ここは僕が引き受けます。
城の内部に入ると、荒れ果ていた光景を目にします。美しさを誇っていたそれらは消え失せていて。
「……おかしいよね。魔物がいなさ過ぎる」
イヴが口にしていること、私も同意だと頷きました。不自然なほどにここまで遭遇することがなかったのです。
「……!」
先行していた兵士の姿がありました。ほっとしたのも束の間、私は言葉を失ってしましました。
目の前にいる兵だけではない。行く先々の兵たちはいずれも――石化していました。
「……魔物にやられたってことか」
「その通りです、シルヴァン――下がって!」
イヴの声によって反射的に私たちは後方に下がりました。
「なんてこと……」
身を潜めていたのは目玉型の魔物。この者が目から放ったビームによって、床の一部が石化しているではありませんか!
「……っ」
私の喉が鳴ってしまいます。我が国の鍛えられた多くの兵士たちを石化させた元凶。相当てこずりそうですわね……。
「……アリアンヌ様」
私の名を呼ぶイヴ。私が彼の方を見たと同時に。
「――ここは僕が引き受けます。シルヴァン様、お願い」
「イヴ!?」
イヴが言わんとしていることは理解できます。でも、あなたを置いていけと!?
「……わかった」
「シルヴァン殿!?」
物申す前に。私はシルヴァン殿に担がれてしまいました。暴れる私をものともせず、彼は振り返らずに駆けだしていきます。
「……イヴ」
イヴが、彼が、遠くなっていく。本当はわかっている。ここはイヴに任せるのが正しいのだと。私の心が望んでなくていても、それが最善なのだと。それに――。
「……あなたを信じてます」
イヴならやり遂げて――生き延びてくれるのだと。そう願わせてほしいのです。
「――嬉しいです、アリアンヌ様」
イヴの声が聞こえた気がしました。




