第十九話:始まりの道…アクセリアの門
風が街路を吹き抜け、遠くの声がまるで古代都市に別れを告げるかのように囁いた。ケアンは手に冷たさを感じたが、出発前に手に入れた小さな石を握っていた。都市の端で衛兵の一人から贈られた古代の遺物だ。その秘密の全てを知ったわけではないが、旅の道中、必ずや共に歩んでくれるだろうと感じていた。
幾分暗い長い道が目の前に広がり、都市を包み込もうとしていた霧は、今や背後のかすかな光輪のように思えた。一歩一歩が困難だったが、それはもはや単なる動きではなく、ゆっくりと発見していくこの世界における、自分の存在を宣言するものだった。
「アクセリア…そこで私は自分自身を知るだろう」ケアンは呟いた。まるでその言葉が彼を心の奥底へと引き戻すかのように。
街の端にある小さな森は、まるで彼を認識したかのように動き出し、木々は風に揺れた。石は彼の手を温め始め、まるで生命を持つかのように脈打ち、その内に秘められた力を思い出させた。
ついに門が現れた。巨大で高く、神秘的な灰色の石で造られ、秘密を知る者だけが理解できる記号が刻まれていた。衛兵たちは沈黙し、まるで生きた試練であるかのように、じっと彼を見つめていた。
「ここ…アクセリア?」ケアンは囁いた。それは単なる場所ではなく、彼がまだ見ぬ秘密を秘めた、一つの世界そのものだった。
試験場へと続く廊下は静まり返っていたが、その静寂は見えないものを隠していた。彼の足取りは揺らいだが、準備はできていた。すべてが明らかになり始めていた。真の始まり、忍耐の試練、最初の試練。
試験場では、他の生徒たちが立ち、ある者は自分の石を見つめ、ある者は互いを睨み合っていた。張り詰めた空気が漂っていたが、皆、開始の合図を待つように用心深そうだった。
「始めろ。」遠くから聞こえてきたその言葉は、やがて消え、地面は見えない目の監視下に置かれたままになった。
ケアンは一歩前に出た。彼の手の中の石が、まるで地面そのものが彼の存在を知っているかのように、かすかな光を放ち始めた。彼は最初の標的へと歩みを進めた。 生徒たちの一団が互いに向かい合い始めた。二人一組、あるいは三人ずつが小さなアリーナを動き回り、互いの力と相互作用し、自分自身と動きをコントロールすることを学んでいった。
一歩一歩、動き一つ一つ、呼吸一つ一つ、ケアンはニブリムが半ば目覚めていくのを感じた。それは静かながらも存在感のある力だった。石は彼の手の延長となり、その脈動は彼自身の一部となった。そして、あらゆる出会いが彼に、集中、今この瞬間に、そして自制心の意味を教えた。
「よし…始めよう」とケインは囁き、クラスメイトたちと彼らに課せられた小テストを見つめた。
生徒たちは動き回り、攻撃と防御を交わし、互いの力を感じ取ろうとした。ケインは石の熱が手に伝わるのを感じ、内なる力が共に呼吸し、新たな自信が湧き上がってくるのを感じた。まるで、一歩一歩が自己発見の始まりであるかのように。
最初の小競り合いが終わり、ケインは満足げに微笑んだ。すべてを学んだわけではないが、最初の一歩を踏み出したのだ。道のりは長かったが、もはや迷子の子供ではなかった…ニブリムのハーフとして、今この瞬間に存在し、一歩一歩に意味があった。
ケインは深呼吸をし、それから小さなアリーナを進み続け、クラスメイトたちのやり取りを観察した。慎重に動き、自分の力の限界を測ろうとする者もいれば、自信を持って前に進み、相手にプレッシャーをかけ、力を見せつけようとする者もいた。
彼の手の中の石は、まるでケアンと共に呼吸するかのように、より穏やかな青い光を放ち始めた。感覚を信じ、あらゆる瞬間に意識を集中するようにと囁くように。彼が受ける一撃、彼が行うあらゆる動きは、常に彼を警戒状態に置き、自制心、相手の心を読むこと、そして自身のエネルギーを理解することを教えた。
「集中…制御…臨場感…」隣のアリーナで相手の動きを観察しながら、彼は独り言を呟いた。
アリーナの一つで、二人の生徒が奇妙な調和の中で動いているのが見えた。まるで互いを試し合い、能力の限界に挑戦しているかのようだった。ケアンはかすかに微笑んだ。どんなに小さな出会いでも、そこには学びがあり、自分の中の力が形作られるにはこの試練が必要だと分かっていたからだ。
ケアンは別の相手へと歩みを進めた。足取りはより自信に満ち、あらゆる動きは計り知れず、石から発せられる風と光のあらゆる感覚を、彼と共に感じていた。 一瞬、彼の力が敵の力と衝突し、石の青い光はより強く発せられた。まるでニブリアンの半分が「お前はここにいる…ここにいる!」と叫んでいるかのようだった。
「これは…奇妙な感じがする…だが…これは私の力だ。」彼は独り言を呟いた。石は単なる道具ではなく、自分の存在の一部、自分の存在と目覚めつつあるニブリアンの半分の証だと感じていた。
時が経つにつれ、生徒たちはアリーナに慣れ始めた。駆け回る者、観察する者、ただバランスを保とうとする者など、様々な者がいた。ケアンはここで過ごす一瞬一瞬が、自分自身、自分の存在、そしてまだ知らない自分の力について、より深く学んでいると感じていた。
ついにアリーナが静まると、彼は少しの間立ち止まり、ゆっくりと呼吸をしながら、手の中の石が軽く脈打っていた。 ケアンは微笑んだ。これは単なる肉体的な試練の始まりではなく、真の旅の始まりなのだと悟っていた。それは、自分自身を発見し、ニブリアンの半分を理解し、一歩一歩に今を生きることへの感覚を味わうことだった。
