お互いが、お互いの。
「……やっぱり、そうなんだよな。こうして――」
「……?」
あまりにも謎な呟き。それも私も見つめたままなものですから。
「……ふう、俺さ。最初はイヴ様とかに全部取らせていると思っていた」
「シルヴァン殿?」
「それは令嬢としてのお立場上、当然だと思ってた。でも……違うんだよな」
どこか憂うような顔のまま、彼はじっと私を見たままで。あなたは何を言おうとしているのか。私は気になっていましたが――。
「いやー、なんとかなった!」
いきなり戻られたのは殿下でした。私はハっとします。前のみならず今回もプレゼントを差し上げている。そうなると、さすがに限度があるのではないかと――。
「殿下、お疲れ様でございました。お茶を淹れ直しましょうか」
シルヴァン殿は見事なまでの切り替えでした。それはプレゼントにもいえること――彼は瞬時に隠したのです。
「あー、頼むっ!」
殿下もどかっとソファに座られました。一息つけたようです。
「そうだ、アリアンヌ。今日は楽しかったな?」
「ええ、殿下。たのしゅうございました」
「うんうん。それじゃ――『来週』も出かけるか!」
「……!」
殿下はなんてことなくご提案されました。私は何を動揺しているのでしょうか。他ならぬ殿下の誘いでしょうに――誰よりも優先するべきでしょうに。
「……」
お茶を淹れに退室するはずのシルヴァン殿も……留まったままでした。彼は扉を開こうともしれません。
「おいおい、どうしたー?」
殿下は私と……シルヴァン殿の様子が気になったのでしょうか。交互に見ておられます。
「……あ。駄目だった、来週、俺の予定があったんだった。わはは、すまん!」
「まあ、そうでしたの……いえ、こちらのことはお気になさらないでくださいませ」
殿下は和やかに笑われています。私も調子を合わせて笑いました。シルヴァン殿も何事もなかったかのように、退室していかれました――。




