表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

174/438

イヴにも贈りたい。


「さて、本日はこれまで――」


 続行は不可ですものね。帰ろう、そう思った時でした。また、ハンドベルの音がしたのです。確か――アミュレット売りでしたでしょうか。


「イヴ、お待ちになっててくださる?」 

「アリアンヌ様っ!?」


 帰りの準備をしているイヴに声をかけ、私は彼らの元に向かうことにしました。


「――ごきげんよう。おひとつ、くださるかしら」


 近くでみるとますます愛らしいお二人ですこと。彼らは声を揃えて、金額を提示しました。け、結構しますのね。


「……種類たくさんありますのね。効能の違いとかありますの?」 


 プレイ時にはお見かけしませんでしたわ。私の問いに彼らは同時に首を振りました。シンクロ率がすごいですわ……! 


「では、こちらで。お願いしますわね」

「まいどー」

「ありがとー」


 買い物を終えた私を手を振って送りだしてくださいました。私も手を振り返します。白を基調としたアミュレットにしました。イヴらしいかと思いましたの。


「お買い物済んだの?」

 

 っと、彼は結構近くまでやってきてました。


「ええ、お待たせしましたわ」

「ううん。良い買い物した方と思うよ。こういうの、いくらあってもいいだろうし」


 いくらあっても? 私は疑問に思いつつあっても、イヴに渡すことにしました。彼も望ましいものと思っているのでしたら。


「そうですのね。こちら、あなたにです」

「え……」


 イヴは思ってもみなかったと、そういった様子でした。ぽかんとしています。


「身を守ってくださるんですって。受け取ってもらえるかしら」

「……それは」


 イヴは躊躇っているというか、葛藤しているというか。贈り物といった類いは遠慮しますものね。今回も遠慮されるのかしら。


「わかりましたわ。贈り物ですもの、あなたが喜ぶものが一番ですものね。今回は私の方でつけますから――」

「……しい、です」

「……イヴ?」

 

 イヴの呟き。風の音でかき消されそうな程、小さなものでした。


「……本当は、欲しいです。でも、僕は充分過ぎるから――こうして一緒にいられるだけで」

「あなた……」


 イヴは思い詰めていますのね。私は近寄って、彼の肩にそっと触れました。


「イヴ。あなたは欲張るくらいがちょうど良い。私はそう思っておりますの」

「欲張る……?」

 

 イヴは大きな瞳で見つめてきます。私はそう、と頷きました。


「私がこれだけ振り回しているのに、あなたは尽くしてくれるではありませんか。あなたはよくやっているのです。あなたに何も見返りがないなんて……私の気が済まないのです」

「……」


 イヴのことですから……見返りもいらない、と返されそうな気がして。そこまでの思いなら、私がとやかく言うことでもないと思っておりました。


「……やっぱり、いただいてもいい?」 

「ええ、もちろん!」 

「!」 


 私は喜びを前面に出してしまいました。イヴを驚かせてしまいましたわ。


「ありがとうございます……大切にします。ずっと」


 両手で受け取ったイヴは、胸元で抱きしめるようにしていました。喜んでいただけたのなら良かったですわ。


「ふふ、この勢いでしてよ! イヴ、この後は食い倒れツアーに参りましてよ! 私のおごりでも、割り勘でもよろしくてよ!」 

「わあ!」 


 イヴは無邪気な顔をしていますわ。ふふ、喜んでる、喜んでますこと! 


「……ううん、そうじゃない。そうじゃないんだ、僕」


 イヴは首をかぶり振っていました。あれぇ……あれだけ喜んでましたのに? 


「う……僕だって本当は。でも、仕方ないんだ。アリアンヌ様!」 

「はいっ!」

 

 イヴは鬼気迫る表情でしたわ。私、つい勢い良く返事してしまいましたの。


「あなたの休養日もそうだし、今日がチャンスなんだ!」 

「チャンス……?」 

「そうだよ――シルヴァン様も定期的に休暇をとっていて、向かわれている場所がある。今日の昼頃だったら、うまく探れるんじゃないかなっと」

「……!」 


 殿下を交えてでなければ。もしくは学園が始まってからでなければ。シルヴァン殿とはそう交流は望めないと思っておりました。でも、今が好機だとしたら。


「食い倒れツアーはお祝いにとっておこう?」 

「イヴ……ありがとうございます」


 私の事情を優先してくれるのですね。私は感謝してもしきれませんわ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