「私は退かない…ここでの一歩一歩が…私の一部となるだろう。」彼は静かな声で言った。最後にもう一度アリーナを見渡し、次の対決に備え、これから起こるあらゆる出来事に備えた。
風が再び彼の周囲で吹き荒れ、ケアンの名を囁いた。まるで、長い試練と発見の道への最初の一歩を祝福するかのように。今、すべてが生き生きとしているように見えた。足音一つ一つ、光一つ一つ、動き一つ一つ…それは、半分ニブリム、半分今を生きる存在がアカデミーの門へと向かう旅の一部だった。
小さなアリーナの喧騒が静まると、生徒たちは息を呑み始めた。微かに微笑む者もいれば、自分の動きを振り返る者もいた。 ケアンはしばらく立ち止まり、クラスメートたちを見守った。手の中の石が静かになっていくのを感じた。まるで、この最初のラウンドを終え、アリーナ自体が彼に息をつく暇を与えているようだった。
何人かの生徒たちが身を乗り出し、短い言葉を交わした。まるで周りの者と自分の能力を比べているようだった。ケアンは、フォースの扱い方が人それぞれ違うことに気づいた。それぞれの心の中で何が起こっているのか、詳細は分からなかったが、共有された経験が、あらゆる競争と恐怖にもかかわらず、彼の周りに奇妙な連帯感を醸し出し始めた。
彼の手の中の石は、呼吸のたびに、今この瞬間を意識するたびに、かすかに脈動し始めた。ケアンは、ニブリアンの力の一部がより顕著になり、自分の動き、心、そして小さな決断とより調和していくのを感じた。
「これはほんの始まりに過ぎない…」彼は囁いた。アリーナを見渡す視線は、初めて感じる力に胸を膨らませた。「でも…僕は自分自身をより理解し始めているんだ。」
その時、遠くからかすかな合図が聞こえた。かすかな青い閃光。まるでアリーナが生徒たちに「第一ラウンド終了」と告げているかのようだった。ある者は微笑み、ある者は頷き、そして誰もが、これからの道のりは長いが、可能性はあり得ると感じ始めた。そして、この始まりは、力を発見し、それを制御して、今この瞬間に真の存在を体験するための長い旅路の第一歩に過ぎないのだということを。
ケアンは石を軽く握りしめ、内なるエネルギーがより澄み渡り、より繊細に、そしてより均衡がとれていくのを感じた。今、彼は疑いなく確信していた。一歩一歩、あらゆる動き、あらゆる小さな出会いが、ニブリアンとしての半分、そして真の自分について何かを教えてくれるのだ、と。
「私は後退しない…前進し、自分自身についてすべてを発見する」と彼は言い、アリーナを見回し、チームメイトを観察し、次のラウンドに備え、アカデミーがもたらすであろうあらゆる試練に備えた。
風は再び吹き始めた。まるで彼を称賛するかのように。真の旅の始まりを告げている。半分ニブリムとして、半分今ここにいる者としての旅。アカデミーの門をくぐり、そこでは一歩一歩が単なる動き以上の意味を持ち、一瞬一瞬が意味を持つ。
ケアンは小さなアリーナから一歩下がり、深呼吸をして、少し高いところからアリーナを見渡した。疲労にもかかわらず、心臓は興奮で高鳴っていた。 今、彼はその石がもはや単なる通り過ぎる石片ではなく、自分自身の延長であり、存在の一部であり、ニブリアンの力の一部であるように感じ始めた。
隅に隠れた監視者たちは動かなかったが、ケアンは彼らが単なる評価ではなく、知恵をもって自分を見守っていると感じた。自分の一歩一歩、動き、そして視線さえも、ここに記録されていることを彼は知っていた。
その時、はっきりとした一言が聞こえたが、それは目に見えない声だった。
「次のラウンド… 協力… 信頼… そして真の強さが試される。」
ケアンはかすかに微笑んだ。これから何が起こるのかは分からなかったが、今この瞬間という感覚は強くなっていった。彼はもはや中庭を歩く子供ではなく、ニブリムの真の片割れとして、周囲のエネルギーを感じ取り、観察し、そしてそれを制御する方法を学んでいた。
生徒たちは再び動き始めた。息を整える者もいれば、互いに微笑み合う者もいた。まるで最初のラウンドで、自分自身、限界、そしてそれぞれの内に秘めた真の強さを垣間見たかのようだった。
ケアンはそっと石を握りしめた。青い光線が彼の鼓動と混ざり合うようで、これは始まりに過ぎないこと、一歩一歩が新たな試練であり、より多くのことを発見し、より制御を獲得し、ニブリムの半分と繋がる機会となることを彼に思い出させた。
風が再び吹き始め、アリーナの間を吹き抜け、アリーナの音を運んできた。まるで彼にこう語りかけているかのようだった。「あなたは今ここにいる…今ここにいる…そして、あなたの内なる力が語り始めている。」
ケアンは頭を上げ、アリーナを見渡しながら、これから起こる全てを思案し、期待し、そして興奮した。彼の「今」という感覚は彼の一部となり、一歩一歩、動き一つ一つ、一瞬一瞬が新たな意味を持つようになった。
「私は退かない…ここでの一歩一歩が…私の一部となる…そして、あらゆる出会いが…私の力をより深く理解する機会となる」と彼は落ち着いた声で言い、次のアリーナへと足早に歩みを進めた。真の冒険はまさにそこで始まったばかりだった。ニブリムの片割れだけが、自分が完全に存在した時にどれほどの力を発揮できるかを知っていた。




