表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/438

宝箱争奪戦は続きましてよ!

「――アリアンヌ様、気づかれましたか」

「ん……」


 ジャングルの開始地点にて、私は目を覚ましました。顔を覗いてきたのはヒューゴ殿。


「……その、もう少し安静にしてくれていても」


 頭上からはイヴの声。私は……彼に体を預けてもたれていました。


「……え、ええ! ご心配かけましたが、私は、私は全くもって大丈夫ですわ……!」


 私はさっと体を起こしました。後ろにある木を背に、座り直します。

 私からうさ耳は消失し、元通りになりました。何より精神、精神が通常になりましたわ。


「この度は面倒をかけましたわね……お二方、ありがとうございました」


 深く感謝しますわ。私は頭を下げました。お二人は萎縮してますが、そこはきちんとしませんと。


「……とりあえず、続ける?」

「ええ、続けたいですわ」

「私も出来れば」


 イヴの問いに、私もヒューゴ殿もそう答えました。皆、体力面にも問題無さそうですし、時間もありますもの。


「わかりました。でも……状況次第で強制帰還はするから、ね?」

「!」


 イヴは私に笑顔を向けてきましたが、目が笑っていません。あなた、帰還スキル使えましたのね……! 先程は偶々出口間近だったからで……。


「アリアンヌ様……貴女の従者殿は本気のようですね」

「ええ……」


 ヒューゴ殿は喉を鳴らされていました。ええ、イヴの目がそう物語っていますもの……。



 その後もダンジョンにて探索をしておりましたが。


「――あら、また会いましたなぁ」

「あなた方は……!」


 しれっと現れたのは、あの集団でした。


「言うたやろぉ? ――今回だけやって?」


 女性の一声に、彼らは大声を上げて笑っています。


「まあ……ほほほ、おーほほほほほ!」


 私も負けじと高笑いをしました。彼らはぎょっとしています。


「ええ、よろしいですわ! 引き続き、争奪戦と参りましょうか!」


 負けるつもりなどありませんわ! 私は彼らを見据えました。


「はい!」


 イヴ、良い返事ですわね。強制帰還は怖ろしいですが、力になってもらいましてよ、イヴ! 


「あ、私は一人で採取しておりますので。お構いなく」


 ヒューゴ殿……ヒューゴ殿? あなた、一人だけ冷静過ぎではなくて? と思っている間に、彼はマイペースに採取に取り掛かっていますわ。


「と、とにかく。参りますわよ!」


 ここは仕切り直して。さあ、参りましょうか! 



 夢中になっていたダンジョン探索も終わりの時間。日が落ちようとしていますもの、帰らないと。

 帰還時、ヒューゴ殿はお金が貯まったからと、一人ワープゾーンを使用されました。私はイヴの後ろに乗ることになりました。イヴは終始ニコニコしていました。ダンジョン、色々ありましたが楽しかったのかしら。


「山分けで良かったのかしら……」


 私たちの分け前は山分けとなりました。ただ、私はプレゼントの分をいただいているわけでして。それも私用目的ですから。


「それでいいんです。後腐れもありませんから」


 ヒューゴ殿はそう仰っていました。宝箱は私に利があるばかりですのに……せめて宝箱にて計画的に還元して参りましょう。



 ギルドから出て、私達は帰るばかり。


「本日はありがとうございました」

「こちらこそですわ」


 ヒューゴ殿はご自宅に帰ります。ここでお別れですわね。笑顔でさようならをしようとしていましたが。


「……また、機会がありましたら。ご一緒できたら」


 この日この時、そう確実なお約束ではありません。お互いの都合もありますものね。それでも嬉しいお誘いには変わりありませんから。


「ええ。そうさせていただけましたら」

「……はい!」


 ヒューゴ殿も嬉しそうにしてくださいました。


 ヒューゴ殿。あなたから思い出は消えてしまいましたわね。あの日々は無かったものだと。

 だとしても。どこかで残り続けてくれているのだと。そう思えてならないのです。


 春休みはまだまだ続きます。さあ、有意義なものにしていきましょう。私は夕焼け空を見上げました――。



お読みいただきまして、ありがとうございました!

明日も投稿予定です。

気に入っていただけましたら、高評価・ブックマーク等をしていただけますと

大変励みになります!よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