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ケアン:ネブリムの罪 (Kaern: Niburim no Tsumi)  作者: Bayan
第三章:アクシリア:忘却の炎... アイデンティティと罪の灰の間で
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第三十四話:探索と修練の狭間で

隠れ家への帰路は、行きよりもずっと重かった。もはや無言の衝動ではなく、抑圧された沈黙と怒りに満ちた行進だった。

狭い家に着いたとき、アリオン・ピュロス一人のエネルギーだけで、その部屋は寒さに満ちていた。彼の炎こそが彼の存在の基盤であるにもかかわらずだ。

アリオンは二つの石(赤みを帯びた黄金と青)を木製のテーブルに強く投げつけた。石たちは自分たちを裏切ったかのように見えた。それから、古い地図に囲まれたテーブルの後ろに座り、誰も見ていないかのようだった。彼にとって、失敗は慣れないものだった。

一方、カイエルンはウリエルとレンゲイを見るのを避け、二人は彼を見るのを避けた。彼が聞いたささやきは、彼らを隔てる見えない壁となった。彼は今、彼らの動きと言葉を警戒して観察していた。

長い沈黙の後、アリオンは荒々しい声で沈黙を破った。

「私の間違いだった。石の出現の順番に基づき、第三の門はディストラのものだと想定した。しかし、黒い色... ヴァニラは常に例外だった。」

アリオンは顔を上げ、カイエルンを見たが、彼の視線は彼を突き抜け、まるで新しい地図を見ているかのようだった。

「通常の修行で時間を無駄にすることはない。私たちは門を見つけたのだから、今度はその鍵を見つけなければならない。つまり、私たちの目標はヴァニラの石だ。」

カイエルンは拳を握りしめた。

「ヴァニラ?どうやってそれを見つけるんだ?」

「残りの三つの門(ディストラ、イコーラ、ヴァニラ)は、古代ネブリムの起源と密接に関連している」とアリオンは言い、それから古い地図を指差した。「私たちは忘れられた煉獄の都に行く。その廃墟で、**灰の血統ヴァニラ**についての言及を探したい。もし存在するとすれば、ヴァニラの石の形を説明する何かを見つけなければならない。」

未知の都へ行くという考えは、カイエルンの好奇心と不安を同時にかき立てた。しかし、彼は黙っていた。彼の計画を暴くために、アリオンの近くにいなければならなかった。

アリオンはカイエルンに休む時間を与えなかった。翌朝、彼は彼を岩に囲まれた裏庭に連れて行った。

「始めろ」とアリオンは冷たい声で命じた。「石を使うな。お前の中の炎に耳を傾けろ。まずお前自身を燃やさずに、燃やすことができる純粋な炎をお前の手から放つのだ。」

カイエルンは立ち上がり、力を呼び起こそうとした。彼は黄金の石の熱、カルダーの怒り、そして無力感を思い出した。彼は火を放とうとしたが、出てきたのは空気中に消える弱い火花だけだった。

「お前は怒りに頼っている、カイエルン」とアリオンは冷たく言った。「怒りは、まずお前自身を燃やす安価な燃料だ。純粋さこそが敵を燃やすものだ。お前の意志は散漫になっている。混沌の中に静かな一点を見つけろ。」

カイエルンが集中している間、彼はこれが情報を集める機会だと気づいた。

「この門が私たちへの罠であるとは恐れていないのですか?」と、火の玉を作ろうとしながらゆっくりと尋ねた。

アリオンは微笑まず、彼の顔は岩のようだった。

「全てが罠だ、カイエルン。それがネブリムの人生だ。お前が最大の罠でなければならない。」

「しかし、アルカルの門に入った者に何が起こったのですか?」と、彼は力を問うさりげない質問のように装って、彼を悩ませていた質問を尋ねた。「彼は強かったのですか?そして、弱さのために出られなくなったのですか?」

アリオンは話すのをやめた。彼の顔に暗い影が現れた。

「アルカルの門に入った者は、お前が二年で到達する力よりも遥かに強かった」とアリオンは低い声で言い、それから鋭く続けた。「力は生き残りを保証しない。だが... その中の世界は外の世界とは全く違う。そして、お前は自分の世界に入るまで、そのことについて何も知らないだろう。」

