研究所の最終地点へ。
地下から脱する階段は無事でした。ここまであの二人に会うことはありませんでした。これで一階にもいなければ、彼らは――。
「オスカー殿。もし彼らがいなかった場合……もう一度地下に戻っても良いかしら。あなたの御力を借りることになりますわね……」
私はお願いすることにしました。オスカー殿はというと、私のことを見てきています。
「……あなたは不思議な方だね」
「オスカー殿……?」
何かを見透かしてきそうな眼差し。オスカー殿はそうでした。
「……今はいいか。うん、まずは地上を捜そうか」
「ええ……?」
お互いに疑問はあるようですが、ええ、後ですわね。今は彼らの生存確認を――。
「アリアンヌ様―!」
イヴの声がしました。建物の倒壊によって、地上の罠自体は壊れたようです。彼は構うことなく突進する勢いですわ。
「ご無事で……本当にご無事で良かった」
「ええ、あなたも」
イヴは泣きそうな顔をしていました。それから。
「……お守りできず、申し訳ございません。それと――オスカー様も守っていただきまして、ありがとうございました」
お礼も告げていました。申し訳ないと思いつつも、歯痒さも感じられる表情で――。
「そんな、当然だし。つか、無事だったんだからさー」
「ええ、そうですわね」
私たちはそう返事しました。本当にあなたに非があるわけでは――。
「ああ、お二人ともご無事でしたか。良かったです」
「ヒューゴ殿もよくぞご無事でした」
後方からやってきたのはヒューゴ殿でした。良かった、皆様ご無事でした。最終地点も目前です。私たちは倒壊した場を背に、進むのでした――。
最終地点。ここは倒壊の影響を受けてないようですわね。何かの研究室を模しているようです。ずらりと並ぶ本棚は共通していますが、薬品が並ぶ棚はこのダンジョンならではでしょう。
私たちは魔法陣を踏みました。これにて拾得品も持って帰れますわね。
「……」
叡智が眠る本。この世界、この国の歴史が知るされた書――真麻さんの開発日記も。いつかは読み耽りたいけれど、今は……ですわね。
「今回、『例の人たち』見なかったね」
「ええ、確かに」
イヴが示す例の人たち――宝箱を巡るライバル集団ですわ。確かに姿は見えませんでした。
「アリアンヌ様、これ渡しとく」
「まあ……ありがとうございます!」
オスカー殿が渡してくれたのは――茶色のレア宝箱でした。レアが二個手に入りましてよ。
「そうね、オスカー殿にもお話しておかなくては。こちらの小さめな宝箱、私が総取りしてしまうのですが、よろしいかしら? その上で私も分け前を頂戴するわけですが……」
「いいよー!」
オスカー殿はあっけらかんとしていました。何一つ不満がないと。
「アリアンヌ様、申し上げます。私の方でも個人的に手に入れておりますので、あなたが気にすることもありません」
「さようでございますか……」
ヒューゴ殿が見せてきたのは、草の他にも鉱物でした。彼はそちらも採取してましたとは。オスカー殿もそうそう、と頷いています。
「俺だって訓練にもなったし。色々鍛えられた感じ。思い思いの戦利品があったってことで!」
「オスカーにまとめられましたが、そういうことです」
お二人はそう言ってくださるのですね。
「ええ。改めまして、ありがとうございました――」
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