトルの囚人


ザールは立ち上がった。

細身の男、銅色の肌、濃い赤毛、紫の目。

「何十年ぶりだろう、空気の匂いを嗅ぐのは。」


カイレンも自分の錠を開け、二人は暗いトンネルを駆け抜けた。

ザールの目が封印の動きを読み取っていた。



仲間の再会


「ここにいる…」ザールが指差した独房。


レンギは灰まみれで座り込み、火傷した左手を抱えていた。

オウレルは冷たい床に横たわり、意識を失っていた。


「レンギ…」


「カイレン!? 生きているのか!」


再会の瞬間。だが、喜びよりも危機が迫っていた。


「何かおかしい! 彼らは脱走に気づいたぞ!」


カイレンは再び白い炎を集中させた。

封印が震え、灰の力がゆっくりとそれを清めていく。


「今だ、ザール!」


紫のスペクトルが走り、錠が砕けた。




炎の中の脱出


「レンギ、オウレル!」

カイレンはオウレルを抱き上げた。


「地上へ!」ザールが叫んだ。


狭い通路を走る三人。

炎の照明がちらつき、警報が鳴り響く。


「止まれ、裏切り者ども!」


三人の番兵が現れた。

ザールは幻影を放ち、背後に溶岩の川を出現させる。


番兵たちがためらった瞬間、カイレンは灰の炎で壁を溶かした。

「ここからだ!」


彼らは狭い通路を駆け上がり、上階へ――。




地上の光と影


扉の向こうには、大ホール。

バルコニーからオレンジ色の光が差し込む。


カイレンが進もうとした瞬間、ザールが囁いた。

「待て。」


ホールの中央に、一人の男が立っていた。

炎を反射する銅の鎧。

黒髪の先端が赤く燃える。

目は深紅の液体の炎。


その男は言った。


「灰を持つ者よ、もっと長く留まると思っていたぞ。」



★★★


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