状態異常:ラッキーラビット化。
徘徊しているラッキーラビットを避けつつ、私達は宝箱の回収を行っています。
「――えっと、緑色の宝箱と? 茶色の宝箱、それから」
イヴが確認しながらも、探知スキルを駆使して獲得してくれています。
「……茶色ですか。通常の宝箱との判別が難しいですね」
ヒューゴ殿には、採取に専念していただいてました。最中の突っ込みごとです。
「私もそう思いますわ……」
正直なところ、同感しますわ。サイズ自体は違いますから、小さいですから。私は手でこのくらいだと示していました。
「これくらい派手ならわかりやすいけどね……あの人のかな」
頑丈に蔦に絡まっていたのを、イヴが解除して取ってくれました。虹色をした――派手な宝箱ですわね。光っていないのでレアではなさそうですが、その色味に目が眩みそうですわ……!
いずれの宝箱も、私が持参してきたリュックに収納されます。ヒューゴ殿が採取された薬草類もそう。便利ですわね。おかげで心置きなく取得できますわ。
「……っと」
花々に囲まれるように置かれていたもの。それは紫の宝箱――ヒューゴ殿専用のものでした。私は迷ってしまいました。彼の分まで取得というのも、なんというか欲張りと思えて。
「……アリアンヌ様。紫の宝箱は御不用なのでしょうか」
「うっ!」
その様子をヒューゴ殿に目撃されてからの、お言葉でした。縁があるとまではご存知ではないでしょうが、どこか悲しそうでして。
「……い、いいえ!? 紫のも素敵ですわね!」
「はい、そうでしょう?」
私は紫の宝箱も回収することにしました。ヒューゴ殿も嬉しそうですし、ええ、間違ってはいないでしょう。
宝箱を大量に獲得できましたぴょん! 私達はダンジョンの最奥地へと到達しました。
木々の中にあるのは本棚たち。あらゆる知識もですし、制作者の開発日記も読めますの。今回もまた、見送りましょうか。読みふけってしまいそうですもの。
「すみません……あと一つだけなのですが」
ヒューゴ殿は肩を落としていました。彼の採取によってほとんどは揃っており、あと一つのようです。
「いいえ、ヒューゴ殿。今回は私の至らぬ点があってですから」
ヒューゴ殿には気落ちしてほしくなく、私は声を掛けました。それから。
「あと一つはなんですの? こちらでも気にするようにしますから」
「うん。特徴とか教えてくれたら」
私がそう言うと、イヴも同意してくれました。ええ、特徴さえわかればですわね。
「特徴といえどありふれたものでして……ひとまずですが、名は『汎用草』というものです。地上に戻れば、私が保管しているのもあるのですが……」
ああ……ああ。ものっすごく、記憶にありましてよ。汎用草ですわね、ええ、お世話になりましたわ。たくさん手にもしましたもの……!
「ヒューゴ殿……心当たりがありましてよ? しばし、お時間いただけるかしら?」
「は、はい……」
私は彼らに背を向け、こっそりと紫の宝箱を取り出しました。ここから先は企業秘密でしてよ。彼らは汲んでくださったのか、覗き見ることはありませんでした。紳士ですこと……!
「あれでもない、これでもない……!」
どういうことですの……前回はあれほど出ましたのに! 出てくるのは、いずれも中程度上がるアイテムばかり……!
「最後の一個ですわ……」
ま、まあ……? これで出なくても、また獲得しにいけば良いのですから? 市販もされていますし? ヒューゴ殿も保管されてますし? と、保険をかけながら開けると――。
「!」
出てきたのは、汎用草でした。ああ、光輝いて見えますわ……今となりましては特上レアでしてよ!
「お待たせしましたわ、ヒューゴ殿。こちらになりますわ」
素渡しになってしまいましたが、この際ですわ。
「ありがとうございます。知っていました? こちら、女神マーサも愛用していたのですよ」
おお……まだメッセージ差分がありましたのね。ヒューゴ殿は丁重に受け取ると、彼の鞄に収納していました。大事そうにしてくださってる、こちらも嬉しくなってしまいますわ。
「あとは……」
ヒューゴ殿の目がいくのは、私が開封したものたち。あなた特攻のプレゼントですわね。
「……っと、すみません。不躾でした」
ヒューゴ殿が物欲しそうに見ていたのは事実、ですが彼は自重していました。
「ほほほ、片付けますわね?」
……本当ならば、この場で気持ちよく差し上げたいところですが。なにせあの割れた器、好感度を示すアレのことが頭に浮かんでしまいまして。少しずつ差し上げますので、今はご容赦くださいませ。
『――この場で調合させていただきます。ダンジョンに入って、身動きがとれないよりかはですから』
ヒューゴ殿のお話でした。一度入口まで戻り、彼は持参してきた道具を用いて調合をしてくださるとのこと。
『……続けるの?』
イヴが心配そうに訊いてきました。うさ耳状態のままですが、それ以外は差し支えはないはずですぴょん。むしろ、体が軽くなったようにも思えますぴょん。
ということで。ヒューゴ殿には調合をお願いし、イヴと二人で探索を続けることになったのでした。




