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彼女が眩しい。


 夕暮れ時となりました。もう刻限です。シルヴァン殿の馬車のお世話になります。


「お二方、お疲れ様でございました。おかげ様で満足のいく結果となりましたわ」


 お金も貯まりましたし、宝箱も多く入手できました。対策を講じてくださった皆様のおかげでもありますわね。


 さあ、帰りましょう。私たちは馬車に乗り込むことにしたのですが。


「……アリアンヌ様。隣、乗ってみるか?」 

「お隣ですの?」 

「そ。固定化はされてるし、危ないってことはないから」

「そうですわね。ご一緒させていただこうかしら」


 シルヴァン殿からのお誘い、私は受けることにしました。


「……」


 イヴはさっと後部座席の方へ。彼の後ろ姿も気になるところでしたが、私はひとまず運転席の隣、彼の左側に座りました。


 空中にあるダンジョンから地上へ。


「まあ……」


 眼前に広がる夕日を浴びた街並み。風も感じますわ。


「……あのさ」


 手綱ととりながらシルヴァン殿は話しかけてきました。


「……改めて思った。アリアンヌ様は自分で動いてたんだなって」

「シルヴァン殿?」 

「最初は金にモノを言わせてか、それか従者にとりにいかせていたか。まあ……どうでも良かったんだけど。俺はもらえるものさえって感じだし」


 私の方は見ないまま、彼は呟いています。


「――調べていく内に違うなって……ああ、勝手に調べさせてもらった。プレゼンんとの出どころとか、どうしても気になって」


 悪い、と謝るシルヴァン殿。私は首を振りました。


「調べていたのはこちらもですから」

「それな」


 私の言葉に、彼はあっさりと賛同しました。お互い様ですわね。


「わざわざダンジョンに赴いて、自分から取りに行って。なのに……言わなかったんだよな。言えばよかったのに、苦労して手に入れてきたって」


 シルヴァン殿の喋り方がその、優しくなっているような気がして。私は戸惑いました。それに理由もそんな立派なものではなくて。


「そのような殊勝なものでもなくてよ。私はただ、外聞を気にしただけですわ。ある意味……あなたを信頼してなかったのでしょうね」


 私は自分で言っていて納得がいきました。


「ごめんなさい、シルヴァン殿」


 シルヴァン殿のことを信頼していたら、もっと早くに。それかこちらから打ち明けていたことでしょう。彼と関係を築きたいといっておいて……。


「……はは、馬鹿正直。こんな金に汚い相手によくもまあ」


 シルヴァン殿は小さく笑いました。彼の声色からして怒ってはいないようです。


「それはそうですわね。ですが、シルヴァン殿。私も違うなって思ってますの。どうしても……自分本位な方には見えませんわ。あなたは、誰かの為に動ける方」


 シルヴァン殿。あなたは私に対して誤解されていたとして、それが溶けていったのでしょうか。それはきっと、私もそう。


「売り払ったお金もそう。ご自身の分であっても、他でも使われているでしょう?」 


 孤児院とか。


「いやいや、それは買い被りしすぎ、美化しすぎ。俺、金に汚いっていってるだろ?」 

「ええ、なんとでも。私が勝手に思わせていただきますわ」

「……なんだそれ」


 私はシルヴァン殿の横顔を見ました。といっても、前髪で隠れていましてよ。私の視線に気がついていても彼はこちらを見ることはありません。


「……はあ、まっすぐ過ぎて眩しいわ」

「……!」 


 風でたなびいたのは彼の前髪。そこから覗く彼の姿。彼は目を細めて微笑んでいたのでした――。



お読みいただきまして、ありがとうございました!

明日も続きを投稿予定です。

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