私はちゃんと戻ってくるんだから。
放課後になり、私は果たし状に書かれていた場所に向かいました。雨は降っておりませんが、念の為傘も持参しています。お馴染みの場所、温室の近く。前にも呼び出されたところですわね……。
「待ってたよ」
既にブリジット嬢は到着していました。彼女は腕を組んで私を待ち構えていました。表情もそう、険しいものでして。
「お待たせしましたわ。ブリジット嬢、お体の方はよろしくて? おかけになっては?」
「ううん、いい」
私は近くの椅子に座ってもらおうとしましたが、断られました。立ち話になります。
「聞いておきたくて。結局――オスカー様とは何でもないんだよね?」
「ブリジット嬢……?」
私、噴き出しかけるところでした。なんて躊躇いもなく聞いてきますの!?
「……ええ、そうですわ。友人のままです」
それが出した答えですから。
「……へえ。そうだよね、どっからどうみてもお友達だよね?」
「あなた……」
ええと、煽られているのでしょうか。ブリジット嬢は私の周りをぐるぐるし始めました。
「……良かった、友達のままで」
ブリジット嬢は足を止めました。そんな彼女は憂いているかのようで。
「アリアンヌ様。私、国に帰ることになったの」
「え……」
突然のお話でした。私にはとてもじゃないけれど、信じられないこと。本当に突然でありませんの……?
「おじい様がね、帰ってきなさいって」
「それは……今回の件で」
心配もなさるでしょうね。ブリジット嬢は気持ちを汲んでそうしたのでしょう。
「そういうこと。といっても、一時的! 退学じゃないから、休学だからね?」
びしり、と私に向けて指をさしてきました。
「お友達なんだからいいよね? 戻ってきたら、今度こそ振り向いてもらうんだから!」
「ブリジット嬢……」
「ごめんね? 今度こそ、オスカー様を夢中にさせちゃうかもよ? 残念でしたぁ、私はちゃんと戻ってくるんだから」
果たし状、その通りでした。本当にはっきりとしたお方。
「ブリジット嬢。あなたにまた会えるのでしたら、その日を楽しみにしておりますわ」
私の大親友と重ねてしまったのでしょうか。どちらにせよ、この言葉は社交辞令なのではないの。 ねえ、ブリジット嬢。私はあなたのことが少しずつであれど知っていっているような、そんな気がしてならないのです。
「……帰る」
ブリジット嬢は私に背中を見せました。お話はこれで終いのようです。
「ええ、お達者で。またお逢いしましょうね」
お待ちしておりますから。願わくば今回。そうでなくても次回。また、あなたに戦々恐々する日々になるのでしょうが、それでも――。
「……あの時。助けてくれてありがとう」
「……!」
強風が吹く。聞こえたきたのは、ブリジット嬢のお声でした。
あなた、私の存在にも気づいていましたの? そんな疑問も残ったままで――。
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