あからさま過ぎる返礼コメント。
「こちらこそ喜ばしいですわ。まずはこちらと、あとはこちらで――」
「こんなにも……誠にありがとうございます。開封してもよろしいでしょうか」
「ええ、どうぞ」
浮足立っているような……ちょっと可愛らしいですわね。シルヴァン殿は次々と開封していきます。
「……アリアンヌ様、よろしいのでしょうか。失礼ながら、いずれも値が貼るようなものばかりでございまして」
シルヴァン殿が遠慮がちに聞いてきました。中身は愛らしい猫のクリスタル像、高級宝石置き時計。彼の仰る通り、値段もかなりするものでしょう。
「お気になさらないでくださいませ。あなたに是非と思ってですもの」
茶色の宝箱はほとんどがと言っていい程、高級品ばかりでした。シルヴァン殿は上質なものを好まれるのですね。
「……」
……好んでくださるのよね? 彼は黙って贈り物を見つめたままですわ?
「――さすが、公爵家のご令嬢」
「……?」
一瞬、シルヴァン殿の顔に影がさしたような……?
「かしこまりました。では、大切にさせていただきますね?」
気のせいだったのかしら。シルヴァン殿は微笑まれていました。
「シルヴァン殿、まだ持参しておりますの。よろしくて?」
「へえ……」
いえ……気のせいではない、そんな気がしてなりませんの。シルヴァン殿、にやりと笑っていませんこと……シルヴァン殿?
「いえ、さすがにこれ以上は……」
シルヴァン殿は遠慮しようとしてますわ。あれだけ最初は喜んでいただいていたもの。もう少し、もう少しと。私は試みてみることにしました。
「どうか受け取ってくださるだけでも」
「……へえ」
受け取るだけでも好感度は上がる。そう思っての頼み込みでした。それを受けてのシルヴァン殿は、またしても悪そうな笑顔。もう気のせいだとは思わなくてよ。
「……さすがはアリアンヌ様。では、有難く頂戴しましょうか」
「ええ……?」
何がさすがなのでしょう? いえ、受け取り拒否じゃないだけ良かったと、私はさらに追加することにしました。
「おお……」
受け取ったシルヴァン殿は、目を輝かせています。次々と現れるは、高級品ばかり。
「おお……とてもセンスのよろしいものですね。とっておきの時に使わせていただきましょう」
宝石付きのネクタイピンに。
「おお……こちら、存じております。有名な調香師によるものですよね。争奪戦だったようで」
希少価値のある香水に。
「おお……素晴らしい、素晴らしいですね! こういうのですよ、こういうの!」
ついにはインゴットまで……露骨すぎませんこと? シルヴァン殿も興奮を隠しきれてないようですわ。
「おお、お酒ですか! ……ってなると、公爵家秘蔵の?」
未成年であられるはずの彼は最初は興奮しておりました。ですが、ふと考えたようです。私もまた未成年。買うのは考えられない、ならば家にあるものを持ってきたのかと。
「いえ、違いますわ……! 家からなんて、そのようなことは」
私はそれはないと否定しました。ですが……ならば、どこから入手したのか。説明するとなるとダンジョンのことまで言わなくてはならなさそうで。
「その……知り合いを頼りにですわ。あなたの生まれ年に製造されたもののようですし、成人後にお飲みになられては?」
ふう……これでよいかしら。元々はそういった趣旨のはずでしてよ。何故お酒が混ざっているかの話ではありますわね……謎過ぎますわ。
「……なるほど、ね」
シルヴァン殿は酒瓶のラベルをまじまじと見ています。何か思うところがあるようでしたが、彼はにこりと笑いました。
「あなたの仰る通りですね。私が……成人した暁には、ですね?」
「ええ、そうですわ!」
どうにかなったようです。私も私でしたわ。お酒なのに包装してましたもの。気をつけなくては。
それからも彼はプレゼントを受け取ってくださいました。渡し過ぎによることも懸念しておりましたが、元々底をついた好感度。現時点では問題ないと判断しました。




