表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケアン:ネブリムの罪 (Kaern: Niburim no Tsumi)  作者: Bayan
第三章:アクシリア:忘却の炎... アイデンティティと罪の灰の間で
21/48

第二十一話:決断の瞬間

アリーナは静寂に包まれ、空気は緊張感で満たされた。生徒たちは皆、立ち上がった。ケアンの手の中の石は繊細な青い光を放ち、彼の心臓と共に脈打っていた。これまでの一歩一歩、アリーナで経験した一瞬一瞬が、彼をこの決定的な瞬間へと導いていたのだ。


どこからともなく低い声が聞こえた。

「さあ…アクセリアへの入場にふさわしい者を選ぼう。」


決意に満ちた声がアリーナに響き渡る。

「合格…」

「合格…」


しかし、喜びの言葉の間には、悲痛な言葉が続いた。

「不合格…」

「不合格…」


中には凍りついた生徒もいた。手は震え、悲しみと衝撃の表情が彼らの顔を覆っていた。それは単なる言葉ではなかった。彼らがこれまで積み重ねてきた努力、彼らが掲げてきた夢への審判だった。涙を隠そうとする者もいれば、沈黙のうちに顔を背ける者もいた。


声は最後の瞬間を迎え、長い沈黙の後、皆の視線がケアンに注がれた。

-「そしてケアン…」


静寂の中、地面が震えた。ケアンは石を掴み、その青い光は輝きを増していった。そして、断固たる声が響いた。

-「合格だ。」


ケアンはかすかに微笑んだ。喜びと安堵感が彼を包み込んだが、合格できなかった生徒たちのことを忘れることはなかった。ニブリアンの半分が心の中で頷き、囁いた。「君たちはここにいる…今ここにいる…そして、これから待ち受けるどんなことにも備えている。」


合格できなかった生徒たちは出口に向かって立ち尽くしていた。落胆する者もいれば、これからの試練に慰めを見出そうとする者もいた。深い声が、軽やかながらも意味深な言葉を付け加えた。

-「今日合格できなかった者が皆、弱いわけではない…君たちの道のりは長くなるかもしれないが、君たちの強さはいつか試されるだろう。」


微かに微笑む者もいた。これは世界の終わりではなく、新たな挑戦の始まりだと悟っていたからだ。ケアンは顔を上げた。決意に輝く瞳で、手にした石は心臓の鼓動に合わせて静かな光を放っていた。


風がアリーナの間を吹き抜け、まるでこの瞬間を祝福するかのように、彼の名前を囁いた。「あなたは今、アカデミーの中にいる……あなたのニブリアンの半分は目覚め、あなたの内なる力が語り始めた。」


この瞬間以降の一歩一歩、あらゆる対決、あらゆる教訓……すべてが彼の真の旅路の一部となるだろう。今日受け入れられなかった者たちは、異なる方法で力を蓄え、アリーナに戻る特別な日を待ち続けるだろう。


ケアンはアクセリアの門に近づいた。足取りは軽やかだが着実で、手にした石は心臓の鼓動に合わせて脈打っていた。 周囲のすべてがより鮮明に感じられた。風の音、ロープの動き、そして受け入れられなかった生徒たちのこだまする足音さえも、まるでこれからの道が容易ではないことを彼に思い出させるかのようだった。


観察者たちは沈黙を守り、彼のあらゆる動き、あらゆる鼓動をじっと見つめていた。まるで彼の力だけでなく、彼の存在、あらゆる瞬間に完全に存在しようとする彼の決意を監視しているかのようだった。


カイレンは頭を上げ、深呼吸をし、静かに勝利の喜びを味わった。それは単なる承認ではなく、彼がまだ知らない限界への旅の始まりだった。



合格者がアカデミーの中庭に流れ込む中、不合格者たちの顔は様々だった。再挑戦を決意する者、落胆して顔を覆っている者、そして静かに立ち尽くし、これからの試練に立ち向かう力を蓄えている者。


