雨の日のお茶会。
我が国アルブルモンドにも雨季が訪れました。といっても、六月も終わりますから。じきに晴天の空を拝めることでしょう。
「ああ、今日も激しい雨が降っていますこと」
私は紅茶を口に含みながら、窓の外に目をやりました。
休日の昼下がり、我が邸の応接間にてお茶会が催されていますの。お客人は二名。テーブルの上には、花々をテーマにしたケーキスタンド、そして私のお気に入りの茶葉入りのティーセット。
内輪なるお茶会ですわ。といっても、各々フォーマルな装いもしておりますの。
「あら、ありがとう」
控えているメイドが二杯目を注いでくれました。ええ、また味わいが違いますこと。
「……雨、これでもかってくらい降っていますね」
私の斜め前に座っている客人の一人は、ヒューゴ・クラージェ殿。私の視線を辿り、窓の外を眺めていました。
草花を愛する真面目で規律正しい方。かといって、頭が固いということもありませんの。融通のきく方でありましょう。安定のツン成分もお持ちでしてよ。
「それなー。ずーっと雨ばっかじゃん? あー、馬で駆けてぇってならない?」
私の前に座っている客人、オスカー・フェル殿。彼は隣のヒューゴ殿にのしかかっています。 人当たりの良い朗らかな人気者。オスカー殿を連想するとなると、まずそうなるでしょう。
「なりません」
「ええー……」
と、ヒューゴ殿に即答されると拗ねています。
「……ま、俺も雨は嫌いじゃないけどね。うん、じめじめ、陰鬱な感じ。嫌いじゃない」
……ええ、オスカー殿は明るい方でしてよ。一方で、こう、なんと申しましょうか。垣間見る闇というものでしょうか。そういったものがちらほらと……? それはさておき。
お二方は私が通う名門校アリエス学園の生徒でもあります。同級生……ご学友とお呼びしてもよいのでしょうか。日頃からお世話になっておりますわ。
「雨もいいものだよね、ね、アリアンヌ様?」
「え? ええ……」
オスカー殿はもたれかかるのをやめ、私の方に体を向けました。前のめりでもありますわね。突然ふられた私も返事しました。あまり上手くは返せませんでしたわね。
「だよね。だってさ、アリアンヌ様との思い出あるし。本当に大切な思い出なんだ……」
オスカー殿……私の思い違いでなければ……蕩けるような眼差しで仰いますのね? ええ、確かに雨夜に二人きりではありましたわね。思い出としてくださるのは喜ばしいのですが……あなたの眼差しが私の心をざわつかせますの。
『俺はアリアンヌ様が好きなんだ』
『愛情に育つまで、伝え続けるから』
そう、私はオスカー殿の想いを知っているから。友情の形を選びはしたものの、彼の気持ちは変わらないようでして。
「……」
私の気持ちも変わらない、そのはずなのです。このように顔を赤くしていてもです……!




