プレゼント責めの日々、再び。
「――よく来てくれたなぁ!」
私は本日、エミリアン殿下に招かれておりました。場所は王城の応接間ですわ。正装の殿下はやはり凛々しいお姿ですわ。夜となり公務の終わりということで、お時間をいただいていました。
入口の近くで待機しているのは――シルヴァン殿。殿下がお越しになるまで、相手をしていただいてましたの。変わらず雑談のプロでしたわね。
「もっと君との時間もとりたいけどなぁ? すまん、忙しくてな!」
殿下は私の目の前のソファに座り、手を合わせてきました。彼がしてきたのは謝罪。
「……」
謝罪、でございますか。この時点では断罪もなにもありませんものね。それでも、窺い知れないところはありますから。
「いいえ、殿下? 貴重な御時間をありがとうございます。そうですわ、お渡ししたいものがありますの」
私はハンドバッグから、いくつかのプレゼントを出しました。
「ア、アリアンヌ? ……よく入ったな?」
目を丸くしたのは殿下でした。指摘がくるとは……仕様で通せると思っておりましたのに。
「ええ、秘術でしてよ?」
ええ、この私がごり押しするまでですわ?
「秘術……そうか、秘術だったなぁ……秘術?」
ええ、ご納得いただけたということで。
「ふむ。色々ありがとな!」
殿下に差し上げたのは、虹色の宝箱から出たもの。怪しさに定評があるプラプラ人形や、モチーフ不明の水晶の彫像。独特な味わいだと評判の茶葉や、世界一辛いといわれる唐辛子。
殿下はこうした独特なものそう。茶葉や唐辛子、これらの希少なものも好まれるようですわね。
「いえ。喜んでいただけましたら幸いですわ」
以前にお渡しした時の反応が気になりましたが、今回は何事もなさそうですわね。殿下も嬉しそうですし。
「シルヴァン、預けておく」
「かしこましました。良かったですね?」
笑顔で伝える殿下に、シルヴァン殿も微笑ましく見守っておいで。ああ、和やかですこと。
「――失礼致します」
ノック音がして、殿下が入室の許可を出していました。配下の方ですわね、殿下に何かを伝えています。話を受けて頷いたのは殿下、彼は立ち上がりました。
「……すまん! 一旦席を外させてもらうぞっ」
殿下はそう残して、退室していかれました。
「……」
「……」
シルヴァン殿と二人きりになりました……なりましたわね。
偶然でしょうが、またとない機会ともいえましょう。以前は遠慮しておりましたが、今回は勇気を出しましょう。
「……よし」
いざ、お渡ししましょう……! 私もまた、すくっと立ち上がりました。
「シルヴァン殿、よろしいかしら。あなたにもご用意しておりますの」
「私に……でございますか?」
ああ、笑んだままなのでわかりませんわ……!
「ええ、あなたに。日頃からお世話になっておりますもの。受け取ってくださるかしら?」
「……」
苦しい理由だったかしら。シルヴァン殿は笑顔のままですが、黙ってしまってますわ。一個だけでも、どうにか……! と、私が頭を巡らせている時でした。
「――アリアンヌ様、ありがとうございます。贈り物でしたら喜んで」
「……!」
この、極上ともいえる笑顔はなんなのでしょうか。シルヴァン殿はいつも綺麗な笑みですが、少し頬も紅潮していて、本当に嬉しそうと申しましょうか……多幸感に溢れているようで。
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