「今日…全員が成功したわけではない…だが、道のりはまだ長い。」 低い声が再び聞こえた。今度は不合格者たちへの希望のメッセージを運んでいた。


不合格者の一人がゆっくりと頭を上げ、決意に輝く目で独り言を言った。

「今日でアカデミーを去ることになるかもしれない…だが、道を外れたわけではない。」


ケアンはそれを感じた。間接的な感覚が石を伝って伝わってきた。まるでニブリアンの半分が粘り強さの力を理解し、彼に囁いているかのようだった。「強さとは受け入れることだけではない。どんな困難にも屈せず、粘り強く続けることにある。」


入学を許可された生徒たちは学院内を動き始めた。一歩一歩が、挑戦と力、そして友情に満ちた新たな世界の始まりを告げていた。ケアンは最初の一歩を踏み出し、そして二歩目を踏み出した。彼の視線は周囲の全てを捉え、他者の存在、彼らの不安、喜び、そして前進する決意を感じ取った。


風が再び吹き始め、柱と門の間を吹き抜け、深い声が響き渡る。まるでこう語りかけるかのようだった。「君の真の旅は今始まる…恐れる余地はない。今この瞬間、君の内に秘めたあらゆる力…そして、君がこれから立ち向かうあらゆる試練に身を委ねるだけだ。」


ケアンは目の前の石を持ち上げると、青い光が次第に強くなり、彼がこれから足を踏み入れるであろう新たな世界を包み込むかのように、彼の周囲を流れていった。彼は決意に輝く瞳で、微笑んだ。

「私は退かない…ここでの一瞬一瞬…すべての学び…すべての出会い…すべてが私の一部となる…そして一歩一歩が、ニブリミの真の片割れへと私を近づけてくれる。」


同時に、入学を逃した生徒たちは中庭を去っていった。しかし、彼らの瞳と静寂の中には、静かな約束があった。いつか、より強く、より賢く、そしてどんな困難にも立ち向かう覚悟を身につけて戻ってくる、と。


これは決断の瞬間であり、アカデミーに入学した者にとっても、入学できなかった者にとっても、真の出発点だった。しかし、それは道の終わりではなく、それぞれの物語の新たな章の始まりだった。真の強さは、入学した者だけでなく、どんな状況でも諦めずに進み続ける決意によって測られるのだ。


ヴァヨラの病院にて…


「アリシア…準備はいいかい?」


医師の声は穏やかで、落ち着きがあり、真剣さと慈悲が入り混じったものだった。


部屋は狭く、薄白い光が差し込み、かすかな機械の音が部屋の緊張を高めていた。


アリシアは白い毛布に指を強く握りしめ、心臓はかつてないほど激しく鼓動した。 彼女の目は震え、答えが「はい」なのか「いいえ」なのか分からなかった。


「ええと…分かりません」と、彼女は畏敬の念に満ちた表情で嗄れた声で言った。


医師は一歩近づき、向かいの椅子に座り、言った。


「恐怖を感じるのは自然なことです。大切なのは、恐怖に振り回されないことです。すべては小さな一歩であり、いつ立ち止まってもおかしくありません。」


アリシアは深呼吸をした。「準備完了」という言葉が、自分に降りかかった石よりも重く感じられた。


彼女は頭を上げ、医師を見て言った。


「準備完了です。」


医師は軽く微笑み、助手に合図した。


「まずは最初のセッションから始めましょう…膝の動きです。」


そしてその瞬間、新たな戦いが始まった。彼女自身の体との闘い。


アクセリアにて…


カイレンは学院の門へと歩みを進めた。手にした石は柔らかな青い光を放ち、まるで彼の一歩一歩を称賛するかのように輝いていた。周囲の空気は薄くなっていったが、集中力は衰えていなかった。あらゆる感覚が、今この瞬間に鮮明になった。一陣の風、クラスメイトたちの動き、あらゆる物音の反響が、彼が足を踏み入れた新しい世界の一部だった。


校門に入ると、彼は入学できなかった生徒たちに軽く振り返った。困惑した目で彼を見る者もいれば、決意に満ちた微笑みを浮かべる者もいた。ここは道の終わりではなく、単なる通過点であり、それぞれが以前よりも強くなって、再び戻ってくる道を見つけるだろうという、心の奥底にある確信があった。