カイエルンは、アリオンがその人物の運命について答えるのを避けたことに気づいた。しかし、彼は二つのことを確認した。戻らなかった者は非常に強かったこと、そして危険は現実であること。

カイエルンが体で修行し、心で探っていた失敗続きの修行の数時間後、彼らは隠れ家に戻った。

「レンゲイ、ウリエル」と、アリオンは地図を折り畳みながら言った、「お前たちは忘れられた煉獄の都に潜入する。」

そして、彼は地図を指差した。

「その東側の、埋もれた寺院がある場所だ。ヴァニラの血統、あるいは彼らの起源を示す記号や地図が欲しい。本はいらない、手がかりが欲しい。」

「承知しました、師よ」とレンゲイは真剣に言い、隠密の道具を準備し始めた。

ウリエルは明らかな安堵を感じた。ついに隠れ家の内的な緊張から彼女を遠ざける任務を見つけたかのようだ。

彼女がバッグを取るためにカイエルンのそばを通り過ぎたとき、彼女の広い青い瞳が彼を見つめた。彼女は話さなかったが、その視線は無言の警告だった。

「気をつけて」と、かろうじて聞こえる速さでささやき、素早く彼の肩を叩き、振り返らずにレンゲイと共に出発した。

カイエルンはアリオンと共に、隠れ家に一人残された。その場に漂う静寂は悪夢のようだった。カイエルンは、自分が今や監視され、あらゆる助けから完全に孤立していることに気づいた。アリオンは彼に修行を提供しているのではなく、ヴァニラの鍵が見つかるのを待って彼を拘束しているのだ。

夜が明けた。アリオンはテーブルに座り、三つの石を見つめていた。オイルランプの薄暗い光が、壁に彼の影を巨大に映し出していた。

カイエルンは静かに進み出た。彼は、黄金の赤みを帯びた石を握りしめているアリオンの手を観察していた。まるでその秘密を引き出そうとしているかのようだ。

「あなたは、門に現れた黒い色について何か知っている」と、彼は突然、恐れを無視して断固とした声で言った。

アリオンはゆっくりと顔を上げ、彼の赤い目が暗闇の中で燃える残り火のように輝いていた。彼は恐ろしいほど静かだった。

「この争いで私に隠されているものはない、炎の末裔よ。全くない。」

「ディストラとヴァニラの間には何があるのですか?」とカイエルンは直接尋ねた。「なぜ門は、炎と水を拒否した黒い色に定められているのですか?」

アリオンは深いため息をつき、それから赤みを帯びた黄金の石(炎)を指差した。

「私たちディストラは、自分たちを力の源、永遠の炎だと考えていた。だが、灰の血統であるヴァニラは... 真の炎は死から生まれなければならないと見た。そして、力は遺伝によってではなく、犠牲によって獲得されるべきだと。」

アリオンはカイエルンを深く見つめた。彼の目は古代の、そして痛ましい知識を帯びていた。

「黒い色は灰の障壁だ。それは、イーナ(炎)の血統が彼ら自身の世界に入るのを防ぐために置かれた。」

それから、彼はかすかな笑みを浮かべた。

「カイエルン... 炎の血統は、まず灰になる変化に耐えられることを証明しない限り、彼らの世界に入ることはできない。」

カイエルンは凍りついた。アリオンが彼に門を開かせて力を解き放たせるだけでなく、彼の終わりを意味するかもしれない敷居を越えさせるために計画していることに気づいた。彼が選んだ力の道は、自己犠牲を通り、彼を単なる燃料としか見ていない男によって導かれている。

カイエルンはアリオンを見た。彼の目は恐怖と怒りで燃えていたが、彼は叫ばなかった。

「では、ゼレクの血統についてはどうですか?」と、かろうじて絞り出すような声で尋ねた。「彼らも簡単に門を突破することはできないのですか?」

「その通り」とアリオンは静かに答えた。「彼らもできない。純粋なイーナであろうと、雷で強化されたゼレクであろうと、ディストラの炎を持つ者は皆、**『自己燃焼』**の準備ができていなければ、灰の障壁を乗り越えることはできない。」

