表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

142/438

昼下がりの労い会②

 私達は持ち寄ってきた料理を楽しんでいました。会話にも花を咲かせています。


「あ、これも美味しいよ。うちで獲れたやつ、使ってくれた?」

「ええ、たくさん送っていただいたものですわ。かえって気を遣わせてしまったようで」


 オスカー殿は積極的に私の料理を食べてくれています。こちらの果物もそうですわね。返礼にと男爵領から頂いたものですの。


「全然! みんなも公爵家のみなさまに是非って。うっま、まじうっま」


 ええ、オスカー殿は私の料理ばかり――。


「……オスカー様さぁ、アリアンヌ様の料理ばっかじゃないか! こっちのも食べてよ!」


 ですわね。イヴの指摘はもっともでした。


「あー、うん。イヴ君のもいただきます。うん、おいしい!」

「そうでしょう? イヴはプロ級の腕前でしてよ!」


 あなたが口にしたテリーヌ、絶品でしょう? ふふ、あなたの表情でわかりましてよ。イヴも照れていますわね。立派に誇れる腕前でしてよ、イヴ! 


「イヴ君! 今度料理教えてください!」

「……突然だね。時間ある時でよければ、だけど」


 オスカー殿は急にイヴに頼み込んでいました。当のイヴも困惑しつつも、承諾しようとしていますわ。ふふ、微笑ましいこと。私の方でも時間の協力をしましょうか。


「わあ、ありがとう! アリアンヌ様の胃袋から掴みたいんだ」

「……。やっぱ無理かも。ごめんね、僕の時間は有限なんだ」


 オスカー殿の発言を受けて、狼狽える私。イヴは急変していました。


「えー、引き受けておいてそれ? 協力してよー、イヴくーん?」

「僕忙しいから、本当に。それにもう義理立てする必要もないし」

「義理立てって……そっか、やっぱ協力してくれてたじゃん! ありがと、イヴ君! これからもお願いしますっ!」

「だから、もうする必要がないって――」


 オスカー殿もイヴ殿もやいのやいの言い合っています。


「はあ……。アリアンヌ様、よろしいでしょうか」


 賑やかな二人をよそに、真向いのヒューゴ殿がこっそりと話しかけてきました。


「もうですね、あなたにしっかりしていただかないと」

「まあ、手厳しいこと。仰る通りではありますわね」


 前にも言われたことがありましたわね。まだまだ精進が足りないということでしょう。


「……はっきりと伝えておきましょう。オスカーは全力であなたを落としにかかってますから。もしあなたにその気がないのでしたら、態度で示していただきませんと」

「……全力、でございますか」


 端的に言われてしまいました。私ももう、認めるしかないのでしょうか。


 ああ、眩暈がしてまいりました。幻覚でしょうか、緑の蝶が二匹飛んでいるような。いえ……幻覚ですわね。


「教えてくれないならさ、舌で盗んでやるんだ」

「はあ……いいよ、教えるのはいいからさ。でも僕、アリアンヌ様最優先だから。空いてる時だけね」

「やった! ありがとイヴ君!」


 あの二人も決着が着いたようです。イヴが根負けしたようですわね。さあ、食事を再開しましょう。マイペースなヒューゴ殿くらいでしてよ、食べていたのは。私もいただきましょう。


「アリアンヌ様、もぐもぐしてる……可愛いなぁ」


 横から感じる視線。私を見つめるそれからは、愛しさが込められていると。


「ずっと見ていたいな」


 気のせいとも、勘違いとも思わせてくれない。どうしても彼からの気持ちが伝わってきてしまうのです。


「はは……ヒューゴも面白いこというよね」


 彼は私に顔を近づけて、こう囁いているのです。


「全力で落としにかかっているって。その通りだけど」

「……!」


 オスカー殿は私から離れていきました。そして何事もなかったかのように、オスカー殿は振る舞われています。それでもたまに視線が合ってしまって。


 ああ、攻略されるというのはこのような感覚なのでしょうか。緑の蝶もそう、まだ飛び回っているではありませんか。友愛エンディングを迎えたはずでしょうに。


『もうですね、あなたにしっかりしていただかないと』


 ヒューゴ殿のお言葉がリフレインされるようにです。そうですわ、しっかりしませんと。

 オスカー殿に振り回されないようにいたしませんと! 



 ええ、いつ終わりが来て。また新しい日々が始まるのかはわかりません。

 せめてその時まで。束の間の休息ともいえるこの日々を過ごせますように――。


 私は歪みを正す為に、攻略対象相手に日々を繰り返すことになる。

 限られた日々だからこそ、精一杯生きましょう――。




お読みいただきまして、ありがとうございました!

気に入っていただけましたら、高評価・ブックマーク等をしていただけますと

大変励みになります!

今回の話で一区切りとなります。新展開となる続きも投稿しています。よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