新たなる朝。
翌朝になり、シルヴァン殿はやってきました。彼についているのは軍人たち、どうやら彼らが港町まで連れていってくれるようです。
「ゆっくり過ごせたか?」
「ええ。シルヴァン殿も?」
「俺もそうだよ。あいつらと……マザーとも過ごせた」
「……シルヴァン殿」
彼の目の先は孤児院の方へ。気がかりなのは確かなのでしょう。かといって、そこまで憂えているわけでもなさそうです。
「こっちはもういい、大丈夫だって言われた。何としてでも仕送りしてみせるけどな」
「まあ……シルヴァン殿らしいですわね」
私が笑うと彼も笑う、そこで迎えの方に咳払いされてしまいました。いつまで話しているのか、そして内容に対してでしょう。失礼しましたわ。
「ええ、参りますわ。皆様もどうぞお元気で―」
見送りにきてくれた家族や使用人たちに別れを告げ、私たちは旅立って行くのでした。
「……イヴ」
彼の姿はありませんでした。
「おっつかれー、アリアンヌたーん。ついでにシルヴァン殿。待ってたよー」
港に泊めてあったのは、領主様の船でした。まさか留まっているなんて思いもよらず。隣国まで送ってくださるのだとか。頭が上がりませんわね、本当に。
「心より感謝いたしますわ……!」
「いいってことよ。さあ、乗った乗った」
私は感激しながら船に乗り込みました。一方でシルヴァン殿は――。
「嫌な予感しかしない……」
そう呟きながら乗っていました。にやりと笑うのは領主様。
「……さよなら」
穏やかな波に揺られながら、船は帆を上げていく。私は遠のく故郷を眺めていました。




