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ケアン:ネブリムの罪 (Kaern: Niburim no Tsumi)  作者: Bayan
第三章:アクシリア:忘却の炎... アイデンティティと罪の灰の間で
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第三十六話:忘れられた告白のトンネル


夜も更け、街の最後の光が闇の地平線の彼方に消える頃、旅は始まった。

それはただの行進ではなく、宵闇の砂漠の夜を突き進む、音を立てない、軽い足取りの突進だった。


この砂漠は通常の黄金の砂ではなく、まるで決して消えることのない火事の残り火のような、黒く赤みがかった塵の混合物だった。


アリオンが先頭を歩き、ネブリムの力に反応する古い金属製の羅針盤を持ち、隠された炎の灯を用いて消えかけた古代の道を特定していた。


彼の後ろをケアンは完全に無言で歩いていた。

昨日発見した白き忘却の炎は、彼に力を与えただけでなく、冷たい静寂を強要した。


彼はただ一つの目的のために設計された道具のようになっていた。怒りも希望も燃やさず、アリシアとネロへの確信は、訓練によって課された感情的な無関心の層の下に埋められていた。


レンジとオーレルは、彼を守る影のように後方を歩いた。

オーレルは湿度の泡を二人の周りに放ち、乾燥した汚染された空気から彼らを守り、レンジは鋭く周囲の砂漠を監視していた。




「ここのエネルギーは...」レンジはほとんど聞こえない声で、オーレルに向かって囁いた。

「まるで閉じ込められているようだ。生きたエネルギーでも、死んだエネルギーでもなく、凍結している。」


「それは灰のエネルギーよ。」オーレルが答えた。青い瞳はケアンの背中に固定されている。

「ネブリムの罪の灰。それは時間も含め、全てを凍らせるの。」


アリオンは後ろを振り返ったが、彼の視線は立ち止まることなく二人を突き抜けた。

彼は緊張がチームを支配していることを知っていたが、最後の対決前の集中のために、この鋭い緊張を必要としていた。




三晩の急ぎ足の後、彼らはアリオンが特定した窪地に到着した。

それは山や洞窟ではなく、巨大な漏斗状の黒い砂のプールで、その中央には、あらゆる光を吸い込むかのように、一層濃い黒い砂の斑点があった。


「ここだ。」アリオンが言った。声には微かな震えが伴っていた。

「これがエネルの血族の最初の領域の残りだ。ディストラ(炎の種族)の祖先がヴァニラ(灰の種族)の血族に対して罪を犯した場所だ。」




黒い砂の中心には、巨大で古い灰色の石があった。

それは磨かれておらず、永遠の煤の層で覆われていた。

その表面には、ディストラの紋章が刻まれていた。

その紋章は燃えてはおらず、まるで放棄されたか、部分的に消し去られたように見えた。


「告白のトンネルは岩の入口ではない。」アリオンが説明した。

「それは心理的な扉だ。そして、数千年にわたる集合的な後悔によって守られている。この罪の重荷を負わずに踏み込んだネブリムは、すぐに幻想によって殺されるだろう。」




アリオンは手を上げ、黄金の燃えるような炎の輝く円を彼らの周りに描いた。

火花が飛び散り、チームを砂漠から隔離した。


「レンジ、オーレル。」アリオンは鋭く命じた。

「お前たちの任務はこの円の外に留まることだ。この炎はお前たちを一時的に守る。

もしヴァニラ(灰のエネルギー)がこの境界に近づくのを感じたら、お前たちが最後の盾とならなければならない。

中にいる間にケアンに誰も近づかせてはならない。」




レンジとオーレルは真剣に頷き、彼らの力を起動した。

レンジは隠された稲妻のオーラで円を取り囲み、オーレルは凍った水滴を地面に広げた。


