晴れてのダンジョンデビューですわ!
「ふふん」
今週も休みを迎えました。なんて爽やかな朝、久々の晴天ですわ。
私が繰り出す場所? もちろん、ダンジョンですわ!
十六になった私は、早速ダンジョン攻略に赴くこととします。今の私の姿はさながら冒険者。長い髪を一つにまとめ、パンツスタイルですの。遠駆けの時の恰好でもありますわね。ああ、動きやすいですこと!
姿見で最終確認。服装は問題なし、と。リュックには回復薬や補助アイテム。プレイ時にもお世話になったものですわね。武器もこちらの中へ。小刀とハンマー。十分でしてよ。
さて、よく考えたらになります。立場は公爵令嬢、よく単独でダンジョンに向かえたものです。プレイ時には、選択したら即でしたから。疑問は持ちませんでしたの。
そして今は現実も同然。私一人ということは、どうやらないようです。
「心配にはお呼びません。僕がついていくから。もちろん、あなたの安全を第一でね?」
自室に訪れているのはイヴ。彼がついていくことになっておりました。
彼の恰好はいつもの執事服ですの? 私の外出を伴うのでしたら、そちらの方が疑惑はもたれないことでしょう。動きにくいのでは? とは思いましたが。
『こう見えて動きやすいんだ。着慣れているし』
とのことでした。
「……ありがとう、イヴ。私の我儘でもあります。せめて、あなたに迷惑はかからないようにしますから。決して無理をすることもなく、安全第一を心掛けますわ」
ああ、付き合わせる形になってしまいましたわね。せめて迷惑をかけないようにと、私が真剣な表情をしておりますと、イヴがそうじゃないと、首を振っています。
「誤解しないでね? 僕は嫌とかじゃないから。アリアンヌ様がどれだけ、望んできたかわかっているから……あなたの望むことなら、叶えたい」
イヴは胸に手をあて、そう口にしておりました。それを目にした私は……形容しがたい気持ちとなりました。
私に何かあった時、あなたの立場も危ういですから。今のあなたでしたら、私の身を案じてもくれるとは思います。でしたら、無理は禁物。それに尽きますわね。
「その為に、前もって取得したんだ!」
ああ、イヴの笑顔が眩しいですわ。彼は、ポケットからある物を取り出しました。
「なるほど、こちらがですのね」
実物は初めて目にしましたわ。光輝いているようですわ――冒険者ライセンス!
先に取得しているとは思いませんでしたわ。私に隠れてとは、やりますわね……。
「さっきも言ったけど、アリアンヌ様の安全を最優先したいんだ。僕は誰にも言わない。だからあなたも約束してほしい。――危険なことはしないって」
イヴは胸元に再びしまい、私を見ました。
「……あと一つ。僕の判断で撤退することもあるって。承知してほしい」
「そう、きましたか」
何が起こるかわからないダンジョン。それも素人同然である私ですものね。正直、みなぎる力は感じ取っておりますが、それを信じてもらおうにも難しいことでしょう。
ダンジョンに行けないよりは、ですわね。イヴが心配してくれる気持ちも、主張も。その通りですものね。
「――ええ、わかりました。よろしくお願いしますわね」
「うん、こちらこそ。よろしくお願いします」
私達は互いに頭を下げ合った。これでよし、ですわね。
イヴという協力者も経て、流れは順調――そう思っておりました。
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