「では... あなたは私を利用しようとしていたのですか?」とカイエルンは鋭く尋ねた。

アリオンは恐ろしく静かに首を横に振った。

「違う。」

「では何なのですか?」とカイエルンは詰め寄った。

「お前は自分自身について知らないことがたくさんある」とアリオンは言い、親指で黄金の赤みを帯びた石を撫でた。

「どういう意味ですか?カイエルン... 私は何なのですか?何を隠しているのですか?」

アリオンは石に触れるのをやめ、彼を直接見つめた。彼の視線は今や、古代の知識と真剣な警告の混合を帯びていた。

「まず、ヴァニラの血統は、ネブリムの他の血統の敵であることを知らなければならない。」

「なぜ敵なのですか?そして、私に何の関係があるのですか?」

「聞け」とアリオンは厳しく言った。「ヴァニラはネブリムにとって最大の敵だ。その力は容易ではない。彼は常に他のネブリムを操り、支配しようとしてきた。」

「でも、なぜ?」

「彼は操作を好むからだ。彼は長い間、支配者自身を支配しようとしてきたが、今のところできていない。彼は単なる操り手ではない... 彼は本当に危険だ。起こってもいないことを信じ込ませることができる。お前は人生の全てを偽りの中で生きるかもしれない。」

カイエルンは突然凍りつき、彼が育った地域の影や謎の書き込みの記憶がよみがえった。

「それは、第六区や忘れられたカイラスで起こっていたことと同じですか?」

「そうだ」とアリオンは肯定した。「まあ、お前が具体的に何を経験したかは知らないかもしれないが、それが嘘だったことは保証する。」

「では、それは区の住民全員に対してだったのですか?」とカイエルンは声が震えながら尋ねた。「アリーシャとネロは?そして壁に現れていた書き込み... 死んでいった人々... 広がった病気は?」

「ああ、それは全て彼の仕業だ。」

これらの言葉は、カイエルンの中に狂気じみた希望を呼び覚ました。

「では、彼らは今生きているのですか?」

重い沈黙が漂い、それからアリオンは痛々しいほどゆっくりと言った。

「違う。」

アリオンは顔を上げた。

「彼らが幻想に溺れたからだ。心が死の幻想に溺れると、体がそれを信じてしまう。彼らの心は、心臓が止まるまで幻想を見せ続けられた。彼らは実際に死んだが、彼らの死因は幻想だった。」

カイエルンは前に身を乗り出した。彼の目は衝撃で大きく見開かれた。

「では、爆発はどうなのですか?あの区の事故は?それも幻想なのですか?」

「それは聞いたことがあるが、残念ながら完全に現実の事故であり、ヴァニラの仕業ではない」とアリオンは言い、それから致命的な静けさを加えて言った。「カイエルン、これを伝えるのは申し訳ない... だが、お前の愛する者たちは死んでいるかもしれない。」

カイエルンはテーブルを全身の力で握りしめ、指が木を砕きそうになった。

「**ありえない!**そんなことはありえない。私は彼らが無事だと確信している!」

「カイエルン、お前は真実が何であるかを知らない。」

「ああ、知らない!それでも、私は彼らが無事だと確信している!」カイエルンは初めて叫び、アリオンの存在を無視し、痛ましい真実を拒否することを決意した。

アリオンはゆっくりと首を横に振り、まるで彼が幻想にしがみつきたいという願望に同意しているかのようだった。それから、彼の声は突然実用的なトーンに変わった。

「よろしい、カイエルン。お前は強くなりたいか?」

「はい。」

「では、明日からお前の本当の修行が始まる。手の力ではなく、お前の意志の力の修行だ。レンゲイとウリエルが戻ってきたら、彼らと共に私の手で修行する。もう一秒たりとも無駄にはしない。私たちは灰の鍵を見つけなければならない。」

カイエルンはアリオンを見た。彼は再び三つの石を見つめ始めていた。まるで死や幻想、犠牲について何も言わなかったかのようだ。

力の道は始まったが、それは燃え盛る炎の道ではなく、暗い灰の道だった。

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