アカデミーの中は、広々としたホール、巨大な石柱、そして高い天井。陽光が石から発せられるかすかな青い光のオーラと混ざり合っていた。ケアンは、この場所が生き生きと息づき、ニブリアンの半分を自分の一部として迎え入れ、力と自己修養の旅を始めることになる新たな世界へと繋がっているのを感じた。


「さて…これが本当の始まりか」ケアンは独り言を呟いた。石の光が彼の手の上で踊り、まるで囁くかのように脈打っていた。「君はここにいる…今ここにいる…準備はできている。」


隅に、合格した他の生徒たちが一団となって現れた。何人かは視線を交わし、はにかんだ笑みを浮かべ、最終選考について短い言葉を交わしたが、アカデミー、機会、そしてこれから待ち受ける試練という新たな現実を前に、もはや全てが些細なものに思えた。


ケアンは頭を上げ、廊下や柱の間、生徒たちの間を視線で巡らせ、自分のエネルギーを感じ取った。今という瞬間が、周囲のあらゆるものの一部となりつつあることを。これからの一歩一歩が、自分のアイデンティティの一部となることを、あらゆる出会い、あらゆる学び、あらゆる新しい人間関係…ニブリアンの半分というパズルのピースとなり、真の強さの物語となることを、彼は知っていた。


風が再び吹き始め、彼の名前を囁き、アカデミーの約束、挑戦の約束、自己発見の約束を運んできた。ケアンは微笑んだ。そよ風のように軽やかで、しかし決意に満ちていた。


「私は後退しない…一瞬たりとも学ぶことなく過ごすことはない…ここでの一歩一歩…あらゆる出会い…すべてが私の一部…そしてあらゆる学び…が私を真の自分に近づけてくれる。」


それでも、心の奥底では、彼は受け入れられなかった人々の顔を見失ってはいなかった。 彼ら全員が何らかの形で戻ってくることを、そしてアカデミーは単なる成功への登竜門ではなく、あらゆる屈強な魂、どんな困難にも屈しない意志を持つ者にとっての試練の場であることを、彼は知っていた。


ケアンはアクセリアの広間へと一歩踏み出した。足音の一つ一つが、彼に語りかけてくるようだった。強さ、責任、そしてこれからの長い道のりを囁いているようだった。彼の手の中の石は、まるで一歩一歩に寄り添うかのように輝いていた。それは、彼の人間とニブリミの分身、彼の過去と未来を繋ぐ絆だった。


彼は少しの間立ち止まり、深呼吸をして、周囲の顔を眺めた。合格した生徒、不合格になった生徒、そしてアカデミーを包み込む静寂。彼は、あらゆる視線、あらゆる囁き、あらゆる一歩が、授業が始まる前の教訓のように感じた。


「俺は…ここでただの生徒なんかじゃない…全てに関わって…アカデミーの一員として…そして来たる戦いにも加わるんだ。」ケインは決意に目を輝かせながら、独り言を呟いた。


遠くから、柱の間からかすかな声が聞こえてきた。合格者たちが将来の計画を立て、訓練や力、そしてこれからの試練について語り合っていた。言葉の一つ一つが、真の旅は今始まるのだということを、そして一瞬一瞬が他人だけでなく、自分自身とニブリミの片割れである自分の存在を証明する機会なのだということを、彼に思い出させた。


大広間に足を踏み入れた瞬間、ケインは何か違うものを感じた…空気の鼓動のようなもの。まるでアカデミーそのものが彼を歓迎しているかのようだった。まるでこの若者が単なる生徒以上の存在になることを、アカデミーが知っているかのようだった。明日は想像もしなかった試練の時となるだろう。友や仲間、敵やライバルたち。それら全てが彼の意志と強さを試すだろう。


風は再び柱の間を吹き抜けた。今度は、より静かに囁くように。「ようこそ、ケアン…真の旅は今始まる…そして、一歩一歩が、あなたを形作るのだ。」


ケアンは最後にもう一度、目の前の石を持ち上げ、青い光がベールのように彼を包み込んだ。揺るぎない決意に輝く瞳で、彼は微笑んだ。


「私は何事にも屈しない…全ての教訓、全ての対決、全ての瞬間…全てが私の強さの一部となる…私自身の…私の中にある真のニブリミの半分となる。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