イヴと作戦会議。
夜になり、私はイヴを部屋に招き入れました。定期的に彼と確認をとっているのです。
「……気に入ってるんだ」
イヴが目にしているのは、花瓶に生けられた花。ヒューゴ殿からの贈り物です。
「ええ、綺麗でしょう?それに長持ちする秘訣も教わりましたのよっ」
「……そうですかー」
なんですの。その投げやりな反応は。微笑ましい話でしょうに。まあ、良いでしょう。本題に入りましょうか。
そう、好感度。少しずつではありますが、液体も溜まってきてはおります。
「ヒューゴ殿……」
可視化された好感度。ハートの中央までは溜まっております。それはヒューゴ殿だけ。
「そうなのですね、あなたは……」
ヒューゴ殿との交流の中で、私の中でも確実に彼への好意が芽生えております。
私に対する辛辣さは消えたわけではありません。ですが、根底にあるのはまっすぐさ。あなたと過ごす静かで穏やかな時間。最近となってはかけがえのないものとなっておりました。
「――とはいえ、あなたはブリジット様お相手でしたら」
彼女への好感度をこうして表わすならば。――きっと満タンに近いのかもしれません。
あなたは『ずっと』そうでしたわね。私の初プレイ時も。転生した後も。彼女に対して情熱的な思いを捧げていました。こちらに対して雲泥の差といえましょう。
「……アリアンヌ様。ヒューゴ様が一番、可能性があるね」
イヴは顔を顰めながら、該当のページを見ております。そんなに睨みつけなくても。
「ええ、そうね。このまま彼狙い。それは相違ありません」
「……はーい」
不満そうに返事していたイヴでしたが。
「……ええ、何としてもです。何としてでも。たとえ、いかに困難であろうと」
「!」
彼は顔を上げました。私が発した言葉によって。
「アリアンヌ様」
「……ええ、そうね」
イヴが私の名を呼ぶ。そうですわね、信頼していますもの。話しておかなくてはね。
「――ブリジット様もそうですの。彼女は殿下が本命ではない。彼女の本命は――ヒューゴ殿なのです」
「……うわぁ」
イヴは引いておりました。ええ、拗れておりますわね。王族相手に婚約からの、他の男が本命。さらに。
「……駆け落ちも辞さないと。五月末日まで早まる可能性もありますわ」
「……うわぁ」
うわぁ、て。まだイヴは言ってますわね。まあ、代弁してくれているようなもの。私とてそう言いたいですもの。
「――ヒューゴ殿争奪戦ですわね。私も引き下がるわけには参りません」
決意表明です。イヴ、聞き届けてくれますね?
「……はい。友愛、でしたよね。あなたの願いを叶える為でしたら、力は惜しみません」
「ええ」
窓に映るのは曇天の夜空。窓辺にて私達は誓い合った。
「……でも、アリアンヌ様。いいの?」
イヴが切り出してきました。どうしたのでしょう?
「ブリジット様……ブリジット。大切なご友人だったのに」
「……それは、ですわね。別人、そう考えることにしましたから」
今はそう思うしかありません。そう思うしか……。
ヒューゴ殿が彼女を好きだったのは事実。現在進行形の可能性もなきにしもあらず。
されとて、私も諦めるわけにも参りませんから。
ヒューゴ殿との関係を深める為に、さあ、ギアを上げて参りますわよ! さあ、私に許されしチートタイムと参りましょうか! アイテムぶっぱですわよ!