アリオンはケアンを見た。彼の紅い瞳は警告の光を放っている。


「紋章に手を置け。白き忘却の炎が祖先の罪を浄化するのに十分でなければ、お前は自分の世界に入ることができないだろう。

お前は来た元の灰に戻るだろう。」




ケアンは深く静かに息を吸った。

もはや恐れてはいなかった。

彼は灰色の石に向かって進み、右手をその上に置いた。


その瞬間、光の爆発は起こらなかった。

代わりに、熱の静かな吸収が起こった。


ケアンの手から冷たい白炎が流れ込み、紋章を破壊するのではなく、灰から浄化した。

紋章はゆっくりと燃え始め、まるでディストラの炎が再燃するかのように見えたが、それは白く、純粋で、怒りや生命のない炎だった。




次に、その白い輝きの中で、ケアンの指の周りにわずかな黒い火花が現れた。

これこそが飲み込まれた灰の痕跡であり、彼が対価を受け取る準備ができていることを示していた。


アリオンは薄い勝利の笑みを浮かべた。


「準備はできたな、ケアン。黒きヴァニラ石は伝説にあるような硬い石ではない。

それは古代の、消し去られた灰を凝縮した具現化だ。棚の上で見つけるのではなく、炎の種族の最も深い失われた記憶の中に見つけるだろう。

ゲートを開くためには、それを掴み、罪に立ち向かわなければならない。」




ケアンの足元で、黒い砂が激しく揺れ始めた。

灰色の石の周りの地面が開き、終わりなき深い黒い渦を形成した。


それは通常の入口ではなく、魂を貫く沈黙の中で叫ぶ、巻かれた灰の門だった。


「忘れるな、灰はお前が許さない限り、お前を欺くことはできない。」アリオンは最後の言葉を言った。

「お前は迷子ではない、ただ忘れられただけだ。行け、そして祖先が告白することを敢えてしなかった罪を発見しろ。」




ケアンは躊躇しなかった。

オーレルとレンジに冷たい最後の視線を送り、一歩前へ踏み出した。


灰色の闇が彼を飲み込み、忘れられた告白のトンネルは、アリオン、レンジ、オーレルを宵闇の砂漠の重い沈黙に残し、恐ろしいほどゆっくりと背後で閉じた。




道はもはや外へではない。内へと続いている。


ケアンが忘れられた告白のトンネルで最初の一歩を踏み出した瞬間、足元に地面はなく、代わりに柔らかい塵のような、濃密な灰色の物質に浸されているのを見出した。


壁も天井もなく、ただ灰色の広大な空間が全てを覆っていた。




場所は完全に暗いわけではなく、すべてを通常の炎では破れない冷たさで包み込む、薄暗い灰色だった。


ケアンは昨日放った白き忘却の炎がこの物質と格闘しているのを感じた。

灰は彼を攻撃しているのではなく、彼を重くのしかけている。

それは歴史全体の罪の重さだった。




彼は微かな囁きを聞き始めた。

それは声ではなく、何千もの抑圧された声の残響で、喪失、否定、流された血について語っていた。


ケアンは、黒きヴァニラ石は手が探す物質的なピースではなく、この精神的な灰全体の物質的な集中であると理解した。

鍵を運ぶことができるように、彼はこの灰の中に潜り込み、この全ての重荷を掴み取らなければならなかった。




外では、告白のトンネルが恐ろしいほどゆっくりと口を閉ざした。

黒い砂が石を覆い尽くし、境界線の周りのアリオンの炎の円だけが静かに燃えていた。


オーレルとレンジはケアンが消えた場所を見た。

トンネルが閉じた後の宵闇の砂漠に漂う沈黙は、あらゆる騒音よりも重かった。




アリオンは話し始めた。紅い瞳は冷たい地平線を監視している。


「今からがお前たちの本当の任務の始まりだ。」アリオンは硬い声で言った。

「私は彼を助けに入ることはできないし、この境界を離れることもできない。この炎の円は我々を守るが、この世界の一部でヴァニラに従う全てのものにとっての灯台にもなるだろう。」




