がんじがらめのハート。
翌朝。私は早起きをして、身支度をしておりました。今日から怒涛の教育が始まりましてよ。
「休みが恋しいですわ」
次の休養は……殿下との逢瀬までお預けですわね。お相手がということで、なんとしてでもと空けられた日ですわ。その次は一週間後と、それなりに近いです。本格的な休養日はその日といえるでしょう。
ダンジョンにいきましょうか? それとも、体を休ませるか。
「……貢ぎ、ですものねぇ」
あるだけあるに越したことないのでしょう。市販アイテムでどうにかしましょうか。お金はありますから。宝箱からのと比べて微々たるものでも、塵も積もればでしてよ。
さあ、朝食もいただきましょうか。私は気持ちを上げて扉を開けることにしました。
「――おはようございます」
「……イヴ?」
扉の前で待っていたのはイヴでした。彼は書物を腕に抱えています。彼のこの表情、何か深刻な事態のようです。
「お話なのでしょう? お入りなさいまし」
「……はい、失礼致します」
いつもの指定席には行かず、イヴは早速好感度のページを開きました。四名の好感度。その中でシルヴァン殿が――。
「な、なんですの……!?」
シルヴァン殿の器が――がんじがらめになっていました。包帯のほうなもので何重にも巻かれており、中の状態がわからなくなっているではありませんか……!
「なんてこと……」
器が割れたわけでも、倒れて流出しているわけでもありません。ですが、これはこれで困ったというか、不可解というか……!
「僕、直前までは見ていて……中間よりは下くらいで溜まっていたんだけど。今朝になって確認したら……こんなで」
「そうでしたのね……」
例のタイムラグバグもありえますから、いつからかとは断定できませんわ。異常事態には変わりませんわね。
「……とにかく。逆に考えましょうか。これだけガッチガチでしたら、割れることもないかと!」
「えー……」
イヴの反応は思わしくありません。確かに……ですが!
「わ、割れることはないかと! もちろん、慎重には参りましてよ」
「まあ……そうだね。うん、引き続き経過観察はしていきます。それじゃあね」
イヴは書物を抱えなおして、そのまま退室していきました。本当に宝物のように扱ってくださいますのね。
「……」
どんどん分厚くなっていますわね。




