断罪の時――嫌がらせの首謀者。
またしても、ですわね。
わたくし、アリアンヌ・ボヌールはまた――――断罪されようというのですね。
呼び出されたのは、学園にある会議室。私以外にも呼び出されていますわ。
『犯人は――アリアンヌ・ボヌール。それは免れないんだよなー』
ああ、殿下。この国の王太子にして、私の婚約者であられるあなた。あなたのそのお顔、口元は笑んでらしても、目が笑っておりませんわ。余程、私にご立腹なのでしょうね。
断罪しようとしているのは、殿下ですわね。それも。
今、この場にはいない少女。あなたが愛する『彼女』に――危害が及んだから。
私が犯人であると、調査報告も上がっているようです。証拠や証言もあるのだと。
私は潔白ですもの、捏造されたものでしょう。
『君が彼女のこと、よく思ってなかったのはわかってる……わかってはいるがな』
私を理解している仰っていますが、疑っているではありませんか。あれだけ聡明であったあなたが、判断を誤るほどに。
『しでかしたことがなぁ……度が過ぎているんだよなぁ』
底冷えするような笑顔の殿下。それだけあの少女のことを愛していらっしゃるのね。
『――殿下、申し上げます。私は誓って無実でございます』
決して気持ちでは負けないように。殿下はいかようにも追い詰めてきますから。
『失礼ながら、殿下。私も――アリアンヌ様は濡れ衣を着せられていると。そう考えております』
ああ……ありがとう、ヒューゴ殿。立っているのがやっとな私ではありますが、支えてくれるのですね。
『……なるほど、ねぇ』
殿下はヒューゴ殿に目をやって、顎に手当てながら何かを考えておられます。
『でもなぁ? 君が聖女に危害を加えた証拠はあるからなぁ?』
殿下は書類の一枚を手にとり、ひらひらとさせています。あなたがぞんざいに扱うそちらに、私の進退がかかっているとも言えますのに……! 私は唇を噛み締めました。
『……本当に無実だと、誓って言えるのか』
『はい。誓って、私は無実ですわ』
私は譲れません。これから何が待ち受けていようとも、揺るがないのです。
――脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯。
この世界は同人ゲームの世界。日本で暮らしていた私、小川結衣が死後に転生した世界。
公爵家令嬢――アリアンヌ・ボヌール。ゲームの主人公である悪役令嬢。彼女もそう、殺されてしまった。
死亡エンドが無かった物語が、歪んでしまった。それも私の介入があってという。
私がするべきこと、それは――攻略対象とのエンディングを迎え、そうして物語を正していくこと。
現時点で一名、エンディングを迎えている。攻略対象は残り三名。隠しは……今のところはわからずじまい。
さて。そろそろ戻ろう。今の私は、アリアンヌ様として生きているから。
生きとし生けるものの、生命と力の源。世界の根幹である大樹。
ここは大樹をいただきし、栄えある国アルブルモンド。大樹の恩恵に授かりし大国。
そして、名門と呼ばれし我らが学園――アリエス学園が舞台となっています。
ゲームの世界だとしても、私は今ここで生きているのです。
わたくしは、アリアンヌ・ボヌール。華麗なる脳筋悪役令嬢として――。
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