アリオンは一歩前に進み、隠された炎の剣に寄りかかった。


「ケアンが直面している試練は戦闘ではない。罪に立ち向かうための試練だ。

彼が灰を見つけるか、失敗して彼自身が灰になるまで、トンネルは開かないだろう。」




レンジが尋ねた。緊張で彼の指先から稲妻が今にも飛び出しそうだった。

「どれくらい待つんですか?」


「内の時間は外の時間と等しくない。」アリオンが答えた。

「しかし、今から地上の3時間以内に彼が戻らなければ、任務は失敗と見なし、我々はトンネルを永遠に封印せざるを得ない。」




その言葉はレンジとオーレルに衝撃を与えた。

わずか3時間が、ケアンを死と忘却から隔てている。


オーレルはアリオンの冷静さを信じられないような鋭い視線で彼を見た。

「3時間ですって?もし彼が...もっと時間がかかったら?」


「それ以上の時間がかかれば、ヴァニラは彼を完全に支配するか、破壊しているだろう。」アリオンは冷酷に言った。

「ディストラの炎は迅速かつ決定的でなければならない。それが我々の本質だ。今の任務は待つことではなく、守ることだ。」




アリオンの炎のエネルギーが円の熱を増し始めたが、宵闇の砂漠は熱に影響されることなく、さらに冷たくなっていった。


レンジが最初に変化を感じた。彼の腕の微細な毛が震え、異常なエネルギーの流れを確信した。

それは静電気に似た、しかし致命的な、静止したエネルギーだった。




「何かが来る。」レンジが囁いた。青い稲妻が彼の握りしめた拳の中で光る。

「人間でも、ネブリムでもない。だが、ねじ曲がった何かだ。」


アリオンは素早く頭を上げ、紅い瞳を細めた。


「灰が到着した。」アリオンが言った。

「ヴァニラには幻想と忘れられた記憶から作られた忠実な守護者がいる。彼らは封印を取り戻し、炎の血族の誰もが罪を発見しないようにするためにここにいる。」




暗い地平線に、巨大な黒い影が猛烈な速さで形成され始めた。

それらは特定の形を持たず、冷たい灰の雲のように、巨大で鋭い肢を持つ怪物の形にゆっくりと具現化していた。


それらは炎の円に向かって、まるでそれに引き寄せられるかのように、あるいはそれを消そうとするかのように動いた。




「最優先は境界だ!」アリオンが叫んだ。

「このクリーチャーたちはお前たちを殺すために攻撃するのではなく、防御を突破してトンネルに到達するために攻撃する!

彼らに円に触れさせてはならない! オーレル、レンジ! 今すぐ全ての力を使え!」




レンジは前方に突進し、彼のスピードと稲妻の力を使った。

彼の目的は、影が集まる前に分散させることだった。


彼は最も近い灰色の怪物に青い稲妻の束を放った。


怪物は燃える代わりに、灰が稲妻のエネルギーを吸収し、さらに濃密になり、その後二つの小さな怪物に分裂した!




「クソッ!」レンジは叫んだ。自分の力が自分自身の武器になっているのを感じた。

「電撃は彼らを強くする!」


オーレルが彼の隣に飛び降りた。彼女の青い瞳はイクラの力で光っていた。


「電撃を使うな!灰は熱や電気で散らすことはできない!重くしなければ! 凍った水で固定する!」




オーレルは両手を上げ、冷たい砂漠の湿気から集めた凍った水の巨大な波が流れ込んだ。

波は灰の怪物を打ち、彼らを強くするのではなく、速度を落とし、重くし、いくつかをほとんど動かない湿った煤の塊に変えた。




アリオンも戦闘に加わったが、炎の円を離れなかった。

彼の任務は、境界を守り、炎や稲妻では倒せない物質的な幻想の軍隊と戦うチームを導くことだった。


三時間は始まったばかりであり、それと共に、灰の門での絶望的な戦いが始まった。



★★★


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!


